- 親記事No.3468スレッドの返信投稿
- board4 - No.3595
Re:詭弁では
- 投稿者:Ken
- 2003年02月07日(金) 15時44分
パンツァーさん、
すみません。先ほどの投稿で、私にとっては大事な点をひとつ言い忘れました。
文明の衰退に関するパンツァーさんの指摘に対する私の答えは、自由惑星同盟の文明も衰退したように聞こえますね。失礼しました。これは私の見解とは異なります。
私は、デモクラシーの国フリー・プラネッツまで、専制帝国のように技術文明が衰退したという認識はもっておりません。その点は、パンツァーさんと認識を共有しております。
ただ、自由惑星同盟は、冒険風ライダーさんが繰り返し指摘されるように、「逃亡奴隷」が作った国です。銀河連邦の技術遺産を継承できた銀河帝国に対し、出発点で非常なハンディがあったのではないでしょうか?しかも初期の人口はわずか16万でした。
この出発点でのハンディのせいで、建国後270年を経ても、同盟の技術力が帝国を大きく凌駕していない、というのが私に思いつく最もストレートな解釈です。
尤も、田中氏が同じ認識をもって銀英伝世界を設定したか、となると、それとは違うのでは、とも思うのです。むしろ田中氏は冷戦、それも宇宙開発など一部の分野でソ連がアメリカに先行していた時代をモデルに、帝国対同盟の抗争を書いたのでは、と私は想像しております。
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- board4 - No.3596
Re:例えばですが・・・・
- 投稿者:不沈戦艦
- 2003年02月07日(金) 17時15分
こんな風な反論なら、多分、冒険風ライダー氏も納得するでしょ。賛成するかどうかはともかく。
えーとですね、ガイエスブルグが潰された後、移動要塞が再度採用されなかった理由は、ヤンがあまりに簡単にガイエスブルグを破壊してしまったことによるのでは、ということはないかと考えますが。
つまり、艦隊を繰り出して、移動中の移動要塞の同調させたエンジンの一基に集中砲火を加えれば、推力バランスを失って激しく回転を始め、自滅してしまうということです。このようなどうしようもない弱点を抱えているのでは、「移動要塞は今後は使えない」という強固な固定観念を、ヤンにもラインハルトにも与えてしまったということはありませんかね。いくら要塞が強力だと言っても、ある程度空間に分散させた艦隊を、要塞砲の一撃で完全に仕留めるのは無理ですからね。敵艦隊が犠牲覚悟で突進して来た場合、エンジンを破壊させないのは難しいでしょう。銀英伝作中にも、ロイエンタールによる「ラグナロック前の嫌がらせに近いイゼルローン攻撃」のような実例もあることですし。外部に剥き出しになっているエンジン部は、攻撃には弱いでしょうし。仮に、敵艦隊に接近された場合は、エンジンをカットし移動しない運用にしたとしても、それでもエンジンを一基でも破壊されてしまった場合は、敵艦隊を追い払って修理に十分な時間が取れるようにしなければならないし、エンジン修理用の部品は要塞内にそれなりに常備しておかなければならないし、修理している間は文字通り身動き取れないし、と移動要塞最大の「売り」である機動力が大幅に殺がれるので、ヤンもラインハルトも「あまり実用的な兵器ではない」と判断したとしても不思議はないのでは?
「イゼルローンを移動要塞に改造後、帝国領内をゲリラ的に行動すれば捕捉されることは先ずない」ということは否定しませんが、「万が一にでも、艦隊規模の相手に捕捉された場合」、ということをヤンが考えてしまった場合、そういうことをやる気が失せるということになりませんかね。「最悪の場合」を考えないヤンということはないでしょうし、自分がやった手で今度は自分が叩き潰される、というのはヤンでなくても嫌でしょう。
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- board4 - No.3597
Re:素朴な疑問
- 投稿者:IK
- 2003年02月07日(金) 23時46分
RAMさん、こんにちは。
おおよそ同意なので感想だけ。
ベーカー・ストリート・イレギュラーズは、ワトソンがいて幸せだなあ(笑)
矛盾する記述はワトソンの記憶違いということで決着をつけて、ホームズの聖性は守れるのですから。自分の奥さんのことも忘れるなんて、ワトソン博士、健忘症が激しいんじゃないの? と思いますが(^^)
銀英伝にはワトソンがいないですからねえ。何らかの理屈をみつけるしかない訳です(あるいはこの議題から撤退するか)。
- 親記事No.3468スレッドの返信投稿
- board4 - No.3598
だから、詭弁ですって
- 投稿者:パンツァー
- 2003年02月08日(土) 00時51分
こちらこそ、Kenさん、こんにちは。
> 人間の身長が180センチ、ウルトラマンが40メートルとすると、ウルトラマンが22倍です。ご存知のように、体型と密度が同じで身長が22倍なら、身体各部の断面積は22の2乗倍、体重は22の3乗倍になりますので、単位面積あたりの足の断面が支える荷重は、ウルトラマンの方が、22倍大きくなります。
>
> 一方、私の考察では、「くりぬく」前のイオン・ファゼカスは、2.34x10^14トンの重量を4.88x10^9平米の底面積で支えるので、1平米あたりの重量は約48,000トンです。くりぬいた後に最も過酷な荷重にさらされるのは側壁の最下部で、ここが側壁と天井の重量を支えます。計算では、2.3x10^12トンの重量を3.24x10^7平米の断面積が支え、1平米あたりの重量は約7万トン、くりぬく前に比べてほぼ50%の増加です。増加には違いありませんが、22倍に増加したウルトラマンと同列に論じるのは無理ではないでしょうか?
