- 親記事No.3220スレッドの返信投稿
- board4 - No.3254
Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?
- 投稿者:古典SFファン
- 2002年11月09日(土) 03時11分
IKさん:
> 確かに毀誉褒貶の多い人物だったようですね。その矛盾した生き方そのものが人生というものの厚みなのでしょうか。
彼は、付く勢力を変える都度、前に弁護していた人々から非難される事しきりでした。
敗北も少なくありませんが、総合的な勝率の高さ、人望、政治的勢力とも関係もあって、彼の力は当時伝説的なものであったようです。
(当時そう云う弁護士は何人かいたようです。ダロウの伝記には、アール・ロジャースや、レ・コート・デイヴィスなど、当時並び称されていた弁護士の名が現れます)
そのために、彼の動向は常に、かなりの人々の注目を集めていたと。
良くも悪しくも、今のわれわれには想像しづらいような、アメリカの司法と政治の混交する領域を泳いでいた人物と云うのが、私の評価の一部です。
> 私は人種差別というものが大嫌いですので、残念ながら差別する側に立って法廷に関わったダロウにいい印象を抱いておりませんでした。
> しかしひとつの事件、ひとつの物差しだけで人間を見てはいけないという典型例のようですね。
>
これだけは彼のために(笑)弁護させていただきます。
ダロウは、初期の黒人の権利拡大運動にも関わっています。
(その種の全国組織にも加わっていた模様です)
彼が、黒人の医師が白人の住宅地から追い出されかけた事件を弁護したケースが、伝記にも掲載されています。
また、彼に関して、以下のようなエピソードも掲載されています。
『「ダロウさん、あなたのような地位にあるかたが、なぜ人種平等論を擁護するのか、私には理解できないのですが?」
弁護士の一人が彼に訊ねた。
「なぜかって? そんなことをなぜあなたが気になさるのですか? その ほうが私にはわかりませんよ。知的な黒人たちと一緒に過ごすのは楽しいものですからね」
「しかし、アングロ・サクソン民族の純血はどうなるんですか?」
「アングロ・サクソン民族の純血だって!」
ダロウは鼻の先で笑って、
「彼らこそ、この地上にはびこる最も下司っぽい偉大な民族じゃないですか。 そんな呼称の民族がいるかどうかは知りませんが、私もその民族の一人です。私の先祖は、この土地に三百年近く前に住みついたのですが、そんなこと はとても自慢できることじゃありませんよ。むしろ私は、そのことを詫びたいくらいです」
と言い放った。』
『・・・意見を異にする相手との平和的な共同生活を人々に説得しようとする仕事は、誰にも感謝されない、終わりのない仕事であった。
自由思想家の口に枷をはめようとする宗教家と闘う彼は、無神論者と呼
ばれた。教会制度をくつがえそうとする自由思想論者に反論を加えると、中世尊重主義者とけなされた。清教徒たちが異教徒を圧迫しようとすると、彼は異教徒のために闘った。異教徒がキリスト教を笑いものにしようとすると、彼は清教徒のために闘った。
・・黒人を敵視し、雑巾と箒の生活に彼らを鎖で縛りつけ、無知と貧困の中に放置しておこうとする白人たちを相手にダロウは闘った。
彼は、従業員を機械と、飢えさえもしのげない低賃金に縛りつけておこ
うとする偏狭な雇用者とも闘った。社会が、病めるもの、精神的な不具者や精神の均衡を失ったもの、放浪者、異端者、社会的落伍者につらくあたると、ダロウは社会全体を相手取って闘った。
・・無情と不正の二つこそ、彼には耐えしのぶことのできない最も破壊的な敵だったのだ』
(『』内伝記より、抜粋)
伝記「アメリカは有罪だ」を見る限り、彼の伝記作者、
アーヴィング・ストーンはかなり突き放した書き方をする人ですが、
それでも行間に、当時の人に取ってダロウがどういう
イメージで見られていたのかを示す記述がこぼれています。
かと言って、彼が一点の曇りもない人格者だったのかと言うと、
そうでもありません。
彼には離婚歴があり、一人目の奥さんの旦那が後に判事となったため、
後に法廷で色々な事件を争う事になったりもしています。
また、浮気については・・・
『ロサンジェルスで起訴された時、ダロウは地方検事が、夜明けにパサデナに住む美しい未亡人の家を去る彼の姿を撮したと称する写真を証拠品として提出しようとしていると聞いて、手ひどい精神的打撃を受けた。
その時、彼の友人の一人は、次のように云って彼を慰めたと云う事である・・
