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board4 - No.2992

Re:銀英伝第2部・ジーク2世VSユリアン

投稿者:イッチー
2002年10月07日(月) 11時33分

20年後(帝国暦510年・宇宙暦819年)の設定です。

銀河帝国
ジークフリード1世(21歳)…ゴールデンバウム王朝第39代皇帝。前皇帝カザリン・ケートヘンの夫で結婚と同時に帝位を譲られる。政治的・軍事的に天才的な才能を発揮する。父・叔父の遺志を引き継ぎ、同盟再侵攻を決意。
カザリン・ケートヘン(21歳)…皇后。前皇帝だが、決しておごることなく夫を支える。
オスカー・フォン・ロイエンタール(52歳)…帝国宰相。ラインハルトの改革路線を引き継ぎ、国力の充実につとめる。
ウォルフガング・ミッターマイヤー(51歳)…副宰相兼軍務尚書。帝国軍の再編に尽力し、同盟再侵攻に備える。
カール・エドワルト・バイエルライン(47歳)…統帥本部長。ミッターマイヤーの後継者的存在。
コンラート・フォン・モーデル(35歳)…宇宙艦隊司令長官。もとアンネローゼの近侍。ジークフリードの兄的存在。
ハインリッヒ・ミッターマイヤー(33歳)…帝国軍上級大将。もとロイエンタールの近侍。ミッターマイヤー家の養子となる。モーデルの親友。
フェリックス・フォン・ロイエンタール(21歳)…帝国軍少佐。ジークフリードの親友で副官。オスカーの息子。

自由惑星同盟
ヤン・ウェンリー(52歳)…最高評議会議長。本人は自分に政治の才能があるとは思っておらず、辞任の機会を探っている。
フレデリカ・グリーンヒル・ヤン(45歳)…ヤンの妻。議長秘書官。同盟の政治は実際には彼女が動かしている。
アレックス・キャゼルヌ(58歳)…財政委員長。ヤンにつきあう形で政治家になったが、ヤンよりはるかに行政処理能力に優れている。
ワルター・フォン・シェーンコップ(55歳)…国防委員長。やはりヤンにつきあう形で政界入り。女性票の集票能力はダントツ。
ダスティ・アッテンボロー(50歳)…統合作戦本部長。ジャーナリスト志望だったが、軍人を辞める機会を逸した。
オリビエ・ポプラン(48歳)…イゼルローン要塞司令官。外見は司令官らしくなく、まだ若々しい。
ユリアン・ミンツ(38歳)…宇宙艦隊司令長官。ジークフリードの動向に早くから注目する。
ヤン・ランファ(19歳)…ヤンの娘。父の反対を押し切って、士官学校に入学。帝国との戦争が始まると准尉待遇で参戦。
カール・ミンツ(16歳)…ユリアンの息子。ランファに思慕の情を抱き、ランファを追って士官学校に入学。帝国との戦争が始まると下士官待遇で参戦。
チャールズ・アッテンボロー(16歳)…ダスティの息子。士官学校でカールの同級生で、恋のライバルでもある。

な~んか、年寄りばかりの話になりそうですね。(苦笑)

board4 - No.2993

「世間の常識」と「ミリヲタの常識」

投稿者:吉良国 育生
2002年10月07日(月) 11時53分

 どうも底の浅いミリタリーヲタクの吉良国です、この不景気の中で妙に景気の良い新DDHの完成予想図を見ていると「この国が軍事大国だといわれても仕方が無いか」と思ってしまう今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、今回は創竜伝考察の22番を読んで思った事を書かせていただきます。古い話題で恐縮ですが、少しお付き合いいただければ幸いです。

 早速ですが、以下は本ページ管理人様の発言№2035から抜粋した物です。
 前略
 確かに90式戦車は50トンありますが、重装甲で有名なイギリスのチャレンジャーは62トンもありますし、比較的軽いといわれるどいつのレオポルド2ですら56トンもあります。90式戦車は重いのではなく、むしろ軽いと見るべきです。エアコン云々ではなく、軽くするために装甲に無理をしている面がありますね(余談ですがサターンの某ゲームで有名になった「90式はブリキ缶」という評価はむべなるかな、ですね)
 中略
ところで異常に高いといわれている日本の戦車ですが、これは確かで90式戦車は11億円するそうですね。他国の主力戦車(アメリカのM1A1、ドイツのレオポルド2など)が大体3億とされていますから、べらぼうに高いですね。値段分性能がいいわけではないですし(むしろ弱そう)、確かに高いです。これに関しては以前冒険風ライダーさんが量産効果による差であると創竜伝を非難していましたが。
 後略