ウルトラマンと豆腐の話は、垂直に掛かる荷重の話なので、
その点、「同列に論じるのは無理」なことを認めましょう。
あくまで、建築に関する構造強度の問題点を指摘します。
Kenさんの案では、「中空の容器のような形状」を推測します。つまり外壁のみで内壁がない形状です。そうすると、外壁には垂直方向の荷重だけでなく、水平方向の荷重が加わります。
要は、天井の中央部分が脱落すると共に、側壁が中折れするであろう、と考えられるのです。
中柱を適宜設ける必要があります。
わざわざ構造強度限界まで「くりぬき」作業を行うとは、考えにくいですね。
「アリの巣」状に、通行経路や空洞部分をネットワーク上に形成するほうが、製造上容易ですし、また構造強度を元の234兆トンの状態に近い状態で維持することが可能です。
> >もし、この間に、技術的衰退があったとすれば、数多くの星からなる「同盟」の成立そのものが危うくなりませんか。
>
> 私たちが、つい忘れがちなのは、星間国家の維持に欠かせないワープ航行は、我々にとっては未来の超技術ですが、銀英伝の作中人物にとっては、1000年以上も前に確立された「古技術」である点です。我々にとって、1000年ほど前に現れた技術といえば、例えば石炭の利用があります。仮に私たちの文明がこれから衰えてゆき、核エネルギーの利用技術などが失われても、石炭を掘り出して燃やす方法まで忘れられるとは、なかなか考えにくいのではないでしょうか?その意味では、銀英伝世界でも、文明の衰退がワープ航法の喪失に直結するという結論へいたるのは慎重であるべきでしょう。
「無補給で大質量物体の恒星間航行」ができたのが、「技術の衰退」により、
「有補給で大質量物体の恒星間航行」のみできるようになった。
「技術の衰退」の影響として、上のようなことを言っているのでしょうか。
なんとも都合のよい「衰退」のような気がします。
例えば今日、「テレビ」のような電化製品はあふれていますが、これらの構造を知っている人(製造が可能な人)は少ないでしょう。つまり誰にでも作れるものではありません。これに対して、「石炭を掘り出して燃やす方法」みたいなものは、「できることを知っている」ならば、誰にでも、試行錯誤の末にであれば実行することが可能ではないか、と推測されます。
特に、「石炭を掘り出して燃やす方法」というのは、「金属精錬」にも似た技術で、数千年前の技術の延長上にあるものでしょう。
そして、衰退する際には、システム単位としての衰退が考えられ、「石炭を掘り出して燃やす方法」が衰退しにくいとしたら、「金属精錬」の技術が失われていないから、ということが考えられます。
「ワープ航法」が残っているのであれば、それに関連する技術としての「無補給で大質量物体の恒星間航行」が失われるとは、考えにくいのです。
> >大体、帝国との間に長期にわたる戦争状態もあるわけで、通例、歴史の教えるところでは、戦時においてこそ、技術は革新するものです
>
<私が、「文明衰退」の歴史上の実例として挙げるのは、3世紀頃から400年ほど続いた前期中世ですが、この時代にも戦争は大量にありました。私は、文明の発展または衰退が、戦争の有無によって決まると考える根拠を持っていません。ただ言えることは、最近の500年のように文明が長足の進歩をとげる場合は、戦争が契機となって技術文明が進むし、中世のように文明が衰退するときは、むしろ戦争によって文明の蓄積が失われてゆくのでは、と考えています。>
待ってください。問題としているのは、科学技術、それも戦争に関わる技術です。
銀英伝世界における航行技術も、戦争に関わる技術の一つに数えることができるでしょう。
戦争に関わる技術に限定しますが、中世ヨーロッパにおいて、
鎧(プレートメイル)の進歩や銃火器の発達、馬に乗るための「鐙(あぶみ)」の発達等があるでしょうか(鐙のない時代は、馬に乗る人間が余程訓練を積んだ者に限定されたそうです)。
もっとよい例では、帆船の進歩が上げられるでしょう。後の大航海時代を可能とする原動力の一つともなるわけです。
少なくとも、中世において、(戦争に関わる)技術の「衰退」は発生していないでしょう。
使う頻度の高い「物」に関わる技術が衰退するとは考えられません。
銀英伝世界においても、戦争しながら航行技術が衰退するというのは、不自然ではありませんか。
> いろいろな直角三角形をもってきて測定し、ピタゴラスの定理が普遍的に成立するという推測をするのは、たしかに経験則を重視することで、それ自体は大切なことです。ただ、それだけで終わったら、それは「背後の理論を演繹」したことにはなりません。「経験」と「科学」を分ける、第一の境界はそこにあります。
演繹:自然科学において一般的な法則から当面の特殊な事象に関する結論を導き出す過程「いっそう日常的な例としては、〈毎日太陽は東から昇り、西に沈む〉ということから、今日も、また明日もそうだ、と結論することも、演繹的推理の例である。」
(平凡社:世界大百科事典)
前回も言いましたが、
例えば、「ピタゴラスの定理の証明」のような形で、銀英伝における艦隊の移動についても、「証明」が可能だと考えていますか?