「そんなにしおれるな、クラレンス。きみの敵は、たとえ証拠写真がなくても、きみの最も悪い面を想像するに決まっているし、きみの友人はあれがつくりものだと云う事をみんな知っている。
もしきみが美しい未亡人の家で一夜を明かしたとしたら、明け方に彼女
の家にいとまを告げるはずがない事くらい、誰でも知っているさ。
きみなら、間違いなく彼女の家で朝食をご馳走になっていたはずだ」』
・・・・・こんなんです(笑)。
ちなみにダロウは何度も起訴されています。
ほとんど信じられないような話ですが、当時法廷戦術として敵側の証人を偽証罪で起訴しまくったり(ビビって証言を翻す者もあったらしい)、さらには不当逮捕などが相当行われてもいたようです。
そう云う時代を、ダロウは図太く生き抜いてきた人です。
ちなみに、いかにも今風の弁護士のパリっとしたスタイルではなく、極端な着流し(よく、よれよれの背広を着ていたり、カッター一丁だったりしたらしい)で法廷を出入りし、
それでいて格調高い弁論を駆使して人を動かす彼は、当時おおっぴらに
異端者呼ばわりされていたとの事です。
(作家志望で、オマール・カイヤームの詩が大好きだったそうです。後に、詩人志望の弁護士と事務所を組んだりしていた時期もあります)
私がダロウの人間像に触れたのは中学生時代の事ですが、・・・人間の世界と言うのは、信じられないほど幅があるものだと思いました。
今の私の目から見ると、その粉飾や伝説の形成され方も含めて、ダロウと言う人は実に面白い人物であったのだと実感されます。
ちなみに、私にとってダロウと並び称するか、
さらに特異な人物を挙げるなら、・・こちらの方が有名でしょうが、
のちのオスカー・シンドラーがそれに当たるのではないかと思います(笑)。
「シンドラーのリスト」の文庫版を読むと、オスカーのトリックスターぶりは、単純な善悪で計れない人間の面白さを伝えてくれます。
・・・彼は、明らかにナチスに密かなケンカを売るのを心から楽しんでいます。
彼の正義感は、読んでいてひしひしと感じられるのですが、そのために
採った手段は、ナチス幹部に取り入り、酒と現金とダイヤモンドで篭絡し、
卓越した交渉手腕で説得する事でした。
(ナチス内部にも、党の方針に嫌気が差したシンパが何人も居た事も記述されています)
彼が単純な善人であったり、ナチス幹部をたぶらかす事を躊躇ったりしていたら、助かった人数はずっと少なかったはずです。
・・オスカーは戦時には活躍したのですが、戦後商売をしくじって運に見放されてしまうのですが・・・
彼らような人々(言わば、「非常の人」)のバイタリティーと、その「時と場所を得た時鬼神のごとく活躍する」様子、そして色々な綾のある人間性は、それに触れた者を時代を超えて魅了するものがあると思います。
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- board4 - No.3255
Re:銀英伝世界における教育制度
- 投稿者:SAI
- 2002年11月09日(土) 10時07分
>イッチーさん
>
> ラインハルトとキルヒアイスのほかに士官学校を出ずに提督になった人物が帝国にいます。それはトゥルナイゼン中将です。彼は士官学校を中退して、戦争に身を投じたと文庫版第5巻10頁にあります。少尉に任官したのち、再び士官学校にもどされるなら、トゥルナイゼンも士官学校を中退などしなかったでしょう。定刻における士官学校の存在意義って、いったい・・・。
それに関しては、普通に士官学校を出て提督になれる確率と、そうではなく特例で提督になる確率の違いだと思います。士官学校を出ても必ず提督になれるわけではないが、なったとしてもニュースにはならない。それはごく一般的な例だから。
だが、士官学校を出ない場合なれる確立はは0ではないが限りなく0に近く、なったこと自体が大ニュースで記録的なことになると思います。
あげられた3人以外いないとしても不思議ではありません。
なお、現実でも似たような例はありますが、まず普通は無理。なろうと思ってなれるものではありません。
>
>
>
> ①の答えでは、士官に任官したものは下士官あがりでも士官学校で教育を受ける必要があるということでしたが(日本の警察官は巡査からはいあがった者も国家公務員Ⅰ種試験に合格した者も警部補に任官されると、警察大学校で教育を受ける)、ユリアンはなぜ士官学校入学を命じられなかったのでしょうか?
