- 親記事No.3138スレッドの返信投稿
- board4 - No.3143
Re:そこの部分は見ていません
- 投稿者:Ken
- 2002年10月24日(木) 13時26分
八木あつしさん、佐々木公彦さん、
アニメの方にもいくつかありますよ。「原作と合わない部分」ではなく、アニメ銀英伝の中だけで、矛盾している部分です。
(その1)キルヒアイスの生年
第103話「コズミック・モザイク」で、宇宙暦801年、新帝国暦3年3月14日に、ラインハルトが25歳の誕生日を迎えている。従って、彼の生年月日は宇宙暦776年、帝国暦467年3月14日である。そのラインハルトが、第82話「魔術師還らず」で、死んだキルヒアイスに「おれよりたった2ヶ月早く生まれたくせに」と話しかけている。したがってキルヒアイスは帝国暦467年1月生まれのはずである。ところが、第24話「さらば、遠き日」にはキルヒアイスの墓が登場し、「R.C.468-488」と彫られている。
[苦しい解釈]
親友を亡くしたラインハルトは気が動顚しており、キルヒアイスの生年を一年間違えて、墓を作った。
(その2)ルドルフの没年
第74話「ユリアンの旅、人類の旅」の中で、ユリアンの歴史ビデオはルドルフが帝国暦42年に死んだ、と言っている。ところが、第94話「過去と現在と未来と」では、封印を解かれたゴールデンバウム王朝の記録が、ルドルフの死は帝国暦46年だったと、言っている。
[苦しい解釈]
ルドルフの死後、できたばかりの帝国が動揺するのを避けるため、4年の間「喪を秘した。」ひょっとして、影武者がいたかも。
(その3)ヤン・タイロンの没年
第82話「魔術師還らず」で、ヤン・ウェンリーの時間は、宇宙暦800年に「33歳で停止した」ので、彼の生年は宇宙暦767年である。このことは、第66話「査問会」でヤンの経歴が読み上げられた時にも、確認されている。同じ査問会では、ウェンリーの父タイロンは、ウェンリーが16歳の時、事故で死んだと述べられている。よって、タイロンの死は、ウェンリーの783年と784年の誕生日の間に起こったはずである。ところが、第89話「皇帝万歳(ジーク・カイザー)」の中で、ボリス・コーネフが、ヤンと会うのはヤンの父の葬式以来17年ぶりだと言っている。この時点では宇宙暦799年なので、タイロンの葬儀は782年、つまり死の前年か前々年に行われたことになる。
[苦しい解釈]
宇宙商人コーネフは、数百回もワープ飛行をしたであろう。ある時、計算を間違えて次元震に巻き込まれ、時間を一年逆行してしまった。したがって、コーネフの認識では、宇宙暦783年は799年の17年前なのである。
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- board4 - No.3144
銀英伝1.5部または第2部・外伝
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月24日(木) 20時00分
同盟軍の砲列がまさにラインハルトの旗艦「ブリュンヒルト」をとらえた時、ハイネセンから無条件停戦命令がとどいた。一瞬、躊躇するヤン。そのとき、シェーンコップが叫んだ。「帝国人民のことを考えているのですか?ラインハルトには姉の子にして、親友の子であるジークフリートという後継者がいます。まだ幼年ですが、ラインハルト陣営の提督たちは彼を君主にあおがねば、自分たち自身の権力が瓦解することを知っているでしょう。帝国が分裂することはありません。しかし、ここであなたがためらったらどうなる?同盟は崩壊し、民主主義は永遠に失われるのです」ヤンは目をつぶった。ヤンのまぶたに帝国軍によるハイネセン・ポリス攻撃によって生じるであろう阿鼻叫喚の地獄絵図が浮かんだ。「心配することはありません。ロイエンタール提督もミッターマイヤー提督も紳士です。無辜の民衆を巻き込むことはないでしょう」シェーンコップが耳元でささやいた。「一斉攻撃!」ヤンはうめくように命令した。ここで自分がひけば、自分のために命を投げ出した将兵に申し訳がたたない・・・そう言い聞かせた。ビュコックとチェンの横顔が目の前に浮かんだような気がした・・・。
「なに?ヤン・ウェンリーが無条件停戦命令を無視!?ローエングラム候が戦死!?」バーミリオンからもたらされた報にロイエンタールとミッターマイヤーは驚愕した。ヒルダはその場で気を失ってしまった。「おのれ!叛乱軍め許せぬ!」ミッターマイヤーは叫んだ。しかし、ロイエンタールはそんな僚友を慰めるように言った。「やめろ。ミッターマイヤー。無辜の市民を血祭りにあげても、帝国軍の名に傷がつくだけだ。責任は政府と軍部の幹部にとってもらえばよかろう」ロイエンタールはトリューニヒト政権の閣僚とドーソン、ビュコック、チェンの逮捕を命じ、即日銃殺した。アイランズ、ビュコック、チェンの死に様は堂々たるものであったと伝えられている。ロイエンタールは市民の虐殺の禁止を部下に命じたが、一部の部隊がローエングラム候死亡の報に激昂して、無差別殺戮をおこなうのを止めることは出来なかった。帝国軍がハイネセンから撤退するまでの間、その犠牲者は200万人に達すると言われている。それはハイネセンの人口のわずか0.2%に過ぎなかったのだけれど・・・。
