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投稿ログ97 (No.1771 - No.1777)

親記事No.1726スレッドの返信投稿
board4 - No.1771

Re1762/1763/1769:マルチレス

投稿者:冒険風ライダー
2002年04月21日(日) 07時12分

>tinaさん
<つまり何がいいたいのかというと、「理性」で「感情」を説明することも、「感情」で「理性」を感じることも、非常に難しいという事はみんなわかっている訳です。
だから、「理性」と「感情」の折り合いを見つけ、相対的に両方の立場を踏まえて議論をしていこう、という流れになるのが賢いありようというものであります。
それを冒険風ライダーさんは、「理論的に叩き潰した」だの、「全否定した」だのと勝ち誇り、感情側を「明快な理論を伴わない感情論」として一蹴する。
非常に滑稽だと思います。>


 あのですね、銀英伝におけるヤンやラインハルトに見られる思想や行動原理のどこに「『理性』と『感情』の折り合いをつけている部分」が存在するのですか? 「より最善の方法を模索する」という「理性的な考え」を完全に放棄してしまい、「個人的な欲求を満たしたい」いう「感情論『だけ』」で「しなくても良かったはず」の戦争を頻発させ、しかもそれによって大量の将兵を「戦略的・政治的に見てもその必要がなかったにもかかわらず」戦没させてしまうという、彼らが全否定していたはずのゴールデンバウム王朝や門閥貴族らと全く同じことを「結果的に」行っていたという自己矛盾にまで陥っていたヤンやラインハルトの行動は、「『理性』と『感情』の折り合いをつける」という観点から見ても充分過ぎるほどの大問題と言えるのではないのですか?
 ましてや、ヤンやラインハルトには、将兵の犠牲を最小限に抑えて最大効率を上げるための作戦を遂行し、国民の平和と安全を守る立場と責任が存在したはずでしょう。その重大な責務を担うはずの戦争指導者が、自らの個人的感情や意地・プライドに基づいて無意味な戦いを頻発させ、将兵を無為に殺したり、国家を破滅させたりして良いわけがありません。それによって麾下の将兵や国民がどれほどまでに塗炭の苦しみを味わうことになるか、まさか理解できないわけではないでしょう。
 国家や軍の最高責任者が自らの個人的感情を最優先させて無用の犠牲を増やすことは、その責任論から言っても「愚行」を通り越して「悪行」ですらあります。そして政治というものはあくまでも「結果」のみが評価されるものですし、またそうあるべきものなのです。ヤンとラインハルトの「愚劣な子供同士の戦争ごっこ」はその基準から著しく反していたのですから、他者からどのようにボロカスに言われても仕方ありますまい。

 それとですね、人間が個人的にどのような思想や感情を抱いていようがそれ自体は個人の自由というものでしょうが、それを基に論文を公開の場で発表したり、他人と議論したりする時には、自分の言動に対する責任を取り、反対の意見を持つ人達の主張に対してすくなくともまともに対抗できる程度の「理論」を展開することが当然要求されます。
 そのような発言の場で、相手の主張に対抗できるだけの検証や反論を行うことなく「ロクな理論的根拠を持たない感情論」を唱えている者は、他者から「泣き言を並べている」などと言われても文句は言えないのですよ。公式の場における議論のルールや発言の責任とはそういうものなのです。
 もし、あくまで私の主張が不当であると思い、その主張を叩き潰したいと考えるのであれば、それこそ「ヤンやラインハルトが作中で取った行動にそれなりの理性的・感情的な整合性があった」ことを「明快な根拠」と「理論的説得力を伴った反論」で証明してみて下さい。それもできないでただ「泣き言」を並べているだけの人間と議論をするつもりなど私には毛頭ありません。
 最初のtinaさんの投稿には、すくなくとも内容の説得力はともかく「相手の主張に対して理論的に反論しよう」という姿勢自体は垣間見えることができたからこそ、私も議論に応じていたのですけどね~。



>平松さん
<あまり要塞の工事に技術者を振り向けると、一方で駐留艦隊の修理・整備がおろそかになってしまうのでは?要塞の工事と艦の修理・整備を並行して行なえば時間か仕事の質かどちらかを犠牲にしなければなりません。突貫工事で移動要塞が完成しても、それを守備する機動力の状態が著しく悪いままでは勝算は少ないでしょうし、そういった状態をいつまでもラインハルトが座視する訳はないと思うのですが。>

 まず移動要塞改造工事を突貫で行った後に、艦艇の修理・整備を行えば良いだけなのではありませんか? 移動要塞の改造さえ行ってしまえば、艦艇の修理・整備など、イゼルローン要塞内にある整備工場を駆使して、いつでもいくらでも行うことが可能なのですから。
 こんなものは懸念材料でも何でもないと思いますが。