いくつか理由は考えられます。
戦況の悪化に伴い教育期間を短縮したのかもしれません。
手違いがあったという可能性もあります。軍隊もなんだかんだいって官僚組織でもあるので、そういうこともないわけではないです。
>IKさん
何がわからないか書いてくれれば、私は解説します。大丈夫、かみつきませんから(笑)
- 親記事No.3220スレッドの返信投稿
- board4 - No.3256
Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?
- 投稿者:Ken
- 2002年11月09日(土) 14時24分
古典SFファンさま、
クラレンス・ダロウについての、力の入った書き込みを読ませていただきました。(もはや、銀英伝世界の人工知能でもなんでもありませんね。でも、大変によい方向へ、議論が枝分かれしたと思います。)
とくに、
>『・・・意見を異にする相手との平和的な共同生活を人々に説得しようとする仕事は、誰にも感謝されない、終わりのない仕事であった。自由思想家の口に枷をはめようとする宗教家と闘う彼は、無神論者と呼ばれた。教会制度をくつがえそうとする自由思想論者に反論を加えると、中世尊重主義者とけなされた。清教徒たちが異教徒を圧迫しようとすると、彼は異教徒のために闘った。異教徒がキリスト教を笑いものにしようとすると、彼は清教徒のために闘った。
の箇所は、とくによかったです。ダロウがこのとおりの人物だったとしたら、精神にある種の「筋金」が入っていたのでしょうね。
私は、ダロウの名前も知りませんでしたので、古典SFファンさんの投稿を読んだ後、ネットで検索すると、多くの記事が見つかり、その中に「スコープス事件(モンキー裁判)」もありました。
ただ、スコープス裁判の記事を読んだ限りでは、ブライアンに対するダロウの発言、とくにブライアンを証言席に立たせて、現代科学と適合しない、バイブルの神話的な部分を取り上げては、相手を追い詰めてゆくやり方は、裁判を有利に運ぶ上でやむをえないとはいえ、あまり気持ちのよいものではありませんでした。なんだか、オーベルシュタインとビッテンフェルトの応酬をみているようで、ダロウがつねにこの種の言い方をする人物だったら、オーベルシュタインに敵が多いのと同じ理由で、彼もいろいろな敵を作ったのではないか、と思います。(もしも、ニュートンやアインシュタインがスコープス裁判のダロウ対ブライアンを見たら、何を思い、どちらに同情的な態度をとっただろう、という思いが浮かびました。)
以下は、ダロウや(ましてや古典SFファンさんに)反論しようというものなどではなく、ただ、せっかく盛り上がった話に、さらに実りを加えるべく、私なりに提供できるものを提供しよう、と考えての書き込みです。
「進化論」、特に20世紀初頭の進化論に関して、今や忘れられてしまったことがあります。(いや、この掲示板で積極的に発言をしている人たちなら、ご存知かもしれませんが。)
それは、この理論が帝国主義者にさかんに利用されたことです。なにしろ、「適者生存」を説いていますので、当時の強者(つまりヨーロッパ列強)が、弱者(アフリカ、中東、アジア、アメリカ原住民等)を征服し、生活圏を奪うのは、あたかも哺乳類が爬虫類から、生態系の王座を奪ったのと同様に、「自然の理にかなったこと」とされたのです。
ちなみに、ダーウィン自身も、このような発想から、完全に自由であったわけではありません。彼は、南米のティエラ・デル・フエゴ島で石器時代の暮らしをしている原住民を見て、彼らを人間より進化の程度の低い生物と考え、皮肉なことに、これこそが進化論を人間にまで適用する理論の基礎となりました。つまり、「後進地域」の住民は、サルが人間に進化してゆく途上の状態にあるのだ、というわけです。
スコープス裁判のブライアンに関して、最も好意的な評価として(繰り返しますが、「最も好意的な」です)は、彼が進化論を敵視したのは、まさにこのような、進化論の人種論的側面を危惧したのだ、というものがあるようです。そして、私のしる限りで、これは近代のキリスト教が(少なくともカソリック教会が)、とった立場と一致します。
なお、このような進化論的人種論を極限まで進めたのが、いわずとしれたナチスです。そして、ドイツの諸宗派がナチスの権力に屈して協力的になっても、最後まで反対したのがカソリック教会であった、という記述が、ワシントンの「ホロコースト博物館」にあります。
私たちは21世紀に生活しており、「進化論者」イコールリベラルな進歩派、「天地創造論者」イコール頑迷な守旧派という印象を無批判に受け入れがちですが、両者の対立にはこのような側面が過去にあったし、ひょっとして今もあるかもしれない、というのが私の感想です。
それにしても、ダロウのことはもっと知りたいですね。キング牧師などが彼をどのように評していたのか、ネットで調べてみたいと思います。
- 親記事No.3220スレッドの返信投稿
- board4 - No.3257
Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?