私には、この論理を適用するなら、
「銀英伝中に記載されている事実としての「艦隊の移動」は、記載内容だから認める。しかし、例えば、バーミリオン会戦の時点で、ヤン艦隊がフェザーンを攻略するといった仮定は認めない。艦隊の移動可能性は「証明」されていないのだから、他の記載で「艦隊の移動」が扱われていようとも、「バーミリオン会戦の時点のヤン艦隊」において「艦隊の移動」ができるという根拠にはならない。なぜならば、経験則を重視するだけ(他の記載における艦隊の移動の例の引用だけで)で終わったら、「背後の理論を演繹」したことにはならない、からだ。「艦隊が一般に移動可能である」という証明にならないからだ。」
だから、詭弁ですって。
詭弁:一見正しそうに見えるが実は成り立たない議論。ことさらに自己主張したり、相手を論破し困惑させたり、奇矯の説によってひとをおもしろがらせたりするのに用いられる。
(平凡社:世界大百科事典)
- 親記事No.3468スレッドの返信投稿
- board4 - No.3599
Re:だから、詭弁ですって
- 投稿者:Ken
- 2003年02月08日(土) 02時33分
パンツァーさん、こんにちは。
>わざわざ構造強度限界まで「くりぬき」作業を行うとは、考えにくいですね。
>「アリの巣」状に、通行経路や空洞部分をネットワーク上に形成するほうが、
>製造上容易ですし、また構造強度を元の234兆トンの状態に近い状態で維
>持することが可能です。
私の考察に補強を加えていただきありがとうございます。パンツァーさんが言われるような構造の方が、よりしっかりしたものであるのは、いうまでもありません。言い訳のようですが、私が中空容器を仮定したのは、質量計算を簡単に行えるからで、それ以上の意味はありません。アリの巣状のネットワークでは単に「軽くなる」としかいえませんので。
要するに、私としては、アーレ・ハイネセンたちはイオン・ファゼカスを234兆トンのまま飛ばせるよりも、船体を軽くするように努力をしたはずではないか、と言いたかったのです。あるいは、冒険風ライダーさんとのやり取りの中で用いた厳密な定義をするなら、「ハイネセンたちがイオン・ファゼカスを軽くしようとした可能性を否定証明はできないでしょう」ということでした。
ところで、パンツァーさんが挙げられた他の疑問に応える前に、もしも差し支えなければ、この移動要塞問題を論ずる上でのパンツァーさんの基本スタンスを確認させていただいても、よろしいでしょうか?あるいはこれまでの発言で、すでに明らかにされたかもしれませんが、どうか再度説明をいただけるとありがたいのです。基本的な前提に合意がないと、冒険風ライダーさんと私の間の議論のように、果てしなく空回りし、互いの論点が相手に通じないと思われますので。
1.パンツァーさんは、銀英伝の世界が私たちの世界と、同じ物理法則に従うという立場をとられますか?それとも、私たちの知らない物理法則に従う世界だと思われますか?
いうまでもなく、銀英伝を支配する最も重要な「物理法則」は銀英伝の記述である、という点は、冒険風ライダーさんが繰り返し言っておられるとおりです。ただ、いくら銀英伝が大作でも、あらゆる事象をもれなく説明し尽くすことは不可能ですから、どうしても「書かれていない」部分が出てきます。その部分を埋めるのに、私たちの物理法則を使うことを認めるかどうか、ということです。
2.パンツァーさんは、「移動要塞の恒久的な運用は可能である」という立場と、「不可能である」という立場の他に、「銀英伝の記述だけでは、可能であると証明するにも、不可能と証明するにも、不十分である」という立場を認めますか?これは、前の両者の妥協案でも中間案でもありません。それ自体が、独立した一つの考察です。これは移動要塞だけでなく、どんな問題についてもいえることです。
この点も、冒険風ライダーさんと私の議論が空回りする原因の一つです。ライダーさんは、この第三の立場を認めようとはされず、「恒久移動要塞可能説を否定するのなら、それが不可能であることを証明せよ」と言われています。私にはそうとしかみえません。
おそれいりますが、パンツァーさんとの議論に入り込む前に、これらの点について立場を明らかにしていただくと、たいへんありがたいのですが。
ちなみに私自身のスタンスは、
1.私たちの物理法則を認める。というより、それを認めないと、何を証明することも不可能。銀英伝の記述は、それができるほど「すべてを語り尽くす」ことはしていない。
2.「可能である」とも「不可能である」とも違う、第三の結論を認める。
というものです。
- 親記事No.3581スレッドの返信投稿
- board4 - No.3600
Re3577/3581/3591:まとめレス
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2003年02月08日(土) 03時24分
少しレスが遅れてしまいました、申しわけありません。
今回は新規スレッドの方にまとめてレスします。
>八木さん
今度は同盟側ですか。いいですよ、受けて立ちましょう(笑)。
ただし、私がこれを論じるに当たっては、ヤンの性格の甘さを批判する意味も兼ねて、あえて「ヤンの性格的要素」を全て排除した「ヤンの立場ならばできたであろう可能性」というテーマをベースにした論を展開させてもらうこととします。