<それでも、やはり通常要塞との防御力への将兵の信頼の差は大きいのではないかと。例えエンジンを格納すれば防御的には問題なしと技術的に保証されたとしても、ガイエスブルクの悲劇的な最後と言う生々しい前例がある以上、将兵達の心理的抵抗は大きいでしょう。
 将兵達は義務ある軍人たる自分達だけならともかく、家族までも移動要塞に乗せるのは断固反対するのでは?>


 は? ガイエスブルク移動要塞が持っていた致命的弱点を技術的に完全解決できることが立証されるのに、なぜ将兵達の移動要塞に対する心理的抵抗が問題になるのですか? 要塞外壁に対する将兵の信頼感は要塞主砲クラスの脅威でもない限り絶対のものですし、それ以上にヤンの指揮に対する絶対的かつ崇拝的な信頼というものも存在するでしょうに。一度移動要塞を短距離ワープでもさせて安全を実証してしまえば、将兵の心理的抵抗など問題にならないレベルまで雲散霧消してしまうことでしょうよ。
 しかも、要塞外部に家族を置けば、家族を外部の敵に攻撃・虐殺されたり人質に取られたりする可能性が多分に存在するのに対して(敵が将兵の家族の身元を確認して人質に取ってしまうなど容易なことです)、要塞都市の安全は余程の事態でも起こらない限りこれまた絶対のものですし、前線の将兵達にとって、常に家族と一緒に過ごせる環境は大変貴重なものです。一般将兵達にとっては、そちらの懸念と利益の方が、「安全が実証された移動要塞に対する不安」などよりもはるかに重大なものと認識されるようにすら見えるのですが。



>テム太郎さん
<イゼルローン要塞には民間人もいます。そして、その中に何十万という人口がいる以上妊婦がいない訳がありません。
ポプランとかシェーンコップみたいなやつがいるんですよ!妊婦がいない訳ないじゃないですか!
どういう訳かこの時代でも避妊についての完璧な防護策はないようです。(カリンの存在がそれを証明している)
銀英伝の中ではワープ航法は妊婦?かもしくは胎児?に悪影響があると書いてありましたよね。(この辺記憶があいまい)
ということはイゼルローン要塞に住んでいる妊婦さんは、イゼルローン要塞が移動することはもちろんイゼルローンから出ることもできません(正確には宇宙船での恒星間移動ができない)。
話のエピソードの中で子供を生んだ直後の女性ばかりを乗せた船のエピソードはあったような気がしますが、妊婦が移動したというエピソードってありませんでしたよね?(これも記憶があいまい)
「イゼルローン要塞がワープするので母体or胎児に影響があります。妊婦の方はすみやかに降ろしてください。」という命令はヤンの性格では絶対にできない。
個人の、しかも民間人の自由・生命を政治的に奪うことになるからです。
もしこういう命令をヤンがしたとすれば、そのときからヤンの名声にはキズがつき、将兵がヤンに対する信頼を失墜させ、戦闘において大切な士気を落とすことになりかねません。>

<ヤンが民間人を犠牲にしてもイゼルローン要塞ワープを実施すべきだったと主張はできると思いますが、それをやったらヤン=ウェンリーじゃありません。
この時点までにヤンについてオーベルシュタイン的一面を多少なりとも書いてあれば「あり」だったかもしれませんが、ヤンの性格をそういう人ではないと書いてしまっている以上、明らかに性格とは反する行動を取ることになってしまいます。>


 残念ですが、銀英伝でこの論法が成立する余地は一切存在しませんね。というのも、銀英伝5巻のイゼルローン要塞放棄の際、ヤンは要塞に居住する全ての将兵と民間人を引き連れて脱出を行っていたからです。
 将兵と民間人を合わせて500万人も存在すれば、イゼルローン要塞脱出の時点で妊娠中だった女性がひとりも存在しないわけがないでしょう。現に戦艦ユリシーズには、出産後とは言え600人もの乳児と母親が医師や看護婦と共に搭乗していたのですから(銀英伝5巻 P58)、それよりも遅れた出産直前とか妊娠3~8ヶ月ほどの妊婦が一切存在しなかったとは全く考えられません。
 にもかかわらず、ヤンはワープ航法が妊婦と胎児に与える悪影響を充分に承知・認識していながら、帝国軍のフェザーン&同盟領内侵攻に呼応して行われた「緊急的かつ受動的な脱出作戦」という、妊婦全員を出産させる時間的余裕のない状況下で、妊婦の出産事情を何ら考慮することなくイゼルローン要塞放棄と脱出を行っていたわけなのですから、これはヤンがイゼルローン要塞放棄と妊婦&胎児の生命を天秤にかけ、前者に軍配を上げていた何よりの証拠でしょう(ちなみにその判断は正しかったと私も考えています)。
 しかも移動要塞戦術を行う際には、イゼルローン要塞放棄と違って時間的・行動的な自由がある程度は存在するわけなのですから、事前の対策を練ることも容易に行うことができます(これに関しては下で後述)。過去の自分の「前科」を無視し、「事前の対策措置」を取ることなく、ヤンが「妊婦と胎児の生命」を根拠にイゼルローン要塞改造を決断しないのは、第一に怠慢であり、第二にとんでもない偽善行為そのものではありませんか。