 上のような話は市販の本でよく見かけます、おそらく管理人様もそういった物を参考になされたのだろうと思います。
 しかし、そういった本を書く人間の中にも、知識の足りない者が少なからずおります。
 彼らは、90式とチャレンジャーやレオポルド2などとの間にある十年でどれだけ技術が進歩したか知りません、日本が誇るセラミック技術と冶金技術が生んだ複合装甲の真価も知りません、90式の試作車が実弾にさらされたことも知りません、10発の実弾を受けた試作車がちゃんと走ったことも当然知らないのです。
 次に値段ですが、90式が一台11億円したのは初年度における生産分の十両だけです、現在の価格は九億円を切っています。そしてM1やレオポルド2の値段ですが、確かに初期の生産型は3億程度でしたが、90式と同世代といえる、M1A2やレオポルド2A5の価格は七億円を超えます、量産効果による差額は2億円ほどです。ちなみに年間三十両弱生産している仏のルクレルクは九億五千万円、年間二十両弱しか生産していない90式よりお高いです。
 90式は世界最強の戦車ではないかもしれませんが「べらぼうに高いブリキ缶」などではありません。
 さて、なぜ以上のような人の揚げ足を取るよう事を長々と書いたかというと、冒険風ライダー様がいう簡単に手に入る兵器資料がどんな物、簡単に理解していただけると思ったからです、市販されている資料にはかなり胡散臭い物が含まれています(たとえば、多銃身機関銃一般の事をバルカン砲、ヘリコプター搭載揚陸母艦(LPH)のことをヘリ空母などと書く資料も多く売られています)。
 現在はネットがありますので、ミリタリー系のサイトを見れば多くの情報が書いてありますので事の正否はすぐ分かりますが、創竜伝の3巻~6巻が発行された1988~90年当時は、簡単に正しい資料がそろう環境ではありませんでした。
 この頃、自衛隊の新装備が世間でどう評価されていたかというと、空のF-2はアメリカの横槍と既存機の改良型というだけで早くも駄作機と呼ばれ、海のイージスは88年に起きた米イージス艦による民間機撃墜事件のために欠陥品の烙印を押され、陸の90式は・・・創竜伝に書かれているとうりです(さすがに140ミリ砲とか尖った石程度で底に穴があくというのは違いますが)。
 こういった背景を元に書かれた訳ですので、田中氏一人を責めるのは酷というものかと思います。

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board4 - No.2994

Re:続・続・経済学的に正しい銀英伝

投稿者:Ken
2002年10月07日(月) 12時47分

倉本様、

自由惑星同盟がどのような法律を持っているかに依りますが、常識的には市民でなければ徴兵対象にならないのではないでしょうか?永住者でも、外国籍では、せいぜい義勇兵に志願してもらうくらいでしょう。したがって、自由惑星同盟の置かれた状況を考えると、同盟政府は亡命者の帰化、つまり国籍取得を推進すると思います。

なお、国籍がなければ、「何の問題もなく亡命者を差別できます」というご意見には、私は賛同しかねます。

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board4 - No.2995

Re:興味深い議論だと思います

投稿者:Ken
2002年10月07日(月) 13時35分

管理人様、

快く認めていただきありがとうございます。喧嘩の場にならないように心しながら、議論の場として、掲示板を利用させていただきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

> ・完全な「自由」「平等」を確立した、つまり純粋な「民主主義」を確立した国家は未だ無い(たぶんこれからもない)

ユリアンが引用したアーレ・ハイネセンの言葉にありましたね。たしか「自由、自主、自立、自尊」だったかな。(これもなんだか、日本語でしかできない語呂合わせのような・・・。翻訳者の方、ご苦労様です。)結局、「自由」や「自尊」と比べて、「自主」や「自立」はより大きな努力を伴うため、敬遠する人も多く、それが民主主義の完成を妨げるのでしょうね。

> ・どんな民主主義国家でも、独裁状態を経ないで成立したことはない。

これは、仕方がないのかもしれません。世界のどの国も、1000年以上にわたって封建制の中にいたのだし(アメリカ人だって、先祖をたどれば、例外ではない)、過渡期としての「啓蒙専制君主」は必要なのでしょう。ラインハルトは、それを目指しているのだし、リヒターやブラッケは、疑問を持ちながらも、結局は協力するでしょう。

> ・そもそも原理的に言えば「指導者」という存在こそが民主主義の理念に反するが、指導者無くして行政は成立しない

民主主義の完成度が非常に高くなれば、政治家は、「指導者」というよりも、「税金」という名の代金をもらって、「行政能力を売る」ビジネスマンと見なされるようになるのでしょう。

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board4 - No.2996

Re:人口論議よりはるかに重大

投稿者:SAI
2002年10月07日(月) 14時34分

> ・・・SAIさま、
>
> ぜひお伺いしたいのですが、SAIさんは、差別をはじめ世の不合理と戦うための武器として、アメリカ型民主主義以上の社会形態があると考えておられるのでしょうか?

結論から言えば、重要なのは政府の形態ではなく、権力を持つ者がその力を自分や取り巻きのために使うのではなく、公益の実現のために使うことだと思います。

アメリカ型民主主義がだめなことはわかっております。なぜならばとてつもない経済的不平等を生み出してしまったからです。アメリカの資産配分は最上位1%の人間が40.1%、次の4%の人間で21.9%、で残りの95%で38%という状況になっております。
また平均的労働者とCEOの賃金格差はなんと300倍以上と文字通り天と地ほども違います。
前述しましたがこの状況は、経済学的にも社会学的にも有害です。
政治的にも有害なんです。この状況では、有り余る資金に物を言わせて政治家や官僚を買収し、メディアを自分の都合の良いように操ることができます。そんなことないといわれるかも知れませんが、アメリカの政策は金持ち優遇、もっとはっきり言えば最上位1%のために行われています。たとえば、減税もその30%から40%は彼らのために行われて
います。
ほかにも、大学への政府援助を打ち切らました。米国のいわゆる有名大学はますます富裕層の寄付に頼るようになり、富裕層の利益になる教義を説いてます。
 サプライサイドやマネタリズムは今の状況では社会全体にとっては有害極まりない教義です。だが、富裕層にとっては利益になります。