私の論に対して「そんなことはヤンの性格ではできないだろう」とか「ヤンの民主主義思想に反する」とかいった類の「ヤンの性格的要素」のみをベースとした反論については、「たかがその程度の理由で実行に移せなかったヤンの方が愚かである」「ヤンはすでに民主主義の擁護者ではなく破壊者なのであり、そんな思想を信奉する意味はない」という批判へと自動的に変換させて頂きますので、その辺はご了承を。
>第8次イゼルローン要塞攻防戦以降
まず言うまでもなく、ヤンの場合も件の移動要塞を見た瞬間に「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」に気づいた、という前提から始めます。
この可能性に気づいたヤンが最初にやるべきだったことは、移動要塞ができようができなかろうが、まずは「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」を政府ないしは軍上層部に報告することです。これはヤンの立場にいる者であれば絶対に行わなければならない義務ですらありますし、ヤンの「あの」性格でさえ、実行の障害になることはありえないでしょう。
そもそも、「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」というのは、私が「最強の武器」と定義する「無限の自給自足システム」だけが全てではありません。単に戦術的な観点のみを見ても、移動要塞の強力な主砲と外壁は大鑑巨砲主義の可能性を示唆していますし、何よりも第8次イゼルローン要塞攻防戦終盤で発生した「要塞特攻」の改良戦術「小惑星特攻による要塞破壊」があります。特に後者は、イゼルローン要塞の防衛が国の命運をも左右する同盟にとっては、ほとんど最悪の脅威といっても過言ではない戦術です。ラインハルトがこの戦術を用い、再び要塞を攻撃にかかる可能性は、いくら検討してもし過ぎるということはないでしょう。
もちろん実際には、せっかく移動要塞を提唱されたラインハルトが「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」に全く気づかなかったばかりか、かつて自分自身で述べていたはずの「要塞特攻」をすらもすっかり忘れ去ってしまうという「重度の健忘症」を患ってしまっていたため、「小惑星特攻による要塞破壊」が実行に移されることはありませんでしたが、それはあくまでも「僥倖」とでも言うべき結果論の話なのであって、それとは別に、移動要塞技術がもたらす様々な可能性を、ヤンも同盟政府&軍首脳部も「将来的にありえる脅威」として、ありとあらゆる角度から検討しなければならなかったはずでしょう。
同盟政府&軍首脳部に対して「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」を報告し、その対策を考えると共に、移動要塞実現のための研究・開発チームを設けさせること。こんな簡単なことすらも行わなかった時点で、ヤンの識見のなさと怠慢さは充分に批判されて然るべきなのです。
ではこの時点で移動要塞が建造できる可能性はあったのか? これについては、「ヤン自身に積極的なやる気と意志さえあれば決してできないことではなかった」というのが私の意見ですね。
これにはまず、2つの方法が考えられます。まずひとつは、件の「小惑星特攻による要塞破壊」の脅威に備える対策として移動要塞改造を提起すること。ラインハルトが愚鈍でさえなければ、「小惑星特攻による要塞破壊」は実際に起こりえる可能性があったのですから全くのウソではありませんし、「小惑星特攻」に対する防衛は、むしろ移動要塞よりも静止要塞の方が「事前に察知しても、要塞自体が動いてかわすことができない」という点ではるかに不利です。当然「小惑星特攻」が成功した場合は、イゼルローン要塞が完全破壊されて同盟の防衛線そのものが瓦解してしまうのですから、むしろ同盟側は自らの保身のためにもイゼルローンを移動要塞に改造する必要性があるのです。
もちろん、同盟も予算不足は深刻でしょうし、政治家の面々もヤンに対して隔意を抱いてはいるでしょうが、だからといってイゼルローン要塞が「小惑星特攻」によって破壊されるという事態まで望んではいないはずです。3巻の査問会でヤンに対して精神的リンチを浴びせていた連中が、「移動要塞襲撃」の報を受けて面食らっていた様子を思い出してみてください。むしろ、自分達の保身のためにも、かなりの無理をしてでも予算を出し、イゼルローン要塞を移動要塞に改造することに賛同してくれることでしょう。
それでも動かない、というのであれば、いっそということでヤンが「敵軍襲来の際に首都に呼びつけられ、不当な査問会で精神的リンチを受けていた話」をネタに政治家達を脅迫するという手もあります。「国防のために必要な移動要塞改造を受け入れないのであれば、この事実を同盟市民の前で告発する」とでも言って。ヤンを熱狂的に支持している同盟市民達は当然ヤンの言うことを信じるでしょうし、そんなことをされたら政治家達の政治生命も絶たれてしまいますから、いくら個人的にヤンを憎もうが、彼らはヤンの要求に応じざるをえません。
「トリューニヒト政権は同盟における主要報道機関を押さえているからその手の脅迫は無駄」という反論があるかもしれませんが、イゼルローン要塞にはヤンが自由に動かすことのできる報道システムが存在します。これは銀英伝8巻でヤンが死亡した時、それを全宇宙に発表する際に使われていますので、これを使えば件の話を全宇宙に対して大々的に報道することができるでしょう。ヤンの脅迫を妨げる政治的・物理的要素はどこにも存在しないのです。