<妊婦だけをその宙域に残すという手もありますが、宇宙の只中に移動もできない宇宙船がぽつんと1つ置き去りにされるという状況を民間人が許すでしょうか?
安全にワープ航法をするためにはイゼルローンに住む人に対してワープを行う11ヶ月ぐらいまえから「性行為を行う場合は完全に避妊しなければならない。もし妊娠しても軍は一切の責任を負わない」という法律?(規則?)を作らないといけません。
多分この法案?は内部から瓦解して成立できないでしょう。>


 ↑これって軍の中では何ら非常識な法律ではないのですけどね。性病対策の観点から、軍が将兵の性行為に関する規則を作成したり、慰安所の設置を設けたりするのは常識ですし、イゼルローン要塞内部の男性の大半が軍に所属しているわけでしょう。上記のような法律ないしは軍規を徹底させるのは別に難しいことでも何でもないことのように思えるのですけど。
 もし何らかの事情でどうしても出産しなければならない事情が存在するというのであれば、どこか適当な惑星に近づき、ワープを使わない宇宙船を使って妊婦を下ろし、民間の産婦人科の病院などで安全に出産させた後、また改めて要塞に搭乗させるといった処置を「特例で」認めてやれば良いだけの話でしかありません。
 上記に見られるような対策措置を事前に行うことが可能である以上、要塞内に居住する妊婦&胎児の存在は、移動要塞戦術を実行するに際して何ら障害となることはありえないのです。

親記事No.1726スレッドの返信投稿
board4 - No.1772

Re:Re1753:移動要塞の諸問題について

投稿者:Merkatz
2002年04月21日(日) 13時54分

>
> >技術問題

「技術」という言葉を使っていますが、ちょっと不適切だったかもしれません。
運用面でのノウハウ、それが兵器としての機能を果たすための信頼性とでも言えばいいのでしょうか。
例えば稼働率と言いますよね。どんなに強力な新兵器でも、稼働率が低ければ役に立ちません。
ですから現場の兵士には実績の無い新兵器より、信頼性の高い旧兵器が好まれるという傾向があります。
こういう部分を指して「技術」と称したんですが、やや混乱させてしまったようです。

おっしゃる通り、シャフトの提案はハードウェア面で革新的技術は要りません。
だからハードウェアについては同盟側もほぼハンディキャップは無いでしょう。
しかし、運用面は?
12基のワープエンジンの完全な同調から始まって、安全・確実にワープできることや、通常航行の安定性など、検証すべきことはたくさんあります。
ガイエスブルグ作戦で行われた工事とは、もちろんエンジンを取り付けるという物理的作業(ハードウェア)もあるでしょうが、
果たして理屈どおり動くのかという検証実験(ソフトウェア)の方がウェイトが高かったのではないでしょうか。

日本の工業製品について思い浮かべれば分かりやすいでしょう。
メイドインジャパンが優れていると評される所以は、故障しないことにあります。
それはハードウェア的優秀さのみから生まれるものではありません。
ユーザーからの意見を聞いたり、生産ラインの改善、部品の厳しい選別など、そういうソフトウェア的な部分によって実現されています。
そういったものも含めての技術立国であることは誰しも認めるところです。

このことを示す発言をラインハルトはしています。
「・・・・・・この計画の困難は発案より実行にあるのだ。」(3巻、98P)
兵器が兵器として機能するためのノウハウの蓄積。
これが同盟側に欠けていることが私の指摘する「技術問題」なのです。

>ついでに言うと、これは多分に銀英伝描写の矛盾・・・・・・(中略)・・・・・・
>工期についても技術に関しても何ら問題は生じないと思われます。

実はこの指摘は冒険風ライダーさんにとってはついでであっても、
私にとってはすごく重要な点なんです。
実質工期が1ヶ月以下だとしたら、いったい検証実験はどのくらい費やされたのか?
一週間や二週間のテストで、戦場で故障も無く動いたというのは驚異的です。
(実験環境より戦場の方が過酷な動作環境であることは言うまでも無い)
私から見ればこちらの方が「大きな穴」ですね。(^^;;

