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board4 - No.1812

超長距離観測その他

投稿者:陵雲
2002年04月28日(日) 13時15分

> とすれば、超光速通信を利用した光年単位の超長距離観測は、理論的には可能なのだと思います。「超光速望遠鏡」で焦点を結ばせるのはすごく難しそうな気はしますけど。少なくとも、光学的に撮影した映像を超光速通信で送るのは可能かと。
> ただし、それは観測対象の座標がはっきりしていないととても難しいでしょうね。「そこにあることが分かっている」ものを観測することはできても、「どこにあるかわからない」ものを探す=索敵するのにはほとんど役に立たないとは思います。

実際、これだけ未来の話なら「光年単位の観測技術」は無い方が不自然だと思います。
しかし、冒険風ライダーさんの言われる様に軍事に利用できるのか?と考えると、かなり疑問です。

疑問の1.戦場の広さ
 冒険風ライダーさんが何度も言われているように宇宙はとてつもなく広く、それに対して艦艇のサイズはあまりにも小さいので、遠距離から望遠鏡で戦場全体を観測しようとすると

「なにやら光の点がたくさん見えるけど、どれがどっちの船だかサッパリわからん!」

ということになってしまいます。
かといって艦艇の種類が見分けられるほど倍率を上げると今度は

「とりあえずこいつが我が軍の船なのは分かったが、あとの1万9999隻はどこだ?」

となってしまいます。

まあ何とか両陣営の配置が分かったとしても、望遠鏡は1方向からしか見えませんから両陣営の光点が重なってしまうともうどっちがどっちやら・・・


疑問の2.光の速度
 別に何光年も離れる必要は無いので、仮に10万光秒程離れた所から観測したとします。
ちなみに1日は8万6400秒。

昨日の戦場を見ながら一体どんな戦術立てろと?(笑)


結局の所、冒険風ライダーさんの言われるような戦法は
「戦場と観測者の間に殆ど時間差が無い」
という前提無しでは無理があります。
そして観測の目的が平時のイゼルローンの監視であれば(戦争中はまた話が別)例え1・2日遅れの情報であってもそれほど支障はありません。

ちなみにヴェスターラントへの高速先行艇の派遣についてですが、
目的が情報収集なのですから、より詳しい情報を得ようとするなら直接現場に行くに決まっています。
現代の戦場カメラマンだって命の危険を冒してでも自分で戦場まで行くのですから。
第一、衛星軌道まで近付かなければ地表の様子が判らないと言うのなら、
「この時代の観測能力は現代のスパイ衛星よりもよりも低い」
という奇怪な結論に達してしまいます。


あと、このツリーの始めの方から気になっていたんですが、
移動要塞への改造について。

要塞を動かすほどの巨大なエンジンをどこで造るのか?
という問題があります。

ガイエスブルグ要塞の改造の時には、原作3巻によると8万9千人の工兵が取り付け作業に当たったとありますが、これはあくまで取り付け作業を行っていたのであって、推進エンジンとワープエンジンを直接要塞の上で組み立てた訳ではありません。

という事はエンジンの開発は別の場所で行い、ガイエスブルグ要塞まで運んできて、そこで取り付けたと思われますが、
イゼルローン要塞の場合は推進エンジンとワープエンジン合わせて24基の巨大エンジンを全て「要塞内」の、しかも「整備工場」で開発しなければなりません。

そもそも、これだけの物を造ろうとすれば当然大量の資材が必要になりますが、それをどこから調達するのでしょうか?そして資材を加工するための工場は?