- 投稿者:古典SFファン
- 2002年11月09日(土) 17時55分
Kenさん:
>とくにブライアンを証言席に立たせて、現代科学と適合しない、バイブルの神話的な部分を取り上げては、相手を追い詰めてゆくやり方は、裁判を有利に運ぶ上でやむをえないとはいえ、あまり気持ちのよいものではありませんでした。なんだか、オーベルシュタインとビッテンフェルトの応酬をみているようで、ダロウがつねにこの種の言い方をする人物だったら、オーベルシュタインに敵が多いのと同じ理由で、彼もいろいろな敵を作ったのではないか、と思います。
まさにその通りでした。
彼は味方と同様に敵も多数作りました。
大衆的な人気も、彼の動向と一緒に右往左往していたようです。
ダロウとブライアンの対決についても、・・・ある意味、この二人は異なる二つの宗教を代表していたようなものです。
ダロウは「知識は人間を解放する」と信じていました。
彼が最も憎んだものは、人々を知識から遠ざけてしまう類の偏見です。
ブライアンは文字通り聖書を一字一句信ずるというファンダメンタリストで、信徒でなく本物の宗教家です。
ブライアンは、清貧とまでは行きませんでしたが、金で買われる事がなく、貧しい者のために骨身を惜しまない男であったとも、伝記は伝えています。
そして進化論裁判は、象徴的には進化論の正否を問うものでしたが、
法的には、「科学的に真実とされているある事を、子供たちに教えてはならない」とする法律の是非を問うものでもありました。
この件では、ブライアンの立場はオブザーバーに近い。
(何しろ裁判の本筋には、彼の弁論は何ら関係ありませんし)
しかし、伝記の記述を信ずる限り、「ダロウは絶対にブライアンを許すつもりがなかった」ようです。
ブライアン自身をではなく、彼が(おそらくは無自覚に)支持していた立場を。
ダロウの生涯の信念と絶対に相容れなかったが故に。
>(もしも、ニュートンやアインシュタインがスコープス裁判のダロウ対ブライアンを見たら、何を思い、どちらに同情的な態度をとっただろう、という思いが浮かびました。)
実際、ブライアンに同情したとしても不思議はありません。
この件では、ダロウは非常に攻撃的でした。
政治的信条で動いていた時よりも遥かに。
もっと穏便に、例えば単にブライアンの弁論と裁判の正否を切り離してしまうだけでも良かったはずです。
裁かれているのは進化論や聖書ではなく「学校である事を教えるな」と云う法律に違反したかどうかで、実際「違反した」と云う判決が出てるわけですし。
やりすぎと映っても不思議のないところで、実際、伝記に拠れば傍聴していた裁判地(デイトン)の住民の間では評価が割れたようです。
>
> なお、このような進化論的人種論を極限まで進めたのが、いわずとしれたナチスです。そして、ドイツの諸宗派がナチスの権力に屈して協力的になっても、最後まで反対したのがカソリック教会であった、という記述が、ワシントンの「ホロコースト博物館」にあります。
>
> 私たちは21世紀に生活しており、「進化論者」イコールリベラルな進歩派、「天地創造論者」イコール頑迷な守旧派という印象を無批判に受け入れがちですが、両者の対立にはこのような側面が過去にあったし、ひょっとして今もあるかもしれない、というのが私の感想です。
社会ダーウィニズムと、その後のダーウィニズムについては、私も
学習しました。
あの時代以来、進化=進歩ではないと云う警句は何度となく繰り返されつづけています。
しかし、・・いつかそこからルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが
出現する素地はあるのかも知れません。
・・人間は、優劣をつける思想が好きなのです。
それがどのようなものであれ・・・。
>
> それにしても、ダロウのことはもっと知りたいですね。キング牧師などが彼をどのように評していたのか、ネットで調べてみたいと思います。
追伸になりますが・・・
>(もはや、銀英伝世界の人工知能でもなんでもありませんね。でも、大変によい方向へ、議論が枝分かれしたと思います。)
・・確かに掲示板の趣旨からすると外れすぎているかも知れませんね・・。
- 親記事No.3246スレッドの返信投稿
- board4 - No.3258
Re:「社会の膿を撃つ」について
- 投稿者:不沈戦艦
- 2002年11月09日(土) 21時16分
> あたしの書き込みに返事してくれて、どうもありがとう!