> >工事秘匿の問題

銀英伝における偵察の描写があったかどうか、記憶が定かではなかったのでアニメ版を思い浮かべながら書いたんですが、
原作の相当部分を探してみてびっくりしました。
ほとんど偵察に関する描写が無いんです。
かろうじてバーミリオン会戦時に「先行偵察衛星からの映像と哨戒小集団からの報告」という表現がありました。(5巻、176P)
一応アニメ版ですと、無人の強行偵察艦や強行偵察用スパルタニアンというものが出てきます。

さて、実在の惑星との比較をしてもらって、イゼルローン要塞が意外と小さいものだとは分かりました。
しかし、小さいから隠蔽可能などというのなら、艦船はどうなります?
最大の大きさの旗艦レベルで全長1000m程度です。
索敵だけで戦争が終わるという間抜けな話になりませんか?
広大な宇宙空間に比べれば、豆粒以下でしかない艦船でも、きちんと相手を見つけられるのですから、
艦船よりはるかに巨大な人工天体が見つけられないということはあり得ないでしょう。
ましてやイゼルローン要塞は場所が分かっているのです。
原作の記述に従うなら、先行偵察衛星を飛ばしてイゼルローン要塞を撮影させればいい。
映像は超高速通信で送ればよいから、衛星本体を回収する必要も無い。
哨戒部隊が目視できる距離まで近づく必要はありません。

さらに要塞の工事が簡単に隠蔽できるのなら、以下のラインハルトの発言と矛盾します。
「構想としては悪くないが、成功するにはひとつ条件が必要だな」
「それは?」
「わが軍がそれを構築する間、同盟軍の奴らがだまってそれを見物し、けっして妨害しない、という条件だ」(3巻、41P)
つまり、索敵技術としてその程度は確立しているということです。

>  上記の前提を踏まえて、要塞を建造する時期に関する話題に移りますが、
>

これはもう技術と工事(隠蔽)に対する評価が私と冒険風ライダーさんとで180度違うのですから、
自ずと結論も変わってくるわけです。
冒険風ライダーさんから見れば、簡単にできる事をしなかったから馬鹿だということになり、
私から見れば、ハードルが高いから無理をしてまでやるべきことではないとなる。
ということで、移動要塞を作らなかったヤンやラインハルトは間抜けかという点に関しては、いったん保留ということでよろしいでしょうか?

>  そしてヤンによるイゼルローン再占領後の帝国ですが、
(中略)
>  これでも、イゼルローンを再占領された立場に置かれて以降のラインハルトに、
>移動要塞の存在意義を顧みる必要性はなかったと言えるのですか?

私の考察ではこのパターンが抜けていましたね。
帝国側(ヤンによるイゼルローン再占領後)ですが、これは冒険風ライダーさんに同意です。
ガイエスブルグの実績があるのですから、小惑星特攻くらい簡単でしょう。
もっともそれだと見せ場も無く物語りが終わってしまう(笑)。

ちょっと思ったんですが、移動要塞って本当に無敵なんでしょうか?
例えば移動中に捕捉されたら?
周りに障害物の無い空間で、10万隻くらいの艦艇に取り囲まれたら、
いかに強固な防御力といえども、もたないような気がします。
なぜなら、過去に幾度か要塞主砲の死角から、火力をもって外壁に穴をうがつという戦法を同盟軍は披露しており(第6次イゼルローン攻防戦のホーランドなど)、
もし艦隊を展開するに何の制約も無い空間なら、数個艦隊で一点集中砲火も可能かと思います。
しかも要塞主砲が一度撃つとエネルギー充填に時間がかかるという特性をもっているのですから尚更です。
(ワープして逃げる、といっても以前にもどなたかが銀英伝世界におけるワープ技術について論じていましたが、それが可能ならどうして戦闘中にワープしないのか?とかワープ爆弾がないのは何故?とかありますから、取り囲まれてもワープで逃げればよいというのは、とりあえずできないと仮定してよいかと)

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board4 - No.1773

Re:駄文

投稿者:すてはにー・マクマホン
2002年04月22日(月) 03時48分

「中国は紀元前から謀略を重ねてきた民族だ。それに比べたら貴様ら日本の公安などアマチュアにすぎぬ」
なんてのはいかがでしょう?