いくらなんでも、これらを全て要塞内でまかなえる位なら大型戦艦の建造も出来るでしょう。
おまけにヤン達は殆ど孤立無縁の状態ですから外から買うことも出来ません。

そうなると技術の格差がどうとか言う問題ではなく、単に環境的に無理だったと言うだけの問題になります。

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board4 - No.1814

Re1808/1809/1812:反銀英伝・移動要塞を駆使したヤン逆転のシナリオ

投稿者:冒険風ライダー
2002年04月29日(月) 13時35分

>平松さん
 毎度の事ながら、私が平松さんの質問や疑問に回答するたびに、平松さんの側からより細分化された新たな疑問がほとんど永久機関のごとく飛び出してくるという、常に無限の回答を強いられる私としては非常にウンザリせざるをえないいつものパターンに陥っていますので、ここらで少し視点を変えて、私が考える「移動要塞を駆使したヤン逆転のシナリオ」でも話してみましょうか。反論もその過程でやっていきますので。

 まず銀英伝7巻のイゼルローン要塞再奪取後、ヤンが最初に取るべき戦略は、イゼルローンを移動要塞に改造するための大規模工事実施と、エル・ファシル住民のイゼルローン要塞強制移住です。前者は今まで述べてきたように、イゼルローン回廊全域に多数の哨戒部隊を配置して完全立入禁止宙域とし、外部からの干渉を完全に排除できるようにします。そして後者は「来るべき帝国軍の来襲に備え、全国民を安全なイゼルローン要塞内に退避させる」という理由を公式見解として外部に説明します。
 これは別に不自然な理由ではありません。もともとあの当時のヤンの戦力では、銀英伝7巻P174でヒルダがラインハルトに進言しているように「イゼルローン要塞のみを防御するのにも不足しがちな状態」なのですから、この処置は本来ならば移動要塞の有無にかかわらず行われていなければならないものです。そしてこの大量移住措置自体が、帝国側が元々抱いているであろう「ヤンはイゼルローン要塞に戦力を集中し、籠城作戦を展開するつもりだろう」という憶測をさらに強める効果をも産み落とし、真の目的を隠匿するための手段として利用することができるという側面も併せ持っています。ただひたすら「ヤンと戦争がしたい」という妄念に取り憑かれていた当時のラインハルトなどは、ヤンの真の意図に全く気づくことなく「ヤン・ウェンリーも戦いを欲するか」などという見当ハズレな独語をのたまってくれることでしょう。

 そして要塞の建造を急がせる一方で、水面下の謀略活動も積極的に行います。表向きにはロムスキーらエル・ファシル独立政府首脳部をひたすら前面に押し立てて帝国側と時間稼ぎの交渉を行わせつつ、裏では地球教・フェザーン勢力と連絡を取り合い、秘密同盟を締結するのです。
 地球教に関しては、ユリアン達が採取してきた例の光ディスクの存在を「脅迫の材料」として使用すると同時に、自分達と手を組むことによって得られる利益についても力説し、半ば強制的に自分達に従わせます。例の光ディスクには、地球教とフェザーンの蜜月の歴史だけでなく、地球教の重要な資金源であるサイオキシン麻薬の生産拠点や密売ルート、およびその他諸々のダミー企業やそれらを指導する各地域の教団支部等に関する記載がさぞかしたくさん詰め込まれていることでしょうから、これが公開されてしまえば地球教は資金面から完全に破滅してしまうだけでなく、詳細な情報を把握した帝国側から容易に捕捉殲滅されることになってしまいます。地球教側が内心どう思おうが、それを使ったヤン側の脅迫には屈するしかありません。これだと「脅迫」の効果を高めるためにも、むしろ一度は地球教本部で働いていたユリアン達を「脅迫者」として使ったほうが良いくらいですね。光ディスクというのは当然コピーも可能でしょうから、大量に作成して主要幹部に配布してしまえば、地球教側はテロに訴えて奪還するといった手段も使うことができなくなるでしょう。
 そして地球教を介してルビンスキーら旧フェザーン勢力、およびトリューニヒトとも秘密裏に同盟関係を結び、ヤン陣営の政治的・経済的立場を飛躍的に強化します。特にトリューニヒトは帝国政府内にも強いコネクションを持っていますから、帝国政府内に和平派を組織させることも可能でしょう。カール・ブラッケ民政尚書やマリーンドルフ親子などのような慎重派も存在するのですし。即効性はないでしょうが、こういったことが後々ヤンにとって有利なことに繋がるのです。
 あと、できれば同盟国内に自分達の手足として働くレジスタンスをいくつか結成させ、水面下で反帝国活動を行わせます。これはボリス・コーネフ辺りに担当させるのが適任でしょうか。