ほかにも証拠はあまたあります。文字通り書ききれないくらいです。

>移民の受け入れ数とか、
移民の受け入れは実はアメリカというか、先進国がやってきた害悪です。先進国にとっても発展途上国にとっても損害をあたえますので。
1)アメリカの外にいる何億という貧しい人間のうち、全部引き受けることは不可能である。選ばれたほうは良いが選ばれなかった人間は故国で餓死寸前の状況のままです。 「移民受け入れ」というのは、アメリカに来た少数の外国人に多額の金をプレゼントすることです。それよりは、現地に留まっている人々全員に、少しずつの金をプレゼントすればよいと思います。その方が公平でしょう。また、誰だって、生まれた国で家族と生活する方が幸福だと思います。だが、移民を受け入れているから後者の方法、経済援助はしなくて良いという免罪符に使われております。

2)新参の移民はいつでもすさまじい差別にさらされます。一番最近では2002年四月に改正された移民法は移民を食い止めることはできませんでした。
 歴史的に見れば、米国の移民法は移民の供給を規制することによって、結果的には外国人労働者の値段を決める ― そういう目的で利用されてきた。この目的が達成できてきたのは、合法的に働くことも、社会給付を受けることもできず、基本的な労働者に対する保護も拒否された労働者の範疇を移民法が作り出してきたからである。

こんな事例があります
使用者は移民担当官の不意打ち検査があると言って、労働者をおどし、組合のオルグ活動に直面すると、使用者制裁規定によって合法化された大量解雇という手に出ることが日常茶飯事である。
 IRCAと他の移民関連法は、実質的には、オルグ活動をすることが困難な二級の労働者層を生み出した。軍隊による国境の警備、使用者からの国外退去のおどし、社会福祉サービスの受給を制限する法規などによって、証明書を持たない労働者はまわりから悪魔のようなイメージで見られてしまい、それによって反移民感情が高まることになる。不当な待遇や国外退去に対する法的保護に頼ることができないために、外国人労働者はどうしても身を隠し、組合に未加入のままでいることになる。
 移民に対して暴力を振るうという現象が広く起こっているために、恐怖心が助長される。1989年に、センチュリー市で静かにデモをしていた数千名のビル管理人組合員が警官に襲われた。彼らは移民労働者で、SEIUの組合員ひとりが殺され、何百人もが負傷した。

Kenさん、スレ違いですみませんが、准提督さんこんな状況が現実にあるんですよ。あなたの好きな法的理論でどうしてこんな事例を引き起こす、移民を不法と決めつけ、権利を制限する移民法が違憲とされないのか説明してほしいですね。

社会的流動性についてはむしろ悪化しています。もっともこの傾向は全世界的なものですが。

人種的多様性については、アメリカ建国以来300年、ついに人種同士は交わらず、人種のるつぼというより、人種のサラダというような状況で、無用の摩擦を引き起こす以上、人種的多様性を目指すのは失敗だったのではないでしょうか。
人間、ある範囲までの価値観の違いは許容するが、ある閾値を超えれば排除の論理が働く生き物でもありますし。
なお、人種のサラダという状況が一番良くわかるのがアメリカの刑務所です。同じ人種同士でグループをつくりますので。

>
> ちなみに、私が勤務したのは、100名程度の小さな事業場でしたが、私の短い滞在中にも、陪審員を勤めるために裁判所から召集を受け、一週間ほど会社に出なかった社員が2名いました。二人とも白人でしたが、少なくともはたから見る限りでは、いやがりもせず、市民の義務を果たしに行きましたが。
これに関してはKenさんの言葉を信じます。なぜなら私がその場にいたわけではないので、反論はできません。


>
> 陪審員が白人にせよ、黒人にせよ、裁判で決まったことは強制力をもちます。「百万ドルの賠償をせよ」と命令が出たら、百万ドルを支払わねばなりません。その場合、差別をする社会の差別をする側は、そのような重大な影響力を及ぼすポジションに、差別をされる側を着けないように、注意を払います。Civil Right以前のアメリカとくに南部が、まさにそうで、黒人の陪審員などありえませんでした。いま、陪審員が黒人ばかりで、そのために黒人に有利な判決が出るなどということが本当にあるなら、多くのアメリカ人は、それこそアメリカ社会が差別の克服へ向かって進んできたことの結果だというでしょう。

そうでしょうか?むしろ陰湿化したのではないでしょうか?そもそもそのKenさんのいた会社ではその黒人の女性ははじめから働いてもらう員数にはいってなかったのではないかという印象をうけます。
また、今回のような事件で百万ドルの賠償をせよというような場合、払うのはまずもって白人、受け取るのは黒人というケースしか日本にいるためか私は知りません。その逆はありました?もしないなら、見えないところでなにかの差別があるんだと思います。

>
> また、SAIさんは、准提督さんへの回答の中で、アメリカの黒人議員はショウウィンドウで、実権がないと、書かれましたが、「実権がない」とは、具体的にどういう事態を指すのでしょうか?黒人議員の投票は、カウントしないのですか?黒人議員の賛成で可決した法律は、施行しないのですか?黒人議員には、質問やスピーチをする時間を割り当てないのですか?
そういうことではありません。上院議員には黒人は一人もいない、(上院と下院どっちが優先権があるかわかりますよね)共和党全国委員会の役員には黒人はバージンアイランド代表3人しかいない。その3人もバージンアイランドには黒人しかいないから。事実上共和党全国委員会の役員にはなれないんです。なれないということは共和党の最高決定には参加することができないということです。つまるところ現場がどうなっていようとも最高司令部は白人が握るというのがアメリカの民主主義の原則でもあります。