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board4 - No.1774

Re:Re1762/1763/1769:マルチレス

投稿者:テム太郎
2002年04月22日(月) 10時18分

冒険風ライダーさん

回答ありがとうございます。
しかし、5巻でのイゼルローン脱出の件は忘れてるってのはどうかしてますね。私(^_^;)

ということは、少なくとも本編の内容では状況証拠ではあるもののヤンも秦檜のような「無実の人を犠牲にして多数の人命を救う」ということをしてるということですね。
なんか、結構皮肉なことですね。

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board4 - No.1775

Re1772:それは全然違います

投稿者:冒険風ライダー
2002年04月22日(月) 15時40分

>技術問題
 これに関しては、帝国・同盟両国の技術水準に関する資料が少なすぎて、これ以上論じることが難しいですね。一応「同盟側も移動要塞を建造することが可能」と私が断定した根拠としては、

1.帝国と同盟の技術水準に明確な格差が存在しない
2.移動要塞の技術自体が今までのワープ・航行エンジン技術の応用で開発できる
3.ヤン自身が移動要塞の秘密を完全に掌握できている(これが銀英伝3巻のあの戦術につながった)

といったものなのですけどね。まあ移動要塞技術が基本的に既存のワープ・宇宙航行技術の応用に過ぎず、しかも「移動要塞の実際の工期がたったの1ヶ月弱」では、仮にMerkatzさんの運用面云々の懸念が的中したとしても、2度目のイゼルローン奪取後のヤンがイゼルローン要塞を移動要塞に改造するのは不可能でも困難でもないですよ。運用やテストなども、基本的には今までの応用で使用できるわけですし、理論自体もヤン自身が完全に掌握しているわけなのですから。
 それから、もしあくまでもイゼルローン要塞の改造に時間がかかると言うのであれば、かつて私が「銀英伝考察1」のスレッドで論じたように、ヤンが時間稼ぎのための対外外交・謀略活動を帝国に対して行っていけば良いだけの話でしょう。後述するように、イゼルローン回廊の内部事情を隠蔽するのは比較的容易ですし、何よりもあの当時は帝国政府と帝国軍の間でも非戦論がささやかながらも公然と唱えられていたわけですから、成功する確率は充分すぎるほどに存在したと思いますけどね~。



>工事秘匿の問題
<さて、実在の惑星との比較をしてもらって、イゼルローン要塞が意外と小さいものだとは分かりました。
しかし、小さいから隠蔽可能などというのなら、艦船はどうなります?
最大の大きさの旗艦レベルで全長1000m程度です。
索敵だけで戦争が終わるという間抜けな話になりませんか?
広大な宇宙空間に比べれば、豆粒以下でしかない艦船でも、きちんと相手を見つけられるのですから、
艦船よりはるかに巨大な人工天体が見つけられないということはあり得ないでしょう。
ましてやイゼルローン要塞は場所が分かっているのです。
原作の記述に従うなら、先行偵察衛星を飛ばしてイゼルローン要塞を撮影させればいい。
映像は超高速通信で送ればよいから、衛星本体を回収する必要も無い。
哨戒部隊が目視できる距離まで近づく必要はありません。>


 すいませんが上記の主張、私が意図していたこととは全く違った解釈に基づいて反論していますね。私が言いたかったことは「哨戒部隊の索敵範囲ですらあれほどまでに小さすぎるくらいなのに、イゼルローン要塞を『遠距離から』しかも『詳細に』撮影することができるような技術など、銀英伝世界にはそもそも最初から存在しない」であって、別に「哨戒部隊は敵を索敵することができない」とは書いていませんよ。
 私はNo.1764の投稿で「哨戒部隊が敵を探知できる範囲はせいぜい500~1000光秒の間が限界」と書きましたけど、これが宇宙空間と比較してどれほどまでに小さな範囲であるか検証してみましょうか? また例によって太陽系を取り上げてみますけど、この太陽系で太陽から一番離れている惑星は冥王星です。まあこの惑星は他の惑星とは少し違った軌道を描いて太陽の周りを周回していますので、時々天王星より近くなることもありますが、それはさておき、この冥王星が太陽から一番離れた時の距離が約59億1352万kmで、これを銀英伝世界の宇宙単位である「光秒」(ちなみに1光秒=30万kmです)に換算してみると、