 そして移動要塞が完成し、全ての準備が整った時、いよいよ行動開始です。と言っても、いきなり同盟領内に進出してヤンの提唱する「共和革命戦略」とやらを行うわけではありません。まずは反対方向、すなわち帝国本土方面への侵攻を行うのです。
 当時の旧同盟領と帝国本土に配置されている戦力を検証してみると、実は圧倒的に旧同盟領に置かれている戦力の方が多いんですよね。当時はイゼルローン回廊帝国本土側出口にメックリンガー率いる1個艦隊、フェザーンにワーレン率いる1個艦隊しかそれぞれ配置されておらず、残りの諸艦隊はラインハルト親征の下、全て旧同盟領側に集結していました。ならばまずは移動要塞を使って、守りの薄い帝国本土側のメックリンガー艦隊を奇襲するのが筋というものです。移動要塞の存在が外部から完全に秘匿できれば、戦力的にも劣っているメックリンガー艦隊は最悪の形で機先を制され、いともあっさりと全滅を余儀なくされてしまうことでしょう。
 その後イゼルローン移動要塞は、そのままヴァルハラ星系・惑星オーディンへの侵攻を開始します。目的は帝国要人の確保、特にラインハルトの実姉であるアンネローゼ・フォン・グリューネワルト大公妃殿下を捕縛することです。そして、その戦略をこれみよがしに全銀河に向けて見せびらかすように行動するのです。
 当然ラインハルトを含めた帝国首脳部は驚愕し、特にラインハルトは激怒しながら、時間稼ぎのために外交交渉に赴いていたロムスキーらエル・ファシル独立政府首脳部を激しく詰問した挙句、怒りに任せて彼らを一方的に処刑してしまうことでしょう。完全に虚を突かれ、回廊内に閉じこもる敵を余裕たっぷりにゆっくりと料理するどころか、一転して帝国本土を敵に蹂躙されてしまう事態に陥り、しかも姉が人質に取られるかもしれない危機にまで直面する羽目になったラインハルトにしてみれば、ロムスキーらは自分達を陥れた最大の主犯格な上、彼ら以外に自分の怒りをぶつける相手がいないわけなのですから、周囲がいくら反対しようが、感情の赴くままにロムスキーを処刑する道を選ぶことでしょう。
 また、この移動要塞を駆使したヤンの行動が一般将兵達に与える動揺も、決して小さなものではありえないでしょう。絶対的な安全圏だと信じていたはずの、しかも自分達の家族も居住している帝国本土が、一転して敵の侵攻にさらされることになってしまうのですから。動揺するなと言う方が無理な話でしょう。そして彼らもまた、このような事態を招いた最大の元凶(と彼らの目に映る)ロムスキーらを処刑するようにラインハルトに進言することでしょう。かくして、ヤンを妨害する内なる邪魔者は全て一掃され、ヤンは名実共にイゼルローン陣営における最高指導者とのし上がることができます。そしてラインハルトは自己および将兵の感情のおもむくままに、ヤンが指揮するイゼルローン移動要塞の追撃を命じることになります。
 ここで地球教およびルビンスキーら旧フェザーン勢力の出番となります。このタイミングで彼らに、帝国政府に対するテロ行為を頻発させたり、銀英伝10巻に見られたような全銀河規模の経済攪乱や航路図消去といった手段を使わせたりすれば、帝国軍はイゼルローン移動要塞にかまってばかりもいられなくなり、深刻なジレンマに陥ってしまうことになります。特にこの条件では旧同盟領内に大規模な暴動が各地で発生する可能性も高いため、帝国軍は戦力の分散を余儀なくされることでしょう。ヤン側としては、各個撃破による勝利の可能性すらも出てくるわけです。
 一方、メックリンガー艦隊が殲滅され、まとまった戦力が存在しなくなった帝国本土では、余程の奇跡でも起こらない限り、微弱な抵抗を排しながら惑星オーディンへと到達したヤンによって、アンネローゼをはじめ、惑星オーディン内に存在する帝国要人がことごとく捕縛されてしまうという事態に陥ります。ここにきてヤンは、ラインハルトの最大の弱点をその手中に収めるに至るのです。
 そして、ある程度自軍の優勢を確保できる段階に至ったところで、地球教を煽ってラインハルト暗殺に走らせます。煽り文句としては、銀英伝10巻でオーベルシュタインが使った「地球教のテロに苦しんでいるラインハルトが、地球教の信仰対象である地球そのものを破壊しようと企んでいる」というのが最も効果的でしょう。このラインハルト暗殺テロは成功しても失敗してもかまいません。成功すれば帝国は四分五裂の状態に陥る上、意気揚々と戻ってきた地球教をこちら側の手で一網打尽にしてしまえば「ラインハルトの仇を自分達が討った」という宣伝にも使用できますし、失敗しても地球教だけが一方的に帝国側に殲滅されるだけです。ヤン側が損をすることなどありえないでしょう。
 後は「イゼルローン移動要塞の無限の自給自足能力」および「ラインハルトの弱点であるアンネローゼ」という「2つの切り札」を巧みに使いながら全銀河をひたすら長躯しつつ、各地に分散配置された帝国軍を各個撃破し、帝国を政治的にも経済的にも軍事的にも徹底的にボロボロの状態にした上で、帝国に対して自分達に有利な和平を申し出、和平か破滅かの二者択一を帝国側に強要するだけです。