>
>
> さて、ご質問に答えてあげよう。
>
> あたしの読んだ訳本からみると、「創竜伝」で描かれた政治家、警察などの人物は発展途上国の中国の上海でもモデルがいる!!
> もちろん、上海でも、東京でも、そんな政治家しかないわけでもないとしてるけど、やっぱりそのような人の数はすくないとはいえないでしょ?「創竜伝」では、この状況を倍に拡張して表現したけど、なんか「警世」の意味があるじゃないか?これは出すぎじゃないと思う。あたしたちが見たのはただの外皮で、本当の情況はどうかわからない。さらされたの不祥事はただの「氷山の一角」かもしれない。これらは「社会の膿」じゃない?そのぐらいの皮肉で「言い過ぎ」といったら、ほんとうにいいのか?
えーとですね、創竜伝の一巻に出てきた「政財界の裏を統べる黒幕」の「船津忠厳」なんかは面白いキャラだと思いますよ。でも、「創竜伝」の中で、現実の海部俊樹(元)総理大臣をモデルにして、「目の間の離れた男」呼ばわりしていたことがあったんですけど、これはいかがなものでしょうか(何巻だったかは忘れましたが)?身体的特徴をあげつらって、笑いモノにしているという行為は、「批判」とか「社会の膿を撃つ」とかじゃないですよね。それに、現実の人間をモデルにして架空世界のキャラクターを作り出すという手法は構わないと思いますけど、だからと言って「現実の人間に対する批判(悪口雑言に近いです)」の為に、架空世界で現実の人間をモデルにしたキャラクターを出す、というのはいかがなものでしょう。私には、褒められたこととは思えませんね。それに、冒険風ライダー氏がこのHPで考察をまとめてくれていますけど、「社会の膿を撃つ」内容も、間違いが多いですし。
- 親記事No.3246スレッドの返信投稿
- board4 - No.3259
Re:「社会の膿を撃つ」について
- 投稿者:不沈戦艦
- 2002年11月09日(土) 21時33分
> > honooさん、
> >
> > >わたしが読んだ「創竜伝」は日本語で書いたものじゃない、中国語の訳本です。(残念ですね!)
> >
> > そうでしたか。でもまあ、だいじょうぶですよ。私は、以前に、田中先生の作品は、英語に訳すのは難しい、と言ったことがありますが、中国語なら漢字を共有しているし、なんとかいけるでしょう。
> >
> > >そして値段はとっても受け入れない・・・クレジット・カードなどももってないですが・・・でも、本当に田中先生の原典が読みたい。
> >
> > 先の発言で書いたように、私にメールをくれたら、喜んで送ってあげます。お金のことは心配しないでください。私は、アメリカ人の友達から、キリスト教の本をたくさんもらいました。「これを読め。こっちも読め」と、次々にくれるのです。おかげで、キリスト教の本で、自分で買ったのはバイブルくらいです。私の友達は、そういう本を外国人――とくに日本のように、キリスト教が弱い国からきた外国人――が読むこと自体がうれしいのです。私も同じです。田中先生の本を、中国の人が読みたいと思うなら、協力します。電子メールをください。
> >
>
> >ありがとう!今、あたしは「薬師寺涼子の事件簿」によっぱらているから、どうしてもそれが一番読みたい!そして、ストーリの構成と内容もより簡単ですし、原典のよみはじめるところにふさわしいと思う。
> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
>
> > さて、先に書いたように、私は創竜伝を読んでいないので、細かい話になったら、honooさんの相手ができないな、と思っていたのですが、不沈戦艦さんが回答をくれましたね。(ところで「不沈戦艦」というハンドル名を見て、「やっぱり日本は軍国主義」なんて、思わないでくださいね。「なんとなくかっこいい」から、こんな名前を使われているだけだと思います。)
>
>
> > そんなことはない。不沈戦艦さんも田中先生がすき、こちらははっきりわかている。どちらともしりたい、kenさんと不沈戦艦さん、そしてこの掲示板で発表したみなさんも。論文にいれたいのは田中作品に対して、自分の意見や自分がこれから受けた影響など。ただ「創竜伝」その本を読んだあとの感想文じゃないから、「創竜伝」を読んでも、読んでいないでも、kenさんの意見が聞きたい。田中作品をどう思ってるとか、どうして田中先生を尊敬するとか。
> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「不沈戦艦」ですけど、「不沈戦艦紀伊」という、架空戦記小説が出所です。
> > 不沈戦艦さんが書いたように、田中先生には「銀河英雄伝説」という、たいへんにすばらしい作品があります。とくに「ヤン・ウェンリー」という、すばらしい中国人がでてきます。ここの掲示板に来ている人の多くも、銀英伝は大好きで、それに比べて創竜伝がつまらないから、残念に思っているのだと思います。(自分が読んでいないので、想像するしかありませんが。)
> >
> >
> > >でも、「田中作品が小説のルール破り」ということにどしてもうけとれない!これはただ作品に対しての感想じゃない、小説そのものの意味が認識できないのではないか?そして、田中先生の創作自由に手を出したい意味もあるまいか?