5913520000 ÷ 300000 = 19711.73・・・

となります。つまりこれは、太陽系の「半径」だけで2万光秒近くも存在することを意味しているわけです。たったひとつの恒星系だけでもこれほどまでに広大な宇宙空間で、たかだか500~1000光秒程度の索敵機能を使って、一体どうやってイゼルローン要塞を「遠距離」から、しかも「要塞外面の詳細」を撮影することができるわけなのですか?
 そりゃこれでも「通常の」哨戒任務ならば艦艇を発見したりすることもできますよ。敵があらかじめ通ってくるであろう航路や自軍の周囲を警戒して哨戒網の網を予め張っておけば良いだけなのですから。しかしMerkatzさんが仰っていることは、結果的には「イゼルローン要塞と駐留艦隊が哨戒網の網を張っているアルテナ星系の奥深くに、それも一隻の偵察艦だけを使って進入し、敵に全く発見されることなくイゼルローン要塞を詳細に撮影することなど容易にできるから、要塞の内情を隠蔽するのは不可能」などという、成功率ゼロの無謀極まりないことを言っているも同然なのですよ。もちろん現実には、派遣した先行偵察衛星なり強行偵察艦なりは、アルテナ星系に到達するどころか、その遥か手前で要塞側の哨戒部隊に捕捉され、撃滅されてしまうのがオチでしょう。大規模な艦隊派遣でもあれば話は別ですが。
 そして要塞は宇宙空間の広さに比してあまりにも小さすぎ、とても「安全な遠距離」から「詳細に観察」できるようなシロモノではないのです。イゼルローン回廊帝国側出口付近を守備していた帝国軍の哨戒部隊も、イゼルローン要塞を監視するというよりも、むしろ駐留部隊がこちら側に向かってくることを想定した哨戒活動を行っていたわけで、だからこそ、銀英伝3巻冒頭の遭遇戦などが起こりえたわけですよ。もし、イゼルローン回廊出口付近から直接イゼルローン要塞や駐留艦隊の内情などが正確に掌握できるのであれば、あのような偶発的な接近遭遇戦が発生する道理がそもそも存在しえないではありませんか。
 これが私が本当に言いたかったことなのですけど、お分かりいただけましたか?

 それとラインハルトのこのセリフですけどね↓

銀英伝3巻 P40下段~P41上段
<「……つまり、イゼルローン要塞の前面に、それに対抗するための拠点となるわが軍の要塞を構築するというのか」
「さようです、閣下」
 重々しく、科学技術総監はうなづいた。あきらかに賞賛を期待していたが、彼が若い帝国宰相の秀麗な顔に見出したものは、にがにがしい失望の色であった。わずか15分でも、時間を浪費したと言いたげなラインハルトである。
「構想としては悪くないが、成功するにはひとつ条件が必要だな」
「それは?」
「わが軍がそれを構築する間、同盟軍の奴らがだまってそれを見物し、けっして妨害しない、という条件だ」>


↑私が新たに引用してきた文章をよく見てください。ラインハルトはシャフトの言を「イゼルローン要塞の『前面に』『それに対抗するための拠点』となるわが軍の要塞を構築する」と言ったのですよね? このシャフトの言動を移動要塞の要素を抜きにして普通に解釈すると「イゼルローン要塞および駐留艦隊の索敵圏内、下手をすると主砲射程圏内で要塞の建造を始める」と言っているようにしか聞こえないのですけどね。シャフトは「要塞の火力と装甲をもって要塞に当たらせる」と言っているのですからなおさらのことです。そしてそれに対するラインハルトの主張は「こんなバカバカしいことを敵の眼前で行って素直に見逃してもらえるはずがないだろう、この度し難い愚か者が」という類の本音を、せいぜい穏やかな口調で吐露したものでしかありえないわけです。
 だからこれは索敵云々とは何ら関係ないどころか、むしろ私が主張している「イゼルローン要塞に接近してその様子を詳細に撮影するのは無理」の補強にしかなりません。


<私の考察ではこのパターンが抜けていましたね。
帝国側(ヤンによるイゼルローン再占領後)ですが、これは冒険風ライダーさんに同意です。
ガイエスブルグの実績があるのですから、小惑星特攻くらい簡単でしょう。
もっともそれだと見せ場も無く物語りが終わってしまう(笑)。>


 さらにこれに付け加えますと、このような可能性がありえることをも考慮した上でも、ヤンは移動要塞建造に着手するべきだったのですよ。銀英伝考察3でも引用しましたが、ヤンは3巻の「要塞特攻」を語るくだりで「今後は破壊を目的とした攻撃を、帝国軍はイゼルローン要塞にたいしてかけることができる」と考えていたわけですから、イゼルローン要塞を再度奪取したヤンは、過去の思考過程から言っても、当然ラインハルトがそのような戦術を再度行う可能性を考慮する必要性があったはずです。
 何しろ、あのような作戦を取られてしまったら、要塞に立て籠もった持久作戦など全く無意味となってしまうのですからね。「回廊の戦い」の際に、敵が以前の「要塞特攻」の焼き直し的な作戦を再度取るかもしれないことをヤンが一切考慮していなかったとしたら、ヤンは重度の「健忘症」を患っているとしか思えないのですが。