民主党はどうなのかというと、黒人を大統領候補や副大統領候補にすれば白人票を失って確実に落選してしまう以上決してそんなことはやりません。

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board4 - No.2997

Re2993:第3世代戦車と3.5世代戦車の違い

投稿者:冒険風ライダー
2002年10月07日(月) 15時07分

<次に値段ですが、90式が一台11億円したのは初年度における生産分の十両だけです、現在の価格は九億円を切っています。そしてM1やレオポルド2の値段ですが、確かに初期の生産型は3億程度でしたが、90式と同世代といえる、M1A2やレオポルド2A5の価格は七億円を超えます、量産効果による差額は2億円ほどです。ちなみに年間三十両弱生産している仏のルクレルクは九億五千万円、年間二十両弱しか生産していない90式よりお高いです。>

 すいませんが、この比較手法はそもそも根本から何か間違っているのではないでしょうか?
 まず、90式戦車が第3世代戦車と定義されているのに対して、その同世代戦車として挙げられている「M1A2」や「レオパルド2A5」は、それぞれ従来の第3世代戦車である「M1A1」「レオパルド2」の改良型で、外見こそよく似ていますが、その戦闘力は従来型とは大きな隔たりがあり、90式戦車と同列に並べられるものではありません。これらの改良型戦車は従来型と区別するために3.5世代戦車と呼ばれています。
 それに第3世代戦車たる「M1A1」や「レオパルド2」が1980年前後に制式採用されているのに対して、同世代戦車であるはずの90式戦車の制式採用はそれから10年も遅れた1990年で、しかもそれから一度たりとも「M1A2」や「レオパルド2A5」に見られるような改良化がなされてなどいないのです。外国の3.5世代戦車ですら、旧式化しつつある90式戦車と同等ないしはそれ以下の値段しかかからないのですから、いかに90式戦車のコストパフォーマンスが悪すぎるかが分かろうというものではありませんか。
 いずれにせよ、旧式化しつつある第3世代戦車と最新鋭の3.5世代戦車では、比較対照としてはいささか不適当なのではないかと思うのですが。


<さて、なぜ以上のような人の揚げ足を取るよう事を長々と書いたかというと、冒険風ライダー様がいう簡単に手に入る兵器資料がどんな物、簡単に理解していただけると思ったからです、市販されている資料にはかなり胡散臭い物が含まれています(たとえば、多銃身機関銃一般の事をバルカン砲、ヘリコプター搭載揚陸母艦(LPH)のことをヘリ空母などと書く資料も多く売られています)。
 現在はネットがありますので、ミリタリー系のサイトを見れば多くの情報が書いてありますので事の正否はすぐ分かりますが、創竜伝の3巻~6巻が発行された1988~90年当時は、簡単に正しい資料がそろう環境ではありませんでした。
 この頃、自衛隊の新装備が世間でどう評価されていたかというと、空のF-2はアメリカの横槍と既存機の改良型というだけで早くも駄作機と呼ばれ、海のイージスは88年に起きた米イージス艦による民間機撃墜事件のために欠陥品の烙印を押され、陸の90式は・・・創竜伝に書かれているとうりです(さすがに140ミリ砲とか尖った石程度で底に穴があくというのは違いますが)。
 こういった背景を元に書かれた訳ですので、田中氏一人を責めるのは酷というものかと思います。>


 あのですね、その当時でさえ、本当に兵器について調べようと思うのであれば、紀伊国屋書店などの本屋で兵器関連の最新資料を予約して取り寄せるとか、田中芳樹の立場ならば担当の編集者に頼んで探させるとか、最悪でも図書館に行って資料を漁ってみるとか、兵器について正確な知識を得る方法などいくらでもあったのではありませんか? 本気で社会評論を展開しようというのであればそれくらいの労は払って然るべきでしょうに。私自身、考察シリーズを展開するようになってからは、ネットの情報だけでは不充分と考えて、様々な書籍や資料を購入するように努めていますけど。
 第一、創竜伝で田中芳樹は、自衛隊の兵器の欠陥をあげつらう一方で、「日本は軍事大国化しつつある」などという現実離れしたタワゴトをほざいたり、自分が「道路も走れない欠陥戦車」などと評価していた(創竜伝6巻)はずの90式戦車を、過去の同じ作品のストーリー中で縦横無尽に疾走させたりしているのですから(創竜伝3巻)、これもまた「無用の評論の挿入が作中のストーリーを破綻させている」例のひとつであるわけで、その支離滅裂ぶりは徹底的に批判されて然るべきなのではありませんか?

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board4 - No.2998

Re:続・続・経済学的に正しい銀英伝

投稿者:本ページ管理人
2002年10月07日(月) 15時53分

>これは人権の前国家的権利性(人権は国家や法律によって与えられるのではなく、生まれながらにして持っているのであり、法律はそれを確認しているに過ぎない)

言うまでもなく、この説はフィクションです(なぜなら論証不可能ですから)。そのフィクションを大多数が信仰している状況でしか効果が発揮できません。
准提督さんの前提条件が前提として成り立たない以上、「フィクションを大多数が信仰している状況(しかも殉死者レベルでの信仰)」を証明しないと、論としてはちょっと厳しいです。

今回のテーマは、「民主主義を厳密に守ると民主主義が破綻する」という、原理主義的ジレンマを含んでいるだけに、かなり難しいですねぇ。
(ちなみに現代においても、人権を恣意的に運用する人は多いですが)

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board4 - No.2999

レスなど

投稿者:本ページ管理人
2002年10月07日(月) 16時10分

> 過渡期としての「啓蒙専制君主」は必要なのでしょう。ラインハルトは、それを目指しているのだし、リヒターやブラッケは、疑問を持ちながらも、結局は協力するでしょう。

うーむ、ラインハルトが『過渡期としての「啓蒙専制君主」』を目指しているとは思えません。ラインハルトは自分の「自由、自主、自立、自尊」は信じていても、凡人、もっと言えば劣等人の「自由、自主、自立、自尊」なんて微塵にも信じていないでしょう?