前財政委員長レベロ、前人的資源委員長のルイは野に下って、地方に疎開しており、難を逃れた。ハイネセンに帰還したヤン艦隊は彼らを擁立して、同盟の再建をはかった。レベロ政権は2期8年、ルイ政権もまた2期8年続いたが、ルイの後継者にレベロとルイはヤンを推薦した。ヤンは固辞したが、「ジークフリードの戴冠が迫る中で対帝国戦に備える政権が必要だ」という声に抗し得ず、やむなくヤンはエル・ファシル選挙区から出馬して、代議員となった。同盟議会は圧倒的多数でヤンを最高評議会議長に選出した。
そして、宇宙暦815年。ヤン政権下での初の戦没者追悼式典の日、ヤン議長暗殺未遂事件が起きた。
「無能者ヤン!」
それはかって、トリューニヒト議長が無条件停戦命令を発しようとしたとき、ヤンを評して言った言葉であった。むろん、その一語はバーミリオン以後、同盟では禁句となっており、同盟憲章違反に問われかねない。暗殺未遂という広大な池に一滴の一粒が加わっただけのことであるが。
なおも叫び続けようとする口元に、ユリアンが平手打ちの一閃をたたきつけた。頚椎を捻挫するのではないか、と思われるほどの容赦のない一撃が、さすがに男をたじろがせた。
「不逞なやつめ。きさまも秩序の破壊をたくらむ帝国のスパイか」
「帝国のスパイなどではない」
切れた唇から、血と憎悪をしたたらせながら、男はうめいた。壮年の議長を焼き殺すかのように、眼光を集中させる。
「ハイネセンの虐殺を忘れたか。たった16年前の惨劇を、もう忘れたのか!」
男が口にした固有名詞は、石弓から放たれた無形の矢となって、ヤンの耳から心臓へと貫通した。
「ハイネセンの虐殺・・・?」
ヤンのつぶやきは、一瞬のうちに、議長の顔面から生気のかがやきを強奪していた。逆に暗殺者は、活気を回復し、糾弾を開始した。
「何が議長だ。ミラクル・ヤンだ。きさまの権力は流血と欺瞞の上に成り立っているのではないか。おれの妻子は、ハイネセン・ポリスで、帝国軍ときさまとのために、生きたまま焼き殺されたのだぞ!」
ふりかざされたユリアンの手が、こんどは空中で停止した。決断なり命令なりを求めるように議長を見やったが、かっての魔術師は、激烈な弾劾の前に、半ば茫然と立ち尽くすだけであった。
「さあ、おれを殺せ。惑星ハイネセンで帝国軍と共謀して無辜の民200万人を殺したように、おれを殺せ。きさまらに何ら害を加えたわけでもない子供や赤ん坊を、ビーム砲の劫火で生きながら焼き尽くしたように、おれを焼け!」
男の、生命がけの怒号に対して、ヤンは答えようともしない。発熱がひいたばかりの頬は、瞳の黒色が拡散したように黒ずみ、フレデリカは議長の身体をささえるように寄りそった。
「生きているやつらは、きさまの戦術の華麗さに目がくらんで、ハイネセンの虐殺のことなど忘れてしまっているだろう。だが、死者は忘れんぞ。自分たちがなぜ焼き殺されたか、永遠に憶えているぞ」
フレデリカの手に、議長の身体の、ごく微量な慄えが伝わってきた。そのとき、べつの声が彼女の耳に聴こえた。怒号を凍てつかせる冷静な声。
声の主は、国防委員長ワルター・フォン・シェーンコップ退役元帥であった。彼は弾劾の暴風から議長を守るように、暗殺者の前に立ちはだかって言明したのである・・・。
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- board4 - No.3145
Re:銀英伝1.5部または第2部・外伝
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月24日(木) 20時19分
「議長をお怨みするにはあたらぬ。無条件停戦命令を無視するよう、議長に進言したのは私だ。おまえは議長ではなく、私をねらうべきであったな。妨害する者もすくなく、ことは成就したであろうに」
剛毅と呼びうる、それは最低温度の声であった。
「きさまが!」
そうあえいだきり、男は絶句した。見えざる氷壁の前で、怒りと憎悪は、進むべき方向を失って乱気流と化したように見えた。
「バーミリオン星域会戦でローエングラム候を戦死させたことで、帝国軍は撤退した。ゆえに、民主主義は救われ、同盟は滅亡を免れた」
凍結した空気に、さらに冷気をくわえるような、国防委員長の語りようであった。
「もし、同盟が帝国に占領されていたならば、帝国の暴政によって1000万を下ることのない人々が虐殺されたであろう。あの会戦でローエングラム候を戦死させたからこそ、1000万人の死者は仮定の数字としてすんだのだ」
「きさまら権力者は、いつもそうだ!多数を救うためにやむをえなく少数を犠牲にする、と、そう自分たちを正当化するんだ。だが、きさまら自身がきさまらの親兄弟が、少数のなかにはいっていたことが一度だってあるか!」
男は足を踏みならし、靴のかかとで地を踏みにじった。
「人殺しのヤン・ウェンリー!無能者ヤン!きさまの権力は、血の海に浮かんでいるのだ。一秒ごとに、そのことを思い出せよ。ローエングラム候は、敗北と死によって罪をあがなった。きさまは生きているが、いつかは罪をあがわなくてはならんのだ。おれより手の長い者は宇宙に幾人もいるぞ。おれに殺されていたほうが幸福だった、と、遠からぬ将来に思い知るぞ」