> >
> > honooさんがいう「ルール破り」をやっている小説家は、日本のような国には、田中先生だけでなく、ものすごくたくさんいます。ここの掲示板にくる人たちが、「ルール破り」を理由に小説家をつぶそうとしたら、田中芳樹だけに、こんなに時間と労力をかけられません。また、私などは、田中芳樹さんを擁護することが多いので、今頃はこうして掲示板に書き込めないほど、ひどい目にあっているでしょう。でも、私に対して「だまれ」とか「でていけ」という人はいません。
> >
> > >ここでたがいに攻撃するのは不祥じゃないか?「蝿」と呼び合えるなんて・・・「尻の穴が狭い」なんて・・・
> >
> > うーむ。いたいところをつかれました。(ところで「不詳」という中国語は「悪意がある」という意味なのでしょうね?)そういう言い方をする人は、たしかにいますし、そういう言い方をする人には、いなくなってほしいと、私も思います。ただ、インターネットの掲示板のように、互いの顔を見えないところで、相手を「蝿」と呼んだからといって、それが「実社会」での相手の立場を傷つけるわけではありません。相手を「蝿」と呼ぶ人は、そのことに安心しているから、半分はおもしろがって、わる口を言っているのです。
そりゃね、「誰もが礼儀正しく議論を」が理想だ、というのは分かりますよ。しかし、現実はそうでもないでしょう。どうしようもないのが来ることもないでもなかったですし。「相手によりけり」で、罵倒表現を行うことは、私は否定しませんよ。但し、自分でもやってる人が泣き言をほざくのは問題(というか「みっともない」ですね)ですが。
それと、「創竜伝」の中には、「現実世界への罵詈雑言」としか思えないような表現が多々出てきますけど、それについてはどう思われますか。言われた方は「腹立つ」で「反撃」したくなるんじゃないでしょういか。でも、「小説だからフィクションであって、あなたの事じゃない」と田中芳樹は逃げることができるんです。これって、いいことですかね?「作り話」という煙幕で、田中芳樹は現実の誰かをいくらでも攻撃できるのに、攻撃された方は一切反撃できない、という状況は。
> >
> > >あたしの読んだ訳本からみると、「創竜伝」で描かれた政治家、警察などの人物は発展途上国の中国の上海でもモデルがいる!!
> > >もちろん、上海でも、東京でも、そんな政治家しかないわけでもないとしてるけど、やっぱりそのような人の数はすくないとはいえないでしょ?「創竜伝」では、この状況を倍に拡張して表現したけど、なんか「警世」の意味があるじゃないか?これは出すぎじゃないと思う。あたしたちが見たのはただの外皮で、本当の情況はどうかわからない。さらされたの不祥事はただの「氷山の一角」かもしれない。これらは「社会の膿」じゃない?