 どうです、移動要塞を駆使した私の戦略構想は? まあ実際にはここまで上手く行くかどうかは分かりませんし、賭けの要素が全くないわけでもありませんけど、すくなくとも銀英伝本編における「住民を残したままエル・ファシルを無防備状態にした上で、イゼルローン回廊で終結の当てがない防衛戦を、しかもイゼルローン要塞の主砲と外壁に頼ることなく延々と展開し(回廊の戦いでイゼルローン要塞は一度たりとも戦闘に参加しておりません)、最終的にラインハルトの私的感情にすがる形で和を請う」などという、勝算皆無かつあまりに絶望的なヤンの構想よりははるかにマシなシロモノでしょう。しかも上記における私が立てた戦略構想は、全てあの当時のヤンが知りえた情報を基にして立案したものですから、これを当時のヤンが行おうと思えば決して実現不可能なシナリオではなかったのです。
 にもかかわらず、実際に銀英伝本編でヤンが採用した戦略はあんな愚劣なシロモノでしかなく、しかもそれでさえ数々の信じられないほどの僥倖に恵まれたにもかかわらず、最終的にヤンは地球教に暗殺されてしまったのですから、本当に救いようもないほどにバカな話としか言いようがないではありませんか。



>Zeroさん
<エンジン基数が12倍だからといってエネルギー消費量が12倍とは
限らないと思います。同じエンジンでもパワーの入れ具合によって
燃費が変わります。恐らく、要塞移動時にはエンジンに常に高負荷を
強いると思われますし、燃費も半端なモノではないと思います。
この際、エンジン基数はエンジンへの負荷を分散する意味合いしか
無いと思います。どうせ、同じエネルギータンクからエネルギーを
貰ってるでしょうし。数は多いほどいいが、連動させる命題と天秤に
掛けて必要最少数を設定したといった所ではないでしょうか?>