「憲兵司令部につれていけ。私自身が後刻、尋問する。早くつれていくのだ」
ムライ大将がそう指示して、無限に続くかと思われる糾弾の奔流をたちきった。三個分隊を構成するにあたる人数の憲兵が、暗殺未遂犯をとりかこみ、ひきずるようにつれさった。あとには、濃くなりまさる夕闇と、議長一行が残された。フレデリカは、議長の黄色い手が、自らの頭の上に置かれるのを感じた。それは残念ながら、無意識の動作であるようだった。議長の瞳は、妻を見ていなかった・・・。
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- board4 - No.3146
Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:八木あつし
- 2002年10月25日(金) 04時59分
イッチーさん、僧侶Tさんどうも。八木です。
色々と考えてはいたのですが、まずは自分の足下を固める必要があり、長いレスを書く時間が取れず、出遅れてしまいました。
3120で書いた私のビッテンフェルト叛乱シナリオに頂いた僧侶Tさんへ返答も含めて、まとめてレスします。
>> まず帝国辺境領の数カ所の惑星にて、共和革命の民衆蜂起が起きたのだ。そしてそれは、各地に波及していった。当時の帝国首脳部は知る由もなかったが、地球教がその存在を隠すべく共和革命の形をとり、さまざまな陰謀の糸を張り巡らせていたのだ。
>> この部分なのですが、地球教がこの段階で陰謀をめぐらすのなら、ルビンスキーに帝国内の流通をかく乱させると同時に、「ラインハルトの死によって反動が起こり、復古的な政策が復活する」と言う流言を流して社会を混乱させるのがベストだと思います。それに、宇宙船建造能力のない辺境で反乱を起こしてもどうにもならないと思います。それよりも農業惑星や鉱業惑星を前述の流言で動揺させた後、そこに存在するであろう組織ごと地球教の教義でオルグしてのっとり、サボタージュやストライキ、出荷停止などをさせれば、前述の流通のかく乱とあわせて帝国に大打撃を与えられるだろうと思います。
ルビンスキーは、帝国軍のフェザーン占領時に「私は地球教などという代物と縁をを切るつもりだ」と述べています。このため地球教団の指令にどこまで従うか疑問点が残ります。しかもラインハルトの死によって、史実(笑)と違いフェザーンの帝都化は行われません。ルビンスキーは、まずボルテックを引きずり降ろし、自治領主への復権を狙うかと思います。そのため経済・流通の混乱は主にフェザーン周辺ににとどまり、地球教が暴動という形で帝国を混乱に落とさざるを得なくなるかと。
また地球教が帝国の辺境諸惑星で騒乱を起こすと考えたのは、僧侶Tさんの考えられたように、後の地球教の布教・オルグへの布石としてです。ちなみに共和革命という形をとったのは、帝国民衆に芽生えた民意の高まりを利用するため。
ラインハルトの死によって帝国民衆はこのまま解放路線が進むのか、と疑問を抱くはずです。そこを地球教が突き、各地で騒乱を起こさせ、あえて帝国軍に騒乱を鎮圧させます。帝国軍は不安定な情勢を拡大させないため、徹底的な鎮圧を行うでしょう。そのことで一部の民衆には、帝国政府への不信感が根付くでしょう。
帝国政府は駄目、共和主義も駄目、ならば何か……そうだ地球教だ!(笑)
「第2部」の設定では、一応地球教団艦隊(笑)が出てくることになっています。しかし、地球の住民だけでは艦艇乗員がまず足りないと思います。そのため、帝国政府の目が届きにくい辺境の住民を、地球教がオルグして将来の艦艇乗員として連れていくための作戦だと思って下さい。
>>> しかもレンテンベルク要塞にあるビッテンフェルト軍が、ジークフリードへの帝位移譲を断固認めないと発表した。「偉大なる指導者ローエングラム公は、実力主義者だった。まだ何の力もない、赤子に帝位を移譲するなぞ狂気の沙汰である。帝国の次代皇帝は、同盟のヤン・ウェンリーを打ち倒し、ローエングラム公の仇を取ったものこそが帝位に就くべきである」
>> カリスマの跡を継ぐべき者は血縁によって選ばれるべきか、実力によるべきか。拙僧としては、信長の死の直後の織田家と状況が似ている気がします。そうすると羽柴秀吉=ビッテンフェルト陣営、柴田勝家=ロイエンタール・ミッターマイヤー連合と言うことになりますね。うーむ、イメージと違う・・・だからどうだと言うことはありませんが。余談でした。
私も清洲会議を思い出しました。ただこの場合に「ロイエンタール・ミッターマイヤー連合が実力主義を主張、ビッテンフェルト陣営がジークフリード擁立を主張」と当てはめてしまうと、ロイエンタールかミッターマイヤーが皇帝になってしまい、ジーク皇帝による第2部が始まらなくなってしまいます(笑) そのため逆にしました。
自分としては、ビッテンフェルト叛乱案はむしろ第2部IFに使うべきだったかなとも思っています。
ラインハルトがバーミリオン会戦で戦死した場合、後継者候補としてキルヒアイスとアンネローゼの子供ジーク2世が存在したとしても、帝国は分裂して争うのか?