> 民主主義の完成度が非常に高くなれば、政治家は、「指導者」というよりも、「税金」という名の代金をもらって、「行政能力を売る」ビジネスマンと見なされるようになるのでしょう。

どんなに民主主義の完成度が高くなっても、「指導する者」と「指導される者」の間には「自由、自主、自立、自尊」の格差が発生します。
Kenさんがおっしゃられている例は理想的な資本主義ではありますが、民主主義であることを必ずしも保証しません。


ちなみに、共産主義は、指導者と言う名の『過渡期としての「啓蒙専制君主」』が、その強権で「真の平等」を作ろうとしました。一応、「真の平等」が訪れさえすれば独裁は終るはずなんですが、当然「真の平等」が実現するはずもなく、皮肉にもあれだけ「反平等」な制度になってしまったわけですね。そういう意味では、敬さんが2991で言っている、どこかの「民主主義人民共和国」は、永遠に「民主主義を目指す国」なわけです。

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board4 - No.3000

まずは

投稿者:本ページ管理人
2002年10月07日(月) 16時24分

>> > ぜひお伺いしたいのですが、SAIさんは、差別をはじめ世の不合理と戦うための武器として、アメリカ型民主主義以上の社会形態があると考えておられるのでしょうか?
>>
>> 結論から言えば、重要なのは政府の形態ではなく、権力を持つ者がその力を自分や取り巻きのために使うのではなく、公益の実現のために使うことだと思います。
>>
>> アメリカ型民主主義がだめなことはわかっております。

ひとまずSAIさんが「現状でもっとも理想的だと思う具体例」を挙げられてはいかがでしょう?それで、准提督さんやKenさんがずいぶん議論しやすくなると思います。

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board4 - No.3001

Re:「世間の常識」と「ミリヲタの常識」

投稿者:本ページ管理人
2002年10月07日(月) 16時45分

> 彼らは、90式とチャレンジャーやレオポルド2などとの間にある十年でどれだけ技術が進歩したか知りません、日本が誇るセラミック技術と冶金技術が生んだ複合装甲の真価も知りません、90式の試作車が実弾にさらされたことも知りません、10発の実弾を受けた試作車がちゃんと走ったことも当然知らないのです。

これに関してはおっしゃるとおりですね。
あのゲーム(率直に言ってガングリフォンですが)で「90式はブリキ缶」と言われているのは、「現代では高性能戦車である90式でさえ、作品の時代では旧型のブリキ缶扱いなんだぜ」という文脈で捉えるのが正しいのでしょう。
ただし、他の点については既に冒険風ライダーさんが述べられたとおりだと思います。

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board4 - No.3002

Re:銀英伝第2部・ジーク2世VSユリアン

投稿者:八木あつし
2002年10月07日(月) 17時41分

> 20年後(帝国暦510年・宇宙暦819年)の設定です。
>
> 銀河帝国
> ジークフリード1世(21歳)…ゴールデンバウム王朝第39代皇帝。前皇帝カザリン・ケートヘンの夫で結婚と同時に帝位を譲られる。政治的・軍事的に天才的な才能を発揮する。父・叔父の遺志を引き継ぎ、同盟再侵攻を決意。
> カザリン・ケートヘン(21歳)…皇后。前皇帝だが、決しておごることなく夫を支える。
> オスカー・フォン・ロイエンタール(52歳)…帝国宰相。ラインハルトの改革路線を引き継ぎ、国力の充実につとめる。
> ウォルフガング・ミッターマイヤー(51歳)…副宰相兼軍務尚書。帝国軍の再編に尽力し、同盟再侵攻に備える。
> カール・エドワルト・バイエルライン(47歳)…統帥本部長。ミッターマイヤーの後継者的存在。
> コンラート・フォン・モーデル(35歳)…宇宙艦隊司令長官。もとアンネローゼの近侍。ジークフリードの兄的存在。
> ハインリッヒ・ミッターマイヤー(33歳)…帝国軍上級大将。もとロイエンタールの近侍。ミッターマイヤー家の養子となる。モーデルの親友。
> フェリックス・フォン・ロイエンタール(21歳)…帝国軍少佐。ジークフリードの親友で副官。オスカーの息子。
>
> 自由惑星同盟
> ヤン・ウェンリー(52歳)…最高評議会議長。本人は自分に政治の才能があるとは思っておらず、辞任の機会を探っている。
> フレデリカ・グリーンヒル・ヤン(45歳)…ヤンの妻。議長秘書官。同盟の政治は実際には彼女が動かしている。
> アレックス・キャゼルヌ(58歳)…財政委員長。ヤンにつきあう形で政治家になったが、ヤンよりはるかに行政処理能力に優れている。
> ワルター・フォン・シェーンコップ(55歳)…国防委員長。やはりヤンにつきあう形で政界入り。女性票の集票能力はダントツ。
> ダスティ・アッテンボロー(50歳)…統合作戦本部長。ジャーナリスト志望だったが、軍人を辞める機会を逸した。
> オリビエ・ポプラン(48歳)…イゼルローン要塞司令官。外見は司令官らしくなく、まだ若々しい。
> ユリアン・ミンツ(38歳)…宇宙艦隊司令長官。ジークフリードの動向に早くから注目する。
> ヤン・ランファ(19歳)…ヤンの娘。父の反対を押し切って、士官学校に入学。帝国との戦争が始まると准尉待遇で参戦。
> カール・ミンツ(16歳)…ユリアンの息子。ランファに思慕の情を抱き、ランファを追って士官学校に入学。帝国との戦争が始まると下士官待遇で参戦。
> チャールズ・アッテンボロー(16歳)…ダスティの息子。士官学校でカールの同級生で、恋のライバルでもある。
>
> な~んか、年寄りばかりの話になりそうですね。(苦笑)