<更に、要塞のエネルギー備蓄量や、使用エネルギーの再蓄積時間
が明確でないので何とも言えないところですけどね。
例えば、僕が考えるレベルでエネルギーが必要でも、既に要塞移動用
のエネルギー消費量の百倍以上の備蓄量があるとか、消費量の再蓄積
が一日で可能とかだと一気に問題解消ですが・・・>


 銀英伝世界の艦船、特に軍艦が宇宙を航行する際に、燃費の問題がそれほど深刻な問題となりえるのでしょうか?
 銀英伝の記述の中には、艦船の航続距離に関する記述が全くと言って良いほど存在しない上、同盟の帝国領侵攻作戦時やラインハルトの「神々の黄昏」作戦時でさえ、食糧や弾薬に関する問題はあっても、遠征の際にもっとも重要となるはずの艦船の航続距離と燃費関連の問題については全く議論された形跡が存在しないのですが。第2次世界大戦時の真珠湾攻撃の際には、艦隊がハワイまで行くために要する燃料と航続距離の問題がかなり深刻に議論されていたみたいなのですけどね。
 これから考えると、銀英伝世界における艦船の航続距離は物凄く長大な距離を誇っているのではないでしょうか? すくなくとも、1回の燃料補給でオーディン-ハイネセン間を優に一往復以上するくらいは簡単にできるだけの航続距離は存在してそうです。これならば、要塞に設置するワープエンジン&通常航行用エンジンもそれなりに長大な航続距離を保つことはできるでしょうし、2万隻の艦艇を全て養う機能を持つイゼルローン要塞の自給自足能力があれば、移動要塞推進のために必要な燃料の供給も、要塞にそれほど深刻な付加を与えるものとはならないでしょう。
 したがって、移動要塞に使われるエンジンの燃費の問題はあまり深刻なものにはならないと私は考えますが、いかがでしょうか。

 あと余談ですが、

<すみません。僕の中で、オーディン、ガイエスブルグ、イゼルローンの
位置関係が把握できてないので何とも言えません。
只、ガイエスブルグはヤンの留守を狙っているので強行している
でしょうし、燃費は凄かろうなぁとは思います。>


 銀英伝諸惑星の位置関係に関しては、アニメ版やゲーム版の銀英伝や「エンサイクロペディア銀河英雄伝説」などに簡単な銀河系略図が載っているので、それを参考にすれば簡単に理解できるのではないでしょうか。ちなみにオーディン-ガイエスブルク間は通常20日行程の距離です。
 それと、銀英伝3巻の要塞対要塞の戦いが行われていた当時、ケンプとミュラーはヤンがイゼルローン要塞に不在であったことを知りませんでした。ミュラーは捕虜の尋問からその情報を握り、一度ヤンを捕縛しようと罠を構築したことがあったのですが、ケンプから「そんなものはヤンの奇策に決まっているだろう。卿の戦力は予備兵力として極めて重要なのだから、無駄なことをせずにさっさと麾下戦力を所定の配置に戻せ」と命令され、せっかく仕掛けた罠を自ら解除してしまっています。
 したがって、「ガイエスブルグはヤンの留守を狙っているので強行している」というのはありえない話です。



>陵雲さん
<実際、これだけ未来の話なら「光年単位の観測技術」は無い方が不自然だと思います。>
<ちなみにヴェスターラントへの高速先行艇の派遣についてですが、
目的が情報収集なのですから、より詳しい情報を得ようとするなら直接現場に行くに決まっています。
現代の戦場カメラマンだって命の危険を冒してでも自分で戦場まで行くのですから。
第一、衛星軌道まで近付かなければ地表の様子が判らないと言うのなら、
「この時代の観測能力は現代のスパイ衛星よりもよりも低い」
という奇怪な結論に達してしまいます。>


 残念ですが、陵雲さんが仰っている「奇怪な結論」なるシロモノはきちんと銀英伝の作品設定中に存在しています。前の投稿でも引用ページを付記しておいたのですけど、これがその証拠ですよ↓