私はやはり分裂抗争は起きると思います。というより帝国が分裂しなければ、早期の同盟再侵攻を招くことで同盟が滅亡してしまい、前スレで考えた第2部に進めないからです。
何せ、ジークフリードというラインハルトの(妥協的ですが)後継者になりうる存在います。これは逆にいうと、ヤンがバーミリオン会戦前にたてた「帝国混乱によって同盟再建の時間を稼ぐ」戦略が不可能になるかもしれないからです。帝国軍の提督全員がジークフリード擁立に納得した場合、まず最初に行うのは、ジークフリードの権威を高める為、そして帝位簒奪の正当性を出す為にも同盟へ再侵攻し、ラインハルトの仇討ちとしてヤン・ウェンリーの首をとることでしょう。
>イゼルローンはヤンの奇形ならでは、被害も少なく占領できるのであって、帝国が再侵攻しようと思っても、逆に膨大な被害者が続出するだけでしょう。帝国もそれはわかっているはずですから、イゼルローンをへたに取り戻そうとはしないはず。さらにフェザーンでの暴動を長引かせ、フェザーンの入り口に同盟軍の多くを割いて、封鎖してしまえば、帝国は容易に同盟に再侵攻は出来ないでしょう。帝国国内ではラグナロック作戦の失敗で、民衆の間では厭戦感情が蔓延し、文官たちも「民力休養」を唱えて、戦争の一時中止を申し入れるでしょう。「弔い合戦」というのは軍人の発想であって、文官や民衆は戦争の中止とラインハルトの改革路線の継続を要求するのではないでしょうか。
イッチーさんは、フェザーンの入口を同盟軍が塞ぎ、フェザーン地表ではフェザーン人の暴動が続けば帝国軍も手が出せないと考えていますが、そうでしょうか?
仮にバーミリオン会戦から半年後に帝国軍の再侵攻が行われた場合、それを受けてたつ同盟軍の戦力は多く見て3万隻というところです。ランテマリオ決戦時より同盟軍の戦力はありません。もともとラグナロック作戦時でも、フェザーン回廊出口での正面決戦は不利ということで放棄しました。回廊出口に縦深陣を引くには戦力は少なすぎます。
また原作8巻の回廊決戦において、約2万8000隻の戦力だったヤン艦隊も停戦時には1万隻を切り、あと一歩で戦線崩壊、要塞への撤退というところでした。それに対して帝国軍は、司令官2人を失い、ヤン艦隊以上の艦艇数を失いましたが、それでもヤンの数倍の戦力が無傷で残っています。
ラインハルトの復讐を目指す帝国軍が、なりふり構わずフェザーンの暴動には軍事力で押さえつけ、回廊出口の同盟軍には損害を気にせず消耗戦で臨めば、最後には同盟軍が磨り潰れるでしょう。
同盟を建て直し、フェザーンからの侵攻を防衛できるだけの戦力を整備するには、少なくとも2年から5年の時は必要でしょう。そのための時間稼ぎと両国の軍事力のバランスを取るためにも、やはり帝国内戦は必要だと思います。
またイッチーさんが指摘されている、帝国政府の文官と民衆に厭戦感情が蔓延するというのは、この時点ではまだ起きないと私は思います。皇帝亡命事件の時、同盟への攻撃に「1億人100万隻体制」を唱えた帝国民衆です。むしろ帝国の解放者ラインハルトを殺した同盟・ヤンに復讐を! という「弔い合戦」の方向へ感情が向かうのではないでしょうか。帝国民衆に厭戦感情が起きるのは、後継者問題から帝国が分裂し内戦が起きた後だと思います。
イゼルローン再奪取について
イゼルローン要塞はやはり帝国内戦のどさくさに紛れて、ユリアン指揮の部隊が奪い取る方が良いと思います。理由は、奪う際に必要な例のパスワードが、20年後まで残っているかどうかが心配だから。帝国軍が要塞のソフトウェアを書き直してしまった場合、要塞無力化コードが生き残っているのかは未来の技術次第ですが、時が経てば経つほど仕込みが発覚する可能性が高まるからです。例のパスワードが効かないと、奇跡のヤンでも再奪取は不可能でしょう。
そのため私としては、帝国内戦終結時にタイミングを見計らってイゼルローンを奪取するべきだと思います。
地球教
地球教の戦力は、実質的にはテロ戦力でしかありません。地球教の有する力は、その存在の秘密性に起因します。そのため地球教を大活躍?させるためにも、その存在は1.5部ではまだまだ隠し、「第2部」において華々しく登場させたほうがよろしいのではないでしょうか。
ルビンスキーが脳腫瘍で死んだ後に、経済ネットワークも一部は掌握するでしょう。また、原作のロイエンタール叛乱の切っ掛けをつくったように、帝国軍への浸透作戦も進み、ある程度の小艦隊と陸戦部隊ぐらいは支配下に置けるのでは。
~~~3120で書いたシナリオのその後~~~
ビッテンフェルト・ファーレンハイト両提督による、レンテンベルク要塞においての決起で始まった第2次帝国内戦(通称・ビッテンフェルトの乱)は、レンテンベルク会戦にて叛乱部隊指導者のビッテンフェルト提督が死に、本拠地であったレンテンベルク要塞が陥落したことで終結を迎えた。