どうもイッチーさん。
普通に考えるとこのぐらいの年齢設定の方が現実的だと思います。銀英伝の軍人キャラは、全員若すぎるのですから。
しかし、最初から銀英伝がこの設定で始まると人気は出ないかもしれない。やはり第2部としてじゃないと活かせない設定です。
それにしても同盟側でヤンと対立する野党は、20年の長きに渡り政権と軍を支配するヤン・ウェンリー独裁政権と叫んでいそうだ。
個人的には、旧フェザーンの秘密工場で造られた地球教団艦隊1万隻と実は生きていたエルウィン・ヨーゼフ2世(性格悪い本編版)が結びつき大謀略が展開される、といった隠し要素が欲しいです。(笑)

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board4 - No.3003

Re:銀英伝第2部・ジーク2世VSユリアン

投稿者:イッチー
2002年10月07日(月) 19時39分

> 個人的には、旧フェザーンの秘密工場で造られた地球教団艦隊1万隻と実は生きていたエルウィン・ヨーゼフ2世(性格悪い本編版)が結びつき大謀略が展開される、といった隠し要素が欲しいです。(笑)

その設定いただきました。(笑)
帝国軍による「ハイネセン大虐殺」(同盟政府・銀河帝国正統政府の要人を殺害した事件)の折、地球教徒の助けで、エルウィン・ヨーゼフ、シュマッハー、ランズベルク伯はハイネセンから逃亡した。フェザーンを失った今、地球はエルウィン・ヨーゼフを擁して、武力による帝国のっとりをたくらむ様になったのである。

ド・ヴィリエ(48歳)…地球教総大主教。独自の武力を蓄え、帝国からの侵攻に備えると同時に、帝国乗っ取りの陰謀をめぐらす。
エルウィン・ヨーゼフ2世(28歳)…地球内に設けられた銀河帝国正統政府皇帝。銀河帝国乗っ取りのための手ごまとして何不自由ない生活を送る。
レオポルド・シューマッハー(52歳)…地球教団艦隊司令官。軍事的才能を買われ、地球教では重用されているが、本人の気持ちは複雑。かっての仲間も地球教艦隊に加わっている。
アルフレット・フォン・ランズベルク(47歳)…銀河帝国正統政府首相。実質的な権限はなにもないが、本人は帝国を乗っ取り、自らが返り咲く日を待っている。

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board4 - No.3004

Re:続・続・経済学的に正しい銀英伝

投稿者:倉本
2002年10月08日(火) 01時31分

> 自由惑星同盟がどのような法律を持っているかに依りますが、常識的には市民でなければ徴兵対象にならないのではないでしょうか?永住者でも、外国籍では、せいぜい義勇兵に志願してもらうくらいでしょう。したがって、自由惑星同盟の置かれた状況を考えると、同盟政府は亡命者の帰化、つまり国籍取得を推進すると思います。
>
私はそうは思いませんが。
銀英伝の戦力とは宇宙軍艦です。
これは作るのに金も時間もかかりそうですぐに数を増やすというわけにはいかない代物だと思います。
そうするといくら兵士の数が増えても乗せる艦がないから戦力としては意味が無いということになりますよ。
さらにいえば亡命者の中にスパイが混ざってる可能性もあるわけで。
それを考えるとやはり無条件で国籍を与えるというわけにはいかないと思いますよ。

> なお、国籍がなければ、「何の問題もなく亡命者を差別できます」というご意見には、私は賛同しかねます。

正確には差別ではなく区別というべきなんですけどね。
きちんと国籍を持った同盟国民と国籍を持たない亡命者とでは同じ権利を与えるわけにはいかないのはわかりますね。
まったくの別物である両者をきちんと区別する必要があります。
同じように日本国内で働いて税金を納めていても日本人と在日韓国人が同じ権利を持っていないのと同じように。
それにどうしても同盟国民と同じ権利が欲しいのなら国籍を取得すればいいだけのことですし。
その際に政府による民主主義をきちんと理解してるのかどうかというような審査が行われれば同盟が帝国にのっとられるということもないかと思います。

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board4 - No.3005

Re:Re2993:第3世代戦車と3.5世代戦車の違い

投稿者:ケスラセラ
2002年10月08日(火) 01時59分

<自分が「道路も走れない欠陥戦車」などと評価していた(創竜伝6巻)はずの90式戦車を、過去の同じ作品のストーリー中で縦横無尽に疾走させたりしているのですから(創竜伝3巻)、これもまた「無用の評論の挿入が作中のストーリーを破綻させている」例のひとつであるわけで、その支離滅裂ぶりは徹底的に批判されて然るべきなのではありませんか?>

 横槍のレスで申し訳ありません。
しかしよく読みこんでおられますね。6巻で出てきた戦車と3巻で出てきた戦車が同じ型などと気づかれるとは。
 しかし田中芳樹にとっては戦車が縦横無尽に走れるだの、値段がどうだのとはそれほど大きな意味を持っていないのではないかと思います。憲法で非戦を高らかに謳い上げている日本が一両11億か9億か知りませんがそのような膨大なお金をかけて作っているという事実に対して皮肉を言っているだけでしょう。確かにプロの作家としてその皮肉にも事実の裏づけを持ってしろという主張も理解できますが。