これで移動要塞は余裕で完成させることができるでしょう。後の運用はヤン次第、といったところですね。
>バーラトの和約後の同盟
これに関しては今回が初出となるのですが、ヤンがレベロと手を組み、将来に備えた移動要塞改造のための研究やエンジン製造を秘密裏に行わせるといった手段も考えられますね。「バーラトの和約」には、戦艦や宇宙空母の製造禁止は明記されていても、「巨大エンジン自体を製造してはいけない」などという規則はどこにも存在しませんし、実際には大量の戦闘艦艇をチュン・ウー・チェン辺りが大量に隠蔽できていたことなどを考えても、隠蔽工作などは比較的容易に行えそうですしね。将来イゼルローン要塞を「例のトリック」で奪取した時、すぐさま移動要塞を改造することができるように準備しておけば、未来の可能性がより大きく開かれたであろうことはまず間違いありません。
バーミリオン会戦時に、わざわざ「政府の命令と同盟の国内法に違反してまで」メルカッツらを逃亡させた挙句、不要不急の戦艦奪取などを行わせて同盟を滅亡させるきっかけを自ら積極的に作ってしまうような「民主主義を破滅させる愚策」などよりも、こちらの方がはるかに懸命で賢い選択だったのではないかとすら思えるのですが。
>エル・ファシル時代
八木さんは何か重大なことを忘れ去ってはいませんか? 同盟建国の礎となった偉大なる先人達が、これ以上ないほどに劣悪な環境の中、長さ122㎞、幅40㎞、高さ30㎞、推定質量234兆2400億トンの超巨大ドライアイス船を、たった3ヶ月程度の時間で完成させ、無事に航行させることに成功した「作中事実」を。これには言うまでもなくエンジンの開発・製造・設置作業だって当然含まれているのですよ? あの酷寒の惑星の奴隷階級にすら簡単にできたことが、エル・ファシルの生産力をもってしてできないはずがないではありませんか。
しかも八木さんは「巨大なエンジンを30個以上『も』製造するのです」とさかんに強調されておられますが、そもそも最低でも数千~数万隻単位で艦艇が運用される銀英伝世界で、いくら巨大とはいえ、32個のエンジンというのはむしろ圧倒的に少ない方なのではありませんか? 巨大エンジンひとつに戦艦1隻分の費用と資材が必要だったとしてもたかだか32隻ほど、イオン・ファゼカス号のエピソードとも併せて考えるともっと少ない負担で完成する可能性も高いので、大した負担であるとは私には全く考えられないのですけど。
工員に関しても、民間から技術者達をアウトソーシングしてこき使うといった手もあるでしょうし、最悪、全ての艦艇補修を一時的に中止してでも、工員達を移動要塞の方に集中させる方法だってあるでしょう。移動要塞が完成した後に改めてゆっくりと艦艇補修を「移動要塞の中で」行えば良いのですし、移動要塞にはそれだけの価値が充分にあります。
まあこれに関してはさすがに可能性100%とまでは言いませんけど、事前の準備とやる気さえあれば、この時期でも移動要塞が実現する可能性は充分に存在しえたとは言えますし、すくなくとも銀英伝本編で行われた、100%必敗確実だった「回廊の戦い」の準備などを行うよりは、はるかに勝算の見通しは立ったのではないでしょうか。
やはりヤンの方もまた、「移動要塞が持つ強大な潜在的脅威と無限の可能性」を無視した挙句、民主主義を守るために自分がなすべきこともやらなかったばかりか、むしろ民主主義を破滅に導いた愚か者であったと言えそうです。
>パンツァーさん
<賛成意見が少ないのは、私も妙な気がしていました。
もっとも、賛成の場合はレスを返す必要性がなく、しかも自分が新規な意見を提示できるわけでないとなると、投稿する内容がない、ためかもしれません。>
その割には、移動要塞否定側を持ち上げた提灯投稿の類は結構あったんですよね(T_T)。
まああの論を発表した時点で一対多数の議論をこなす覚悟はできていたのですが、それでも私の予測をはるかに超えましたね、あの圧倒的多数の反対意見と荒れ具合は。
<それはそうでしょう。銀英伝考察3の後半部など、大変な精神力を発揮されたものと思います。>
あの時は、議論中盤で平松さんに対して半ば当り散らす形で失礼なことを書いてしまったことがありましたからね。その後は自重と反省の意味もあって平静に努めたというのもあります。
今回はパンツァーさんや不沈戦艦さんをはじめ、私の方を支持&援護射撃してくださる方々が味方についていますので、こちらとしても非常に頼もしく思っておりますし、あの時に比べればはるかに楽な進行と穏やかな雰囲気で議論を進めさせて頂いております。
今回改めてこのような議論を提起し直してくださったこと、私からも感謝致します。
<前回はあまり考えず安易に投稿したので見落としておりましたが、この点(イゼルローン要塞が一行政単位なのか)が疑問です。人口規模から言えば確かに大都市相当(500万人)ではありますが。
というのもイゼルローン要塞の場合は、軍隊の駐屯地があって、その駐屯地に軍属としての軍人の家族が同居している、という構図ですよね。
そもそも住民がいて、その住民の居住区に軍隊が駐屯している、という構図とは、意味が異なると思うのです。
在日米軍基地との比較が銀英伝考察3中にありましたが、この対比は興味深いですね。というのも、在日米軍基地の敷地は、日本の治外法権地帯であっても、アメリカの領土ではなく、アメリカ人の居住地域ではありません。したがって、この敷地内の居住者による自治体が存在するとは思えないからです。自治が行われうる政体ではありえないでしょうから。軍による行政は存在するでしょう。