この内戦の終結までに、実に2年という時が費やされた。帝国軍は事実上2つに別れて争った。辺境の諸惑星では民衆暴動が続出。フェザーン人のデモ・サボタージュにより帝国経済・流通は混乱した。しかし、混乱の一番の要因であったビッテンフェルト軍が壊滅したことにより、帝国の混乱も終結に向かうだろう。
しかしレンテンベルク要塞が陥落した同時刻、宇宙の反対側ではもう一つの要塞が陥落していたのだ。イゼルローン要塞である。
ヤン・ウェンリーは卑怯にも要塞を放棄したとき、要塞の無力化コードを残していき、その無力化コードを使うことで要塞を奪還したのだ。要塞は無力コードで抵抗手段を失い、あっさりと陥落した。駐留艦隊は主力を内戦に投入され警備隊程度の戦力しか残っておらず、同盟軍に勝てるわけもなかった。
帝都の軍務省でロイエンタールは考えていた。この機会に同盟への再侵攻を計るべきか。しかし、帝国内戦が一番激化している時でさえ、内戦への介入をしなかった同盟がこの時期に敢えてイゼルローンを奪取したのは何故か?
1つ目は、早期のイゼルローンの奪還によって、分裂した帝国が対同盟で1つにまとまるのを恐れたため。
2つ目は、決まっている。フェザーン回廊から侵攻する帝国軍に対応できるだけの準備が出来たのだ。そのためにイゼルローンを奪還することで、あらかじめ二正面作戦になることを防いだのだ。
レンテンベルク要塞にて戦後処理を行っているミッターマイヤーから、ビッテンフェルト軍の残存部隊が辺境に逃げ込み、なおも抗戦の構えを見せていると連絡が入ってきている。ミッターマイヤーの表情も、同僚だったビッテンフェルト討った直後とあってさえなかった。
内務省からは、内戦による混乱から国民のあいだに厭戦感情が吹き荒れており、ジークフリード皇帝と政府に向ける国民の視線が非常に厳しくなっていると報告が上がってきた。
ラインハルトの仇討ちと訴え、同盟再侵攻の準備を進めるとしても、「ラインハルトの仇討ち」は元々ビッテンフェルトの主張だったのだ。今更「イゼルローンを奪われ、同盟の帝国への侵入を未然に防ぐためにも、同盟に攻撃を仕掛ける」と主張しても、国民は納得はしないだろう。
そこまで思考したとき、ロイエンタールの元に、軍務省職員が慌てて報告に表れた。「閣下、叛乱軍が全宇宙に向けて放送を始めました」
自由惑星同盟軍最高司令官となったヤン・ウェンリー元帥が超光速通信画面に現れ、何故か軍用ベレー帽を握りつぶしながら宣言した。
「自由惑星同盟は、先日のイゼルローン要塞の再占領を最後に、銀河帝国に対する攻撃を一切停止することをここに宣言する。今後は、イゼルローン要塞及びフェザーン回廊同盟側出口を同盟・帝国間の国境と定め、同盟軍はここより先の宙域に進行はしない。ただし、銀河帝国の艦隊が同盟領に侵入した場合に限り、民主主義を守るために同盟は自衛戦を行う」
1つ息をつき、ヤンは続けた。
「また、同盟政府は人類社会を正当に統治する唯一の政体である、というこれまでの主張を取り下げ、銀河帝国の存在を承認する。帝国政府も同盟政府も共に、人類社会を半分を正当に統治する権限をもった政体だとここに認める。今後は、150年間に及んだ戦争を繰り返さないためにも、両国の中間に位置する惑星フェザーンに、弁務官ではなく、両国の大使を駐在させ、両国関係の正常化のための折衝にあたらせたい。銀河帝国政府及びジークフリード皇帝陛下の良い返答を期待します」
最後に収まりの悪い髪をかきながらヤンは言葉を閉め、放送は終わった。
ロイエンタールは、共和主義者の方から停戦を呼びかけてくるとはさすがに思っても見なかった。マリーンドルフ家の小娘は、これを見たらすぐさま同盟との交渉を行うようにと訴えるだろう。
ミッターマイヤーも停戦に同意するだろう。
イゼルローンを失った現在、同盟への進行ルートのフェザーンのみ。そのフェザーンも現在も騒乱の渦中にあり、補給基地としての役目を果たせない。
帝国国内も内戦の疵痕が多々残り、国民は疲弊し厭戦感情が巻き起こっている。軍の再編も行わねばならず、まず早急な同盟再侵攻は不可能だろう。
ロイエンタールは1人つぶやいた。「とりあえず、宇宙は平和になるだろう。ならば子守をするのも悪くはないか……。赤毛の小僧には、俺を使いこなせる主君になってもらおう」
もし、自分をを使いこなせない、無能な皇帝に育ったらどうするのか。その時は……。
ヤンの通信から1週間後、国務尚書マリーンドルフ伯が超光速通信に現れ、全宇宙に帝国の方針を語った。