親記事No.2978スレッドの返信投稿
board4 - No.3006

Re:続・続・経済学的に正しい銀英伝

投稿者:准提督
2002年10月08日(火) 08時56分

>不勉強です。
すいません勉強してきます。

>私は何度同じ事を言えばいいんでしょうね。
これは失礼。

>何度も同じ事を言わせないでください。
申し訳ありません。

>そういう常識以前のことを言わないでください。
常識を疑うって大切ですよ。

>感情と理性が戦えば感情が勝つんです。
なるほどご自身のことはよく解ってらっしゃる。

私は議論しているつもりであって、喧嘩をしているつもりはありません。

ではご質問にお答えいたしましょう。
今回私は一部スタンスを変更いたしますが、基本的な見解に変更はありません。

1.帝国国内治安維持情勢
>誰が教えるんです?640年の時点で帝国のどこに共和主義者がいるんですか?
いたじゃないですか、出立前のアーレ・ハイネセンが(^^)つい150年前に。
ええ、こほん、さてご質問の640年の時点の帝国治安情勢についてですが、私は何も正規の学校機関で共和思想が教えられていると言ったわけではありませんよ。もちろん、帝国においては共和思想など非合法です。
しかし、一般的に見て、左翼思想(帝国においては共和思想がこれに該当)に染まりやすいのは一定の教育水準を有する連中です。例えばロシア帝国のナロードニキがこの場合最も近いでしょう。ロシア帝国の治安機関オフラーナ(銀河帝国の社会秩序維持局に相当するでしょう)がいくら血眼になって追いまわしてもこの連中を抑え切れず、ナロードニキ思想はロシアの知識階級を席巻した。同じ現象が銀河帝国でも発生していると考えられます。そのことは1巻17ページ下段、
「ルドルフ大帝の死後3世紀を経て、さしも強固だった体制のたがもゆるみ」
という記述からも裏付けられます。
要するに、なるほど帝国全体からみれば共和思想を知っている連中は少数派だがその割合は富裕階級になればなるほど上昇していく、という状況でしょう。んで、同盟に亡命してくるのはこの共和主義に被れている者の多い階層の人間です。亡命者の中に共和主義者は少なくなかった、と考えるべきでしょう。

さらにいうなら、私はこの帝国内における共和主義者の問題を680年ごろ以降の「後期亡命者」に関する考察において述べたのですが、なぜかSAIさまは話を640年にまで戻して展開していらっしゃいます。私の書き方が悪かったのかな?

680年頃には既に同盟が認知されて一世代。帝国においては帝政に不満を持っていた連中が勢いづき、共和主義思想が息を吹き返したはずです。ちょうどロシア革命を受けて日本や欧州で社会主義が弾圧にもかかわらず盛んになり、インドや韓国でも独立運動が当局の苛烈な攻撃にもかかわらず活性化したように。また同盟側からの宣伝工作もあるでしょう。フェザーンの正式建国は683年ですが、これ以前からフェザーンは両陣営の経由点となっていたはずですし(正式建国はむしろ事後承認でしょう。ある日突然フェザーンが成立したわけではないでしょうから)、亡命者を促すため(人的資源調達のため)多数の工作員がフェザーン・イゼルローン両回廊から帝国に潜入し、共和思想を広めたと考えられます。
従って、「後期亡命者」は、640年の時点にも増して多数の共和主義者を含んでいたはずです。



2.亡命者差別法問題
では三たび亡命者差別法の成立過程について論じて行きたいと思います。
さて、その前に一つ。私はここでSAIさまの議論を受けまして、これまでの謬見を謹んで訂正させて頂きます。即ち、これまで私は法的理論を重視しすぎていたと認めざるをえません。従って、スタンスを若干変更することを議論の前に明示しておきます。
ただ、SAIさまの
>法的理論など感情を正当化するためのものに過ぎず、何とでも付けられる(当方にて要約)
という見解に全面的に賛同するものではありません。なるほど私は法的理論を重視しすぎておりましたが、逆に現在のSAIさまのスタンスは法的理論を軽視しすぎております。その点も含めて、以下に論述します。