> >
> > そういう回答がくるだろうな、と思っていました。政府や権力者が悪いことをしているのを、痛烈にやっつける部分を言っているのですね?たしかに中国には、そういう小説はあまりないかもしれませんね。でも、そういうことをやっている小説家は、田中先生以外にも、ほんとうにたくさんいるのですよ。インターネットの掲示板で批判する程度で、そういう意見を封じることができるなどと、まじめに考える人はいません。
> >
> > 小説だけでなく、新聞の論説などでも、政府や権力への批判はあります。朝日新聞(www.asahi.com)の社説を読んだらおもしろいかもしれません。また、honooさんは英語は読めますか?もし読めるなら、アメリカのニューヨークタイムズ紙(www.nytimes.com)とか、ニューズウィーク誌(ttp://www.msnbc.com/news/NW-front_Front.asp)とかの記事を読んでみてはどうでしょうか?アメリカ政府のやり方を、「こてんぱん」にやっつけている記事がいくらでもみつかりますから。「ブッシュ大統領が、なにがなんでもイラクをやっつけようとするのは、父親がやり残した仕事を息子が仕上げたいという、個人的な感情だろう」とかね。(いくらなんでも、これはいいすぎだと、私は思いますが。)
>
>
> >そうですね。やっと気がついた。わが中国は日本とアメリカと違って、「言論自由」がまだ手に入れない国なんですよ!そんな「自由」に論争する場面になれないから、なんとか違和感がある。「互いの顔を見えない」インターネットの掲示板でも、誰かに「蝿」などと呼ばれると、必ず腹立つ、反撃するなんだが、新聞で大統領の悪口をいうなんて、想像でもできない!!中国では、そんあことのおこりはけっしてない!誰かが書いても、発刊前に逮捕されて、ひそかに「処理された」かもしれない。
>
>
> PS:もねじゃだめ!明日また授業があるから。kenさんたちとここで知り合いできて、ほんとうによっかた! 今後もどうぞよろしくお願いします!!
そこは中国と日本では違うところですね。ですから、田中芳樹も「政府に対する批判」などがやりたいのなら、堂々とノンフィクションの論説でも書けばいいんですよ。首相やら国会議員やら大企業やら官僚やらをいくら批判したところで、逮捕されるだの誰も知らないところに連れて行かれて殺されるだのということは、日本ではあり得ないんですから。それで逮捕されるんだったら、よく引き合いに出されますけど、佐高信などは、何回逮捕され殺されているか分からんところです。それどころか今もってピンピンしていて、相変わらず各種メディアで政府や官僚、大企業などの悪口を言いまくってますよ。
- 親記事No.3220スレッドの返信投稿
- board4 - No.3260
Re:銀英伝世界で人工知能はどれ位発達しているか?
- 投稿者:SAI
- 2002年11月10日(日) 01時34分
>古典SFファンさん
ダロウについては全然知らなかったので、詳しい解説ありがとうございます。
> 社会ダーウィニズムと、その後のダーウィニズムについては、私も
> 学習しました。
> あの時代以来、進化=進歩ではないと云う警句は何度となく繰り返されつづけています。
まあ、その手の狂気に取り付かれるのは今に始まったことではないですからね。進歩とか進化とか言う人間が実は何も進歩も進化もしていないというパラドックスがありますから。
なお、適者生存もダーウィン選択(%1)も実はうそであり、進化論自体、生物が進化するかどうかも含めていまだもってすべて仮説です。
だが、そのような事は言わず、狂気的な説を正当化する人間は今も昔もいるんですね。
> しかし、・・いつかそこからルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが
> 出現する素地はあるのかも知れません。
> ・・人間は、優劣をつける思想が好きなのです。
> それがどのようなものであれ・・・。
まあ、ルドルフのような男は軍人であり、良くも悪くも行動の人間で、
あのような不合理な思想を造ったわけではなく、それまでの社会でさんざん言われてきた思想を極限まで推し進めただけだとは思います。
そこからルドルフのような人間が出てくるというのはその通りだと思います。
%1
生存力や子供を多く育てられる突然変異が、ほかの同種内の個体より多くの子を残すことで、同種内の他の個体を駆逐して広がるダーウィンの進化論に現れる選択
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- board4 - No.3262
アヘンについて
- 投稿者:よしき たなか
- 2002年11月10日(日) 16時18分
一応、ページは読んで、大丈夫だと思うのですが、重複してたらすいません。
第10巻 P152 L12の
「麻薬であるアヘン・・・没収して焼き捨てると・・・」
とあるのですが、この最後の焼き捨てたという記述が気になりました。
なんとなく以前読んだ、陳舜臣氏(もちろん田中氏の心の師です!)”実録アヘン戦争”のP170辺りに、
アヘンの処分方が書いてあり、焼いても阿片は完全に処分できないので、塩と石灰と池に入れて処分したそうです。
まぁ、焼き捨て云々は、単なる処理したって意味で使ったのかもしれませんけど。
ここの書きこみで知ったのですが、陳舜臣氏を「心の師」など仰いでる田中氏なのに、
「ひょっとして知らなかったのかな?」
と思ったのですが、みなさんどう思いますか?