「皇帝陛下のご聖断により、過去の歴史において、不名誉なる叛乱軍の名称のもとに抹殺されていた、自由惑星同盟の存在は、これを公認する。また先日、同盟からの訴えも基本的に了承する。今後は惑星フェザーンにおいて両国間の話し合いがもたれるだろう」
後日、帝国フェザーン自治領にて、停戦合意文章が調印された。この調印式への妨害も多数行われたが何とか防ぎきり、両国はその存在を認めあい、停戦を合意した。
大方の予想では、早期に停戦合意は破られると見られていた。しかし予想に反し、停戦は実に18年も長きに渡り続くことになる。しかし停戦が破られるということに関しては、残念ながら当たっていたのだった。
フェザーンにて調印された停戦合意文書。この作成にあたり、帝国政府代表のヒルデガルト・フォン・マリーンドルフと同盟代表団の一員だったフレデリカ・G・ヤンは、合意文書作成にあたり議論を交え、同姓としての尊敬と友情が生まれていたのは、ささやかなエピソードである。
~~~以上終わり~~~
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- board4 - No.3147
銀英伝は矛盾だらけ
- 投稿者:八木あつし
- 2002年10月25日(金) 05時08分
Kenさんどうも。
アニメ版も色々とおかしい場面がありましたね。
DVD化にあたり間違いを修正するそうですがどこまで行うかどうか……。
かなり予算が厳しいようなので。
修正された点としては、ガイエスブルクから帝都に直行する場面で、ファーレンハイトが「汚名挽回」と言ってしまった間違いを「汚名返上」に直しています。
- 親記事No.3138スレッドの返信投稿
- board4 - No.3148
DVDでどこまで直った?
- 投稿者:Ken
- 2002年10月25日(金) 14時16分
初めに、前回の発言ではアニメのエピソード番号で大間違いをしましたので、訂正します。
第26話「さらば、遠き日」
第31話「査問会」
第40話「ユリアンの旅、人類の旅」
第54話「皇帝万歳(ジーク・カイザー)」
第59話「過去と現在と未来と」
第82話「魔術師還らず」
第103話「コズミック・モザイク」
が正しい番号です。他人の誤りをあげつらっておきながら、自分がこんな間違いをしでかし、製作者の方に失礼をしました。
さて、これに懲りずに、もう少しアニメ銀英伝の「間違い」について。私はDVDは見ていませんが、できれば直しておいてほしい、と思っています。それは、画面に字幕で登場する綴りです。
人名、地名、艦名などは、原作ではカタカナしか出ないのに、アニメではわざわざ「原語」の綴りを字幕で出していました。その意欲と労力はたいしたものだと思いますが、ちょっと間違いが多いですね。(だいたい、日本人相手に見せるビデオに、なぜ原語の綴りが必要なんだろう?)ごく一部を紹介しますと、
アレクサンドル・ビュコック→(字幕)Arexandor Bucock→(正)Alexandor Bucock
ヘルムート・レンネンカンプ→(字幕)Helmut Lennenkanpt→(正)Helmut Rennenkampf
アレックス・キャゼルヌ→(字幕)Alex Cazellnu→(正)Alex Caserne
等は、日本人の宿命ともいえる「R」と「L」の混同です。
オリビエ・ポプラン→(字幕)Oliver Poplan→(正)Olivier Poplan
勝手に「オリバー」にされて、ポプランも憤慨したでしょう。もっと憤慨したのは、次の二人のはずです。
ジョアン・レベロ→(字幕)Joan Lebello→(正)Joao Lebello
ドミニク・サン・ピエル→(字幕)Dominic San Piel→(正)Dominique Saint-Pierre
ややこしいですが、JoanとDominiqueが女性名、JoaoとDominicが男性名なのです。レベロが女性で、ドミニクが男では、冗談にもなりませんね。
同じ地名が異なる綴りで出てきたこともあります。
カプチェランカ→(第28話「肖像」)Capuchelanca→(外伝「白銀の谷」)Kapche-Lanka
また、原作の段階ですでに間違っていたものもあります。「ハ」行音の濁音と半濁音の混同です。
(誤)戦艦ヒューベリオン→(正)戦艦ヒューペリオン(Hyperion)
(誤)ベーネミュンデ侯爵夫人→(正)ペーネミュンデ侯爵夫人(Peenemunde)
宮中のG夫人に害意を抱いたのは、B夫人ではなく、P夫人でした。
- 親記事No.3096スレッドの返信投稿
- board4 - No.3149
Re:銀英伝1,5部帝国大乱:双璧の争覇戦
- 投稿者:イッチー
- 2002年10月25日(金) 16時46分