<ちょっと思ったんですが、移動要塞って本当に無敵なんでしょうか?
例えば移動中に捕捉されたら?
周りに障害物の無い空間で、10万隻くらいの艦艇に取り囲まれたら、
いかに強固な防御力といえども、もたないような気がします。
なぜなら、過去に幾度か要塞主砲の死角から、火力をもって外壁に穴をうがつという戦法を同盟軍は披露しており(第6次イゼルローン攻防戦のホーランドなど)、
もし艦隊を展開するに何の制約も無い空間なら、数個艦隊で一点集中砲火も可能かと思います。
しかも要塞主砲が一度撃つとエネルギー充填に時間がかかるという特性をもっているのですから尚更です。>


 すいませんが、私が以前に書いた「要塞が持つ最強の武器とは『無限の自給自足能力』にある」という話をすっかり忘れてしまっているのではありませんか? 私は一度たりとも「『要塞主砲』と『要塞外壁』が『絶対的な力を保有した万能の武器である』」などと書いた覚えはありませんが。
 そして私はNo.1736でも「敵に無制限の持久戦を強いること」が要塞の持つ最強の武器であり、要塞主砲も要塞外壁もそのためのサポート機能(絶大な攻撃力と防御力による敵に対する威嚇と抑止力)として活用することこそが一番有効な使い道とも書いているのですが、そこは読んでいただけなかったので?

親記事No.1726スレッドの返信投稿
board4 - No.1776

Re:移動要塞諸事情についての考察

投稿者:平松重之
2002年04月22日(月) 18時08分

 冒険風ライダーさん

<まず移動要塞改造工事を突貫で行った後に、艦艇の修理・整備を行えば良いだけなのではありませんか? 移動要塞の改造さえ行ってしまえば、艦艇の修理・整備など、イゼルローン要塞内にある整備工場を駆使して、いつでもいくらでも行うことが可能なのですから。
 こんなものは懸念材料でも何でもないと思いますが。>


 ですから、要塞工事を突貫で行なった後で、その後に艦艇の修理・整備を行なえば時間も余計にかかるでしょうし、要塞改造と整備が終わるまでラインハルトが待ってくれると考えるのは楽天的に過ぎるのではないか、と言いたかったのですが。
 また、8巻のP28で4月20日におけるヤン艦隊の艦艇数は28840隻で、その内3割弱(約8000隻)が修理・整備を必要としていたとあります。その10日ほど後の回廊の戦いの序盤においての全戦力は「20000隻以上」(P59)とありますから、10日程度ではほとんど損傷・老朽艦艇の修理・整備が出来なかった事が分かります。これから考えて、イゼルローンは工兵や民間から重用された技術者の数ないし経験が絶対的に不足していたのではないかと考えられ(そう考えないと余りにも修理のペースが遅すぎる)、移動要塞改造に余力を傾ける余裕などなかったでしょうし、仮に数ヶ月要塞改造に工兵や技術者を投入したとすれば、前述の修理・整備のペースから考えて工事も遅れるでしょうし、工事終了後に艦隊の修理・整備を行なえば更に時間がかかり、帝国軍が進入してくるであろう5月初頭に間に合うとは到底思えないのですが。要するに、イゼルローンやエル・ファシルには要塞改造を行なうには熟練の工兵や技術者、及びその絶対数が決定的に不足していたのではないかと。

<は? ガイエスブルク移動要塞が持っていた致命的弱点を技術的に完全解決できることが立証されるのに、なぜ将兵達の移動要塞に対する心理的抵抗が問題になるのですか? 要塞外壁に対する将兵の信頼感は要塞主砲クラスの脅威でもない限り絶対のものですし、それ以上にヤンの指揮に対する絶対的かつ崇拝的な信頼というものも存在するでしょうに。一度移動要塞を短距離ワープでもさせて安全を実証してしまえば、将兵の心理的抵抗など問題にならないレベルまで雲散霧消してしまうことでしょうよ。
 しかも、要塞外部に家族を置けば、家族を外部の敵に攻撃・虐殺されたり人質に取られたりする可能性が多分に存在するのに対して(敵が将兵の家族の身元を確認して人質に取ってしまうなど容易なことです)、要塞都市の安全は余程の事態でも起こらない限りこれまた絶対のものですし、前線の将兵達にとって、常に家族と一緒に過ごせる環境は大変貴重なものです。一般将兵達にとっては、そちらの懸念と利益の方が、「安全が実証された移動要塞に対する不安」などよりもはるかに重大なものと認識されるようにすら見えるのですが。>