まずは管理人さま、
>人権の前国家的権利性はフィクションに過ぎない
誠にごもっともです。人権などフィクションに過ぎない。全くその通りであります。
しかしながら、同盟が
>フィクションを大多数が信仰している状況
であることは間違いないと考えられます、少なくとも640年までは。同盟の建国の経緯、帝国との戦争を前提とした国家体制ゆえ、「元々の同盟市民」はこのフィクションを盲信するべく洗脳に近い教育をされているでしょう。
問題はこの信仰が「640年組」の流入によって直ちに変わるか、です。私は「ノー」であると愚考します。理由はいみじくもSAIさまがおっしゃられているように
>教育されている理想と現実が乖離していればいるほど、教育を信じなくなる
からです。それまで耳にタコが出来るくらい「人間は生まれながらにして平等である。人間は生まれながらに権利を有している。人間は自由な存在だ。従ってそれを力によって抑えつけている帝国は悪そのものである。我々の敬愛すべき先祖はその悪の手を見事潜り抜けこの自由の国を築いたのだ。我々は何時か帝国を打倒して虐げられし帝国国民を解放しなければならない」と教育されていた人々に、某月某日を期していきなり「すまんあれうそ帝国国民人間じゃない人権ない差別していい」とは言えませんよ。
それに、この時期は無制限に亡命者の人権を制限する必要がありません。何しろ、SAIさまもお認めの通り、この時期は同盟の拡張期です。帝国に対抗するための国力を構築するには労働力が圧倒的に不足しております。同盟全体が亡命者歓迎ムードになるでしょう。数少ない労働者を、意欲に満ちて働かせるためには、経済的自由に制約を課すなどもってのほか。「元々の同盟市民」も別に職を奪われる心配はこの時期ありませんから(拡張期です)、文句はないでしょう。生活を脅かされる心配をこの時期の「元々の同盟市民」はしません。社会権にしても、経済が拡張し財政的にも余裕があり、しかも職にあぶれる連中は少ないでしょうから、保障しても問題ありません。教育を受ける権利などは「権利付与」の名目でむしろ押しつけられるでしょう、民主主義を国家サイドが教え込むために。
現に、アメリカにおいては1776年の独立宣言から1870年代までは移民に対する法的制約はありませんでした。拡張期でしたから。
アメリカと同盟の相違点はただ一つ、帝国という専制国家と戦争状態にあることです。
参政権の制限はこの点から正当化されます。「民主主義を知らない人々に民主主義を運営させてはならない」という議論は一定の説得力は有します。同様に表現の自由の一部や、高級公務員への就任権は付与されないでしょう。人身の自由も、「亡命者の中に帝国の工作員が含まれている蓋然性は高くそれを探知するためには一定の範囲で令状主義の適用を排除すべきである」という論が出てくれば、制約を受けるでしょう。
ただ、あくまでこの範囲に限定されます。理由は前述の通り、これまでのタテマエを完全に踏みにじることはできませんし(国民が教育、ひいては国家を信用しなくなる)、生活を脅かす存在ではない。それに何より「元々の同盟市民」が自分たちの人権を脅かすような立法の暴走を許容しない。
この「立法の暴走」につきSAIさまは
>暴対法は?組対法は?盗聴法は?
とおっしゃられ反論されていますが、この3法はこちら側の補強証拠にこそなりはすれ、とうてい立法の暴走を看過した例とは言えません。何故ならいずれの法も「立法の暴走を看過するな」という野党・マスコミによって散々骨抜きにされた挙句、特に組対法と通信傍受法などはものの役に立たないザル法にされてしまったからです。人権制約どころか、普通に(本来の立法目的通り)捜査活動のため運用するのもままならないほどに。
まず暴対法は、実際に六法を見て頂ければ解りますが、2条で相当厳密な定義の絞りをかけており、2章9条以下の規制規定も見ていて嫌になるくらい詰めています。おかげで暴力団側も法の穴を見つける事ができ、今や完全なイタチごっこ(法規制をかける―穴を潜り抜けられる―新しく法改正する―また抜けられる)です。無制限に「暴力団員に人権などあるか」でやれるならこんなザマにはなりませんし、運用サイドも随分楽でしょうね。国民の人権は侵害される危険がありますが。
組対法・通信傍受法は、まぁ、無茶苦茶です。いずれも2、3年前の成立ですが、これで国民の人権が云々なら破防法の成立した時に国民全員収用所送りだよ、ってくらいに。組対法の方は組織的な重大犯罪についての法定刑の加重(6・7条)と組織的な犯罪収益(マネロン)の規制くらいのものです。通信傍受法については国会で大幅に削られた挙句、対象が薬物事犯・銃器事犯・密航事犯・組織的な殺人の4つに限定されてしまいました(通信傍受法3条1項別表)。しかも通信傍受を実施するに当たっての要件は通常の逮捕・捜索令状の請求よりも遥かに厳格で(3条1項本文)、おまけに傍受実施の状況を国会に報告することが義務付けられています(29条)。そして実際成立後しばらく立った今も、ほとんど運用されておりません(傍受を実施したこと自体が話題になるくらいに)。これほどまでに立法の段階で人権制限を制約されていながら、俗には「盗聴法」と呼ばれ、人権制限の代名詞のように言われている。過大評価ですよ。
アメリカの移民法・「治安維持法」については実際に生の条文を読んだことがないですし、立法過程も詳しくは存じませんのでコメントを差し控えます。しかしSAIさまのおっしゃる通りならゆゆしき事態ですな。ただ、これらの立法は同時多発テロ直後の集団ヒステリーという特殊事情が強く作用していることは見逃せないと思います。このヒステリーが正常な立法審査をマヒさせている。少なくとも、表面上は亡命者を歓迎している(裏面で「社会的差別」が進行している事は否定しません)同盟とは状況が異なります。そしてこれらの立法ですら外国人の人権を包括的に制限してるわけではないでしょう?(知らないのですいません。よろしければ、どのような人権が、どの程度、どのような「こじつけ」によって制約されているのか知りたいので、本・雑誌・サイトなどを紹介していただけませんか?)
つまり、「立法の暴走」に対する制約は一概には言えない。私が従来言っていたほど立法は厳格に審査されるわけではないが、SAIさまがおっしゃるほど立法は好き放題できるわけでもない。どちらのスタンスも極端だったわけです。
従ってその時時の社会情勢に応じて「立法の暴走」への制約は変化する。しかしまだ同盟拡張期においては「元々の同盟市民」による亡命者への「社会的差別」はそれほど激しくないから(で、いいんですよねSAIさま)、「立法の暴走」に対する国民・議会・マスコミの制約は比較的正常に機能する。よって亡命者人権制限法は無制限な人権制限法にはならない。
こんなところでよろしいですかな。



3.亡命者人権制限法のその後
(続く)

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