基本的に八木あつしさんの設定が一番問題がないだろうと思います。ただ、揚げ足をとるようですが、細かい点を指摘させていただくと・・・。
まず、バーミリオン後2年では皇帝はジークフリードではなく、カザリン・ケートヘンであろうということ。ジークフリードは皇帝の婚約者という扱いだと思われます。
またルビンスキーの復権はあり得ないということです。地球教がルビンスキーの復活を認めないでしょう。おそらく、ボルテックでもルビンスキーでもない第三の人物が自治領主に祭りあげられると思います。
また、帝国・同盟の講和会議での帝国首席全権は帝国宰相のロイエンタールまたは国務尚書のマリーンドルフクラスの大物であろうと思われます。ヒルダは随員という扱いでしょうか。同盟側全権は最高評議会議長レベロといったところでしょうか。
- 親記事No.3138スレッドの返信投稿
- board4 - No.3150
Re:DVDでどこまで直った?
- 投稿者:八木あつし
- 2002年10月26日(土) 09時28分
このレスは、さしてドイツ語の知識が無い私が、知ったかぶって書いております。間違っていたらご免なさい。m(_ _)m
> 第54話「皇帝万歳(ジーク・カイザー)」
アニメ本編ではないのですが、第54話が収録されているアニメ版銀河英雄伝説レンタル用ビデオ(古い方です)のパッケージに書かれた巻タイトルは、何故か「ジーク・ハイル(皇帝万歳)」でした。
ジーク・ハイル! ナチス・ドイツですか(笑)
というより、どうしたらカイザーがないのに、皇帝万歳と訳せるのかが不思議です。ジーク・ハイルは、勝利万歳でしょう。 一体、徳間の誰がこんなバカな間違いをしたのやら。
ところでドイツ語で「ジーク」は「勝利」を意味します。つまり「ジーク・カイザー」は、「皇帝万歳」ではなく「皇帝勝利」のはずです。ところが銀英伝を読むと、「ジーク・カイザー・ラインハルト」が「ラインハルト皇帝ばんざい」となっています。これはどうしてなんでしょう? いわゆる誤訳なのでしょうか。それとも誤植(笑)
徹底予想
1・田中氏は、機動戦士ガンダムの「ジーク・ジオン」のフレーズを気に入っており「ジーク・カイザー」として使った。その時田中氏は、ジオン勝利と取らずにジオン万歳と取り、誤認してしまった。つまりドイツ語の知識が最初から無い。
2・ドイツ語で「万歳(祝福の言葉)」とは「ハイル」である。そのためドイツ語に忠実に「ハイル・カイザー(皇帝ばんざい)」「ハイル・カイザー・ラインハルト(ラインハルト皇帝ばんざい)」にすると、あまりにも有名なナチス・ドイツの「ハイル・ヒトラー」と被ってしまう。それを田中氏は嫌い、あえて誤訳としりつつ「ジーク・カイザー(皇帝ばんざい)」とした。
3・現在のドイツ語とは全く関係ない。銀河帝国公用語では、「ジーク」が現在の日本語でいう「ばんざい」である。
実際は、どうなのでしょう? 誰か教えてください。
私は「ハイル・カイザー」でも構わないんですけどね。アニメ版銀英伝のラインハルトの戴冠式では、帝国の武官・文官のどちらも「ナチス式敬礼」をしながら「ジーク・カイザー・ラインハルト」って叫んでいたのだから。
> さて、これに懲りずに、もう少しアニメ銀英伝の「間違い」について。私はDVDは見ていませんが、できれば直しておいてほしい、と思っています。それは、画面に字幕で登場する綴りです。
>
> 人名、地名、艦名などは、原作ではカタカナしか出ないのに、アニメではわざわざ「原語」の綴りを字幕で出していました。その意欲と労力はたいしたものだと思いますが、ちょっと間違いが多いですね。(だいたい、日本人相手に見せるビデオに、なぜ原語の綴りが必要なんだろう?)ごく一部を紹介しますと、
>
> アレクサンドル・ビュコック→(字幕)Arexandor Bucock→(正)Alexandor Bucock
> ヘルムート・レンネンカンプ→(字幕)Helmut Lennenkanpt→(正)Helmut Rennenkampf
> アレックス・キャゼルヌ→(字幕)Alex Cazellnu→(正)Alex Caserne
>
> 等は、日本人の宿命ともいえる「R」と「L」の混同です。
>
> オリビエ・ポプラン→(字幕)Oliver Poplan→(正)Olivier Poplan
>
> 勝手に「オリバー」にされて、ポプランも憤慨したでしょう。もっと憤慨したのは、次の二人のはずです。
>
> ジョアン・レベロ→(字幕)Joan Lebello→(正)Joao Lebello
> ドミニク・サン・ピエル→(字幕)Dominic San Piel→(正)Dominique Saint-Pierre