 理屈では安全と分かっていても、やはりガイエスブルクの悲劇的な最期は感情的に尾を引き、万一の事を考えればやはり将兵は家族を居住させるのはためらうのではないかと個人的には思うのですが、まあ、この辺りは認識の違いでしょう。
 それと「家族と一緒に過ごせる環境」についてですが、家族と一緒に過ごせるのはエル・ファシル出身の兵士だけで、他の星系の兵士達の家族は帝国に生殺与奪を握られているので、全体的に見てあまり意味がないのでは?ラインハルトが人質をとるなどという卑劣な真似をするはずがないという信頼感もあるでしょうし。
 また、移動要塞に改造した以上、当然政治的にも、自給自足の強化のためにも、エル・ファシルから大量に住民を移住させなければなりませんが、果たしてそれを帝国軍が看過し、かつ要塞の改造や艦隊の修理・整備が間に合うでしょうか?移動要塞をエル・ファシルにワープさせ、民間人をシャトルや民間船で搭乗させるとして、その途中を急襲されたらひとたまりもないのでは?民主主義の軍隊が民間人を放り出して逃げるなど論外ですし、民間人を守りつつ応戦するのも困難と言わねばなりません。
 それとイゼルローンを「安全な遠距離から監視」するのは不可能ではないらしく、10巻のP46で旧同盟領に常駐していたワーレンは「イゼルローン要塞に不穏の動きあり」と、要塞の動向を察知していますし、P48で索敵艦隊は逆方向の帝国本土に進撃を開始したイゼルローン軍の動きを捉えてもいます。これを考えれば、銀英伝における索敵技術は冒険風ライダーさんのお考えよりもかなり優れていると言えるのでは?

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board4 - No.1777

Re:移動要塞諸事情についての考察

投稿者:Zero
2002年04月22日(月) 22時54分

横合いから失礼します。
僕も、移動要塞には比較的否定の立場です。

> <まず移動要塞改造工事を突貫で行った後に、艦艇の修理・整備を行えば良いだけなのではありませんか? 移動要塞の改造さえ行ってしまえば、艦艇の修理・整備など、イゼルローン要塞内にある整備工場を駆使して、いつでもいくらでも行うことが可能なのですから。
>  こんなものは懸念材料でも何でもないと思いますが。>

>
>  ですから、要塞工事を突貫で行なった後で、その後に艦艇の修理・整備を行なえば時間も余計にかかるでしょうし、要塞改造と整備が終わるまでラインハルトが待ってくれると考えるのは楽天的に過ぎるのではないか、と言いたかったのですが。
<<中略>>
要するに、イゼルローンやエル・ファシルには要塞改造を行なうには熟練の工兵や技術者、及びその絶対数が決定的に不足していたのではないかと。

そうですね。
それに、いくら帝国側で一度上手くいった方法と言えど、
それが無理なく再現し続けられる保証も無いですし・・・
何せ、当の発案者のシャフトでさえ実験時に要塞に乗り込むのを
嫌がってましたしね(^^;

完全にエンジンを連動させる、またそれをさせ続ける運用をしなくては
ならないというシビアな選択をヤンがするかなぁとか思います。
たった一つの「要塞」を実験には使えないでしょう。
やっぱり、あれはいくつも持っている帝国だからこそ打てた手では?


> <は? ガイエスブルク移動要塞が持っていた致命的弱点を技術的に完全解決できることが立証されるのに、なぜ将兵達の移動要塞に対する心理的抵抗が問題になるのですか? 要塞外壁に対する将兵の信頼感は要塞主砲クラスの脅威でもない限り絶対のものですし、それ以上にヤンの指揮に対する絶対的かつ崇拝的な信頼というものも存在するでしょうに。一度移動要塞を短距離ワープでもさせて安全を実証してしまえば、将兵の心理的抵抗など問題にならないレベルまで雲散霧消してしまうことでしょうよ。
>
>  理屈では安全と分かっていても、やはりガイエスブルクの悲劇的な最期は感情的に尾を引き、万一の事を考えればやはり将兵は家族を居住させるのはためらうのではないかと個人的には思うのですが、まあ、この辺りは認識の違いでしょう。

僕もそう思います。
我々は、「飛行機が安全に飛ぶ」と言うことを理論的には知って
いますが、目の前でそれが落ちる所を目撃した人などは、すぐに
飛行機に乗ることをためらいはしないでしょうか?

特に同盟の方は、「要塞が移動してきた」事は知っていますが、
見たのは一度で、さらにその要塞は、消滅しました。
実用面での危険度は刷り込まれたと思います。


それに、イゼルローンの利点はやはり回廊外縁部を利用することで
相手の攻撃の幅を制限する所にある気もします。
たとえ、回廊両端を押さえられたとしても。

あと、気になったのが「永久機関」と言えど、大出力のエネルギー消費
をすれば、流石にその補充に時間が必要なのではないかという事。
それがどの程度かは不明ですが。
作中の「永久」の前提は「ちびちび使って、その分は補充」だと思います。

どうでしょうか?

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