-
- board4 - No.3263
Re:田中芳樹の小説の魅力
- 投稿者:八木あつし
- 2002年11月10日(日) 16時29分
> 「銀英伝」「タイタニア」と戦闘シーンの描写がイメージしやすく読みすすめやすくおもしろいですね。タイアニアに似てるような似てないようなな森岡浩之の星界シリーズは、話はおもしろいけど戦闘シーンが難解すぎて戦闘シーンがイメージできなかったです。
>
> みなさんはどんなところに魅力を感じますか?
こいやんさんはじめまして。八木といいます。
星界の戦闘シーンが思い浮かばないのならば、一度星界のアニメを見ることをお勧めします。出来はかなり良いですよ。
私が田中作品に感じる魅力は、人間ドラマですね。(創竜伝の後半の巻の竜堂兄弟のかけあいは除かせてもらいます)
そして歴史ドラマ。後生の歴史家の視点は、凄く好きです。
架空歴史の組み立て方。よくあれだけ設定を考えたなと思います。
キャラクターのセリフの上手なところとセリフを現実世界で使ってみたいと思わせるところも魅力です。
私の勝手な考察ですが、森岡浩之氏と田中芳樹氏の作品では明確な違いは1つあると思います。(沢山の作品がある田中氏と星界1つと言ってもよい森岡氏を比べるのも違うかもしれませんが)
主人公の存在感です。ラフィール殿下の存在感に比べると田中氏の作品の主人公達は(キャラにもよりますが)薄い・弱い気がします。
銀英伝のヤンやラインハルトと比べると、どうも他の作品の主人公は周りを固める集団がいないと存在感が強くない。
竜堂兄弟は、ピンでは確実に弱いですね。兄弟が示すように4人いないとどうも様になりません。
アルスラーンも1人ならただの正義感の強い少年にすぎないかな。アルスラーンの周りを固める部下達がいてこそ引き立ちます。
灼熱の竜騎兵は、問題外かもしれません。キャラが立っていない。革命集団として集団が主人公になっています。
もちろん作品の書き方の違いがあります。星界の紋章は冒険活劇系な小説。田中作品は歴史小説の要素が強いです。その辺りも考慮しなければなりませんが。
もしかしたら田中氏と森岡氏の世代の差もあるのかも。
森岡氏のラフィール殿下は、確実に現代の「萌え」要素を含んでいますね(笑)。ある特定ファン層を取り込むための主人公の作り方を森岡氏はよく知っていると思います。
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- board4 - No.3265
Re:銀英伝世界における教育制度
- 投稿者:イッチー
- 2002年11月10日(日) 19時01分
SAIさま、レスありがとうございます。
> それに関しては、普通に士官学校を出て提督になれる確率と、そうではなく特例で提督になる確率の違いだと思います。士官学校を出ても必ず提督になれるわけではないが、なったとしてもニュースにはならない。それはごく一般的な例だから。
> だが、士官学校を出ない場合なれる確立はは0ではないが限りなく0に近く、なったこと自体が大ニュースで記録的なことになると思います。
> あげられた3人以外いないとしても不思議ではありません。
>
> なお、現実でも似たような例はありますが、まず普通は無理。なろうと思ってなれるものではありません。
文庫版第5巻10頁では、トゥルナイゼンは士官学校を中退して、実戦指揮官・作戦参謀として武勲を重ねたとありますが、士官学校を出ていない人物が作戦参謀になれるのか、初めて読んだ当時、疑問がありました。可能性としては、トゥルナイゼンの実家の家柄が良くて、軍隊内で誰か引き立てる人物がいたうえに、軍の高官を占めていた門閥貴族が没落して、ラインハルト派のトゥルナイゼンが自動的に昇格したといった偶然の要素が強かった結果、出世できたということが考えられますね。
>
> いくつか理由は考えられます。
> 戦況の悪化に伴い教育期間を短縮したのかもしれません。
> 手違いがあったという可能性もあります。軍隊もなんだかんだいって官僚組織でもあるので、そういうこともないわけではないです。
ユリアンの昇進はヤンからユリアンを引き離そうというトリューニヒトの策謀の結果だったのですが・・・。それならば、フェザーン駐在武官に任命するという強引な手を使わなくても、「ユリアン・ミンツを少尉に昇進させる。少尉任官に伴い、士官学校入学を命ず」と辞令を出せば、合法的にユリアンをヤンから引き離すことが出来た上、ユリアンを首都ハイネセンで自分の監視下に置くことが出来たはずなのですが・・・。同盟官僚の士気が低下していて、そこまで頭が回らなくなるくらい、行政処理能力が低下していたのかもしれませんが・・・。(倒産寸前の会社なんかだとよく社員が常識では考えられないミスをするものですし)
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