>
> ややこしいですが、JoanとDominiqueが女性名、JoaoとDominicが男性名なのです。レベロが女性で、ドミニクが男では、冗談にもなりませんね。
DVDの人名字幕では、
Walter von Schenkopp→Walter von Schönkopf
Yang Wenli→Yang Wen-li
と修正されております。
原語の字幕は、日本語吹き替えの映画風ですね。私はカッコイイから好きです。間違いには語学力が無いのでで気づかないし(笑)
> また、原作の段階ですでに間違っていたものもあります。「ハ」行音の濁音と半濁音の混同です。
>
> (誤)戦艦ヒューベリオン→(正)戦艦ヒューペリオン(Hyperion)
> (誤)ベーネミュンデ侯爵夫人→(正)ペーネミュンデ侯爵夫人(Peenemunde)
>
> 宮中のG夫人に害意を抱いたのは、B夫人ではなく、P夫人でした。
ヤン艦隊旗艦ヒュー“ペ”リオンでは、何か力が抜けそうです。日本人的感覚では、やはりヒュー“ベ”リオンの方が語呂的によろしいかと思います。
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- board4 - No.3151
Re:DVDでどこまで直った?
- 投稿者:Ken
- 2002年10月27日(日) 01時43分
八木あつしさん、どうも。
>ヒュー“ペ”リオンでは、何か力が抜けそうです。日本人的感覚では、やはりヒュー“ベ”リオンの方が語呂的によろしい
あはは、なるほど武蔵坊弁慶は「べんけい」だから強そうなので、「ペンケー」では敵にばかにされそうですね。「Hyperion」は英語では「ハイペリオン」だから「ヒューペリオン」はきっとギリシャ語でしょう。ギリシャ語と英語の読み方が違うのなら、「日本語ではヒューベリオン」でもよさそうです。
私は、「ジーク・カイザー」は、「ジーク・ジオン」ではなく、やはり「ジーク・ハイル」からとっていると思います。
ゴールデンバウム朝時代には、皇帝を称えるとき、「全人類の支配者にして全宇宙の統治者、天界を統べる秩序と法則の保護者、神聖にして不可侵なる・・・」という大仰な言い方はしますが、「ジーク・カイザー」は使われていません。田中先生は、銀河帝国ではなくラインハルトの帝国に限って、外見をナチスに似せたのでしょう。私は、キルヒアイスの旗艦名「バルバロッサ」にも驚きました。昔の皇帝の名前ですが、それよりも第二次大戦でドイツがソ連に侵攻した時の作戦名として非常によく知られており、例えば「関が原」という岐阜県の一地名が、連想の上で徳川対豊臣の決戦に直結するように、「バルバロッサ」といえばナチス対ソ連の戦いの異名になっているほどです。ナチスとの類似はアニメではさらに進み、八木さんが挙げられた、右手を伸ばす敬礼まで登場しました。(ラインハルトの戴冠式だけでなく、彼がロイエンタール治下のノイエラントへ発つシーンでも、兵士たちがやっていました。)このシーンはヨーロッパ人が見たら、大変にショッキングだと思います。私はオランダで友人と外食をしているとき、なかなか来てくれないウェイターの注意を惹こうと、右手を上げたことがあります。その途端にオランダ人が「よせ!」と叫び、私の手をつかんで引きずり降ろしました。「ハイル・ヒトラー」に見える、というのです。製作者がそのような事情を知らなかったとは、思えません。
田中芳樹さんは、むろんネオ・ナチではなく、ある国家や体制を一方的に悪と決めつけることの危険(正確には、そのような国の人を悪人と決めつける危険)を、最も刺激的な形で訴えたのでしょう。銀英伝の執筆が20年前ではなく今だったら、ナチスの代わりにソ連が使われたかもしれません。
ただ、やはりこのような表現法が非常に刺激的で、一歩間違うと作品を社会的に葬りかねない危険を持ちます。「ハイル・カイザー」ではなく「ジーク・カイザー」にしたのも、そのあたりを考慮した困難な選択だったのではないでしょうか?
>Walter von Schenkopp→Walter von Schönkopf
>Yang Wenli→Yang Wen-li
そうでしたか。情報ありがとうございます。たしかにネットで検索すると、「Schoenkopf」という姓はあっても「Schenkopp」はないようですね。もし時間があれば、ジョアン・レベロとドミニク・サン・ピエルのチェックをお願いできませんでしょうか?私の記憶が正しければ、二人とも第12話「帝国領侵攻」で初登場したと思います。誤りを完全に追放するのは難しいでしょうが、男女の名前を間違えるのは、いくらなんでも恥ずかしい。