普通、住民票の所在地で、地方行政の代議士の選挙権(および被選挙権)が獲得できるものでしょうが、例えば、在日米軍基地にいる軍人の家族は、どこの住民票を持っているのでしょうか。>
イゼルローン要塞自体は軍用施設なのだそうで、警察権をはじめ、全ての政治・行政の権限を軍が掌握しています。ただそれだけならば私も素直に「純粋な軍事施設」と認めもするのですが、問題はその権限下で「民間人300万人を含めた500万人以上の人間が居住できる大都市」が要塞内部に存在しているという点ですね。この大都市の規模は惑星レベルとして見てもかなりのものらしく、人口300万人の惑星エル・ファシルなどを大きく凌駕しています。
民間人300万人のほとんどは軍人の家族ですが、他にもイゼルローン要塞内における諸々の施設の運営を軍から委託されている民間業者などが多数存在するようです。彼らは軍に権利料を支払うことと引き換えに施設の運営を許可されています。この辺りは在日米軍と同じような事情がありそうですね。
在日米軍基地とイゼルローン要塞の一番違うところは、同盟による要塞奪取後のイゼルローン要塞がれっきとした同盟領となっていること、軍民問わず全ての住民が外部から来た人間であること、などが挙げられます。私はイゼルローン要塞が前線とはいえ同盟領内に属し、同盟の主権が及んでいることから、住民自身の意志に基づく地方自治が、軍組織とは別に存在しても良いのではないかと考えているのですが……。
<B.交戦状態における前線での戒厳の可能性
前回述べたのは、この可能性です。
同盟の法体系に戒厳令が存在するなら(わが国のような特例を除けば)、もっとも敵の攻撃を受けるであろうイゼルローン要塞は、全住民が軍の管理下におかれたとしても不思議はありません。これは、地方自治が行われている場合において、の可能性である。したがって、軍の施設と考えられるイゼルローン要塞に限らず、どこかの星であっても同じです。>
非常時の場合は、確かにイゼルローン要塞内に居住する民間人も軍の統制下に入るようです。銀英伝3巻では、要塞司令官代理のキャゼルヌが、民間人にイゼルローン要塞からの退避準備をさせていますし、銀英伝5巻でもヤン自身が同じ事をやらせ、実際にイゼルローン要塞を退去しています。
戦時ならば緊急措置としてそれでも良い、というよりもむしろそれが当然の形態なのでしょうが、問題なのは「平時」でさえも「大都市イゼルローン」が軍の統制下にあることです。イゼルローン要塞内における行政は、ヤンから全権を委託されたキャゼルヌが事実上壟断しているという体制がほぼ常態化しています。これが戒厳令であるとすれば、慢性的な戒厳令下に置かれている「大都市イゼルローン」は、いくら前線であるとはいえ、やはり民主主義国家としては少々マズイのではないでしょうか? 「合法的」という点を除くと、その基本的支配構造は、ヤンが全否定した救国軍事会議クーデターのそれと全く同じであるようにも見えてくるのですが。
そして私がそしてそれ以上に問題であると考えていることは、
<これに関しては、そういう危険があろうとも、それは同盟のシステム上の問題であって、ヤン個人に問われる問題ではないかと思います。>
という、まさにそのようなヤンの思想信条に反する「同盟のシステム上の問題」に対して、ヤンが全く無頓着であったばかりか、その問題改善に何ら努力していない、ということにあるのです。
ヤンは銀英伝の作品中において「軍人は政治に携わるべきではない」といった主旨のことを、独白や他人の会話の中で何度も繰り返し主張しています。これあればこそ、ヤンは確実に同盟を滅ぼすきっかけのひとつになったであろう、バーミリオン会戦時における政府の無条件停戦命令にも唯々諾々と従ったわけです(もっとも、その後で平然と命令違反を犯しているわけですが)。そのような人間が、300万人以上の民間人を事実上自らの統制下に置くという「政治に携わること」行為を「結果として」行っているのに、それについては何ら疑問を抱いていない、というのはどう考えても明白なるダブルスタンダードであり、ヤンの思想信条にも明らかに反していると言わざるをえないのです。
もちろん、ヤンにそのような権限を与えたのは同盟政府やエル・ファシル政府首脳部であり、ヤンはただ命令に従っただけなのでしょうが、そのような「権力構造」が自分に押しつけられるのであれば、「軍人は政治に携わるべきではない」を自らの思想信条とするヤンは、本来ならば上層部に対して、せめて「軍人は政治に携わるべきではないのだから、自分に過大な政治権力など与えないでくれ」くらいは抗議しても良かったのではないでしょうか? ヤンの立場であれば、そのような抗議を行うことも、それが上層部に受け入れられることも充分に可能だったでしょうし、そうすることこそが「同盟のシステム上の問題」を自発的に解消させ、ヤンの思想信条を満たすこともできる、唯一の選択だったはずです。
また、地方自治システムを導入し、それをヤンに対するチェックシステムとして機能させれば、「ヤンがイゼルローン要塞に拠って軍閥化しようとしている」などといった類の非難もある程度はかわすことができますし、そのような配慮もまた、政治家と軍人との間に揺るぎのない相互信頼関係を築き、シビリアン・コントロールを円滑に実施するためには必要不可欠なことなのです。銀英伝考察2でも述べたことですが、銀英伝本編に見られるようなヤンと政治家のような関係で、果たしてシビリアン・コントロールを円滑に機能させることができるのでしょうか?
「民主主義とシビリアン・コントロールを擁護する」という思想信条を本当に貫きたいのであれば、「同盟のシステム上の問題」にも気づき、それを解消するために自ら積極的に動かなければならないことは自明の理というものでしょう。にもかかわらず、ヤンは「同盟のシステム上の問題」によって自らが置かれた「構造的な独裁権力者としての立場」の重大性について全く無頓着であったばかりか、むしろ「イゼルローン要塞内には自分より上位のものがいないから気に入っている」などと肯定的に考えてすらいたのです。その環境が自らの思想信条をどれほどまでに蹂躙し、「同盟のシステム上の問題」として様々な弊害を発生させているかに関しては全く眼中にもないわけです。
自らの思想信条と「同盟のシステム上の問題」を解消するための努力を怠ったばかりか、結果として「イゼルローン要塞の構造的な独裁権力者」として君臨することを肯定すらしてしまっているヤンの行動は、その後の行動も併せて考えてみれば、やはり「民主主義の擁護者どころか破壊者である」と評価せざるをえないのです。
> Kenさんへ
「現代世界の物理法則」に関する私の回答は前の投稿でも述べた通りです。それが「100%」銀英伝の世界で成立しえることを、作品設定や作中記述に基づいた「作中事実」を使って【そちらが】先に立証すること。立証責任が100%そちらの方にある以上、子の件に関して私が譲歩する必要性は全くないと考えます
第一、私は科学論ではなく作品論、すなわち「設定および記述を使った【銀英伝という作品についての論争】」というテーマに基づいて論を展開しているのですから、「現実世界の物理法則」に基づいた科学検証手法を使って作品を論じること自体がすでに的を外していますし、パンツァーさんも仰られているように、そのような論法を銀英伝に当てはめたら、全ての作品設定がことごとく破綻して、最終的には銀英伝世界そのものが崩壊せざるをえなくなるでしょう。そして、移動要塞論に対してのみその手の科学検証手法を使い、その他の設定については不問に付す、などという「ご都合主義的なダブルスタンダード」など、私は一切認めるつもりはありません。
結局のところ、私とKenさんとでは、理論の根幹を成す前提条件自体が全く異なるのでしょう。そして移動要塞関連議論では、反論側もまた私の提示した前提に従って論を展開する必要があるというのに、あくまで独自の、それも作品の外から勝手に持ち込んだ前提にしつこくこだわり続けるKenさんの方がおかしいのです。そうである以上、これ以上やっても互いに議論が噛み合わないことは明白ですので、私もこの投稿をもって、移動要塞論に関するKenさんとの議論は打ち切りとさせて頂きます。
- 親記事No.3468スレッドの返信投稿
- board4 - No.3602
Re:これは
- 投稿者:不沈戦艦
- 2003年02月08日(土) 15時47分
> こんな風な反論なら、多分、冒険風ライダー氏も納得するでしょ。賛成するかどうかはともかく。
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> えーとですね、ガイエスブルグが潰された後、移動要塞が再度採用されなかった理由は、ヤンがあまりに簡単にガイエスブルグを破壊してしまったことによるのでは、ということはないかと考えますが。
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> つまり、艦隊を繰り出して、移動中の移動要塞の同調させたエンジンの一基に集中砲火を加えれば、推力バランスを失って激しく回転を始め、自滅してしまうということです。このようなどうしようもない弱点を抱えているのでは、「移動要塞は今後は使えない」という強固な固定観念を、ヤンにもラインハルトにも与えてしまったということはありませんかね。いくら要塞が強力だと言っても、ある程度空間に分散させた艦隊を、要塞砲の一撃で完全に仕留めるのは無理ですからね。敵艦隊が犠牲覚悟で突進して来た場合、エンジンを破壊させないのは難しいでしょう。銀英伝作中にも、ロイエンタールによる「ラグナロック前の嫌がらせに近いイゼルローン攻撃」のような実例もあることですし。外部に剥き出しになっているエンジン部は、攻撃には弱いでしょうし。仮に、敵艦隊に接近された場合は、エンジンをカットし移動しない運用にしたとしても、それでもエンジンを一基でも破壊されてしまった場合は、敵艦隊を追い払って修理に十分な時間が取れるようにしなければならないし、エンジン修理用の部品は要塞内にそれなりに常備しておかなければならないし、修理している間は文字通り身動き取れないし、と移動要塞最大の「売り」である機動力が大幅に殺がれるので、ヤンもラインハルトも「あまり実用的な兵器ではない」と判断したとしても不思議はないのでは?
>
> 「イゼルローンを移動要塞に改造後、帝国領内をゲリラ的に行動すれば捕捉されることは先ずない」ということは否定しませんが、「万が一にでも、艦隊規模の相手に捕捉された場合」、ということをヤンが考えてしまった場合、そういうことをやる気が失せるということになりませんかね。「最悪の場合」を考えないヤンということはないでしょうし、自分がやった手で今度は自分が叩き潰される、というのはヤンでなくても嫌でしょう。
あくまで「こういう風にやるべき」という「例」として出したものですので、「これをベースに進めろ」とか、「必ずレス寄越せ」とかいうつもりは全くありません。
「銀英伝の記述に基づき、それに矛盾しないよう作中設定を導き出し、突き詰めた上で登場人物たちがやるべき行動を指摘する」ということが冒険風ライダー氏のやっていることですが、それに対して、Ken氏のように「数学の定理を証明するような、厳密な科学的考証」を求め、「それができていない限り、そんなことは言い切れない」と主張するというのは、どうかしてますよ。科学論争している訳じゃなくて、小説についての作品論争ですよね、やっていることは。「作品論争」である限り、「銀英伝の記述から導き出した推論」を根拠にあげれば、「証明」としては十分ではないですか。
また例えですが、取り敢えず、ファーストガンダムを思い浮かべて下さい。そこで、「ジオン公国の一年戦争開戦直後のコロニー落としは生ぬるすぎる。もっと大規模に実施し、地上の人口を半減どころではなく、全滅に近いくらいの打撃を与えるべきだったのだ。それをやっていれば、連邦軍は反撃する余力もなくなり、すぐに敗北に追い込まれていただろう。スペースノイドの自由は、それを断固として実行することにより得ることができた。地上の人間を全て抹殺し、歴史に悪名を残す覚悟さえあれば、一年戦争はジオン公国が勝っていたはずだ」という主張に対し、これはモロに「空想科学読本」ネタですが、「スペースコロニーの存在自体が非現実的である。宇宙空間で一気圧を内部に封印した場合、壁の材料に最強の金属を使用したところでパンパンに膨れ上がってしまうし、しかもガラスの部分があって太陽光を内部に取り入れるような構造は、ガラスの厚さを10m以上にしないと一気圧に耐えられないので、薄い金属の壁と分厚いガラスを接続するような構造は不可能だ。それだけ厚いガラスを仮に作ったとしても、太陽光は途中で吸収されてしまって、ほとんど内部に届かないのでそんなコロニーには意味がない。更に、技術的な面を無視してコロニーが建造できたとしても、それをラグランジュポイントから地球まで移動させるのも大仕事だし、そんなに多数のコロニーを移動させる程の燃料がジオンにあるとも思えない。また、地上に落下させたところで、大気圏突入時の摩擦で燃え尽きてしまうだろう。コロニー落としを大々的に行うべきだった、などという主張は根本から間違っている。先ず、スペースコロニーが存在可能であるということを、科学的に示さない限り、コロニー落としが可能であると証明したことにはならないのだ」と言った場合、果たしてこれは「反論」になっていますかね。
最初の主張は、「空想科学読本のツッコミによればあり得ないスペースコロニー(スペースコロニー自体は科学的に正しいと言ってましたが、コロニーの壁の材料をどうするのか、で完全に行き詰まるという結論でした)が多数存在し、コロニー落としなる地上攻撃が存在する、ガンダム世界の約束事」をベースにした上で、そのコロニー落とし戦略について「中途半端に終えるのではなく、どうせやるなら徹底的に行うべきだったのだ」と批判を加えている訳ですが、それに対する「反論」は、「ガンダム世界の約束事」を無視し、「既存の科学技術的立場」からの物言いとなっている訳です。もちろん、こんな「反論」には意味がないですよね。「スペースコロニーなど科学的にあり得ないのだから、コロニー落としなどもっとあり得ない」などと言ったところで。どうしても既存の科学技術ベースの議論をしたい、というのなら「ガンダム世界の約束事」を根底に置いた話とは、別個にやるべきです。
「現世の科学理論に基づき銀英伝を考察すること」には反対しませんから、その論で冒険風ライダー氏の論を否定しようとするのは、やめるべきでしょう。今までが完全にそうなってますが、まるっきり噛み合わないことは請け合いです。