銀英伝2巻 P174上段~P175上段
<ヴェスターラントの惨劇は、超光速通信の映像によって帝国全土に流された。それは各地に怒りと動揺を生んだ。民衆は加速度的に、大貴族による旧体制から離れていった。貴族たちも、ブラウンシュヴァイク公に未来なし、との見かたを強めていった。
辺境星区を完全に平定したキルヒアイスは、ラインハルトと合流すべく、ガイエスブルクに向かって艦隊を進めていた。彼もその映像を見て、大貴族に対する怒りをあらたにしたが、ある日、ワーレンの艦隊が一隻のシャトルをとらえた。それにはひとりの兵士が乗っていたが、ブラウンシュヴァイク公の部下であったその兵士は、ヴェスターラントの核攻撃に参加させられたものの、途中で逃亡したという。それはよいが、発言の中に聞き捨てならぬものがあり、キルヒアイスは耳をうたがって問い返した。
「何度でも言いますよ。惑星ヴェスターラントで貴族連合軍が二〇〇万人の住民を虐殺するという情報は、ローエングラム候の耳にとどいていた。候はそれを無視し、住民を見殺しにしたのです。政治的な宣伝のためにね」
「それは情報をお信じにならなかったからだろう。候が故意にヴェスターラントの住民を見殺しにしたという証拠でもあるのか」
「証拠?」
 兵士は冷笑して言う――あのような映像の存在自体が証拠ではないか。偶然に撮影したとでもいうのか。あれは成層圏あたりの近距離から地上を映したものだ。>


 そして銀英伝世界には、光年単位の観測技術どころか、たかだか500~1000光秒先の敵艦隊の詳細を観測する能力すら満足に存在しないことも、これまたバーミリオン会戦をはじめとする銀英伝中の描写の中に存在しているのです。いくら新規に作成したSF理論だの索敵概念だのを作品擁護のために導入したところで、作中における世界設定や作品描写の存在と整合性が取れなければ、たとえ理論的・実際的にどれほど正しかろうが、それは作品批判論としてはともかく、作品擁護論としては全く成立しえないシロモノでしかないでしょう。
 作品擁護の観点から言えば、理論的・実際的に正しい完全なる理論よりも、作品中の矛盾に満ちた設定の方をこそ、何よりも最優先に尊重しなければなりません。だから作品擁護論というものは非常に難しいものなのです。


<移動要塞への改造について。
要塞を動かすほどの巨大なエンジンをどこで造るのか?
という問題があります。
ガイエスブルグ要塞の改造の時には、原作3巻によると8万9千人の工兵が取り付け作業に当たったとありますが、これはあくまで取り付け作業を行っていたのであって、推進エンジンとワープエンジンを直接要塞の上で組み立てた訳ではありません。
という事はエンジンの開発は別の場所で行い、ガイエスブルグ要塞まで運んできて、そこで取り付けたと思われますが、
イゼルローン要塞の場合は推進エンジンとワープエンジン合わせて24基の巨大エンジンを全て「要塞内」の、しかも「整備工場」で開発しなければなりません。
そもそも、これだけの物を造ろうとすれば当然大量の資材が必要になりますが、それをどこから調達するのでしょうか?そして資材を加工するための工場は?
いくらなんでも、これらを全て要塞内でまかなえる位なら大型戦艦の建造も出来るでしょう。
おまけにヤン達は殆ど孤立無縁の状態ですから外から買うことも出来ません。>


 「エンジンの開発」って、私はこのスレッドで「あの移動要塞に設置されているワープエンジン&通常航行用エンジンは別に特注品であるわけではない」と何度も主張していたはずなのですが。
 「移動要塞技術」におけるシャフトの説明がそれを立証しています↓

銀英伝3巻 P45上段
<――イゼルローンに対抗しうる要塞を帝国内に求めるなら、それは昨年の内戦に貴族連合軍の本拠地となった「禿鷹の城(ガイエスブルク)」要塞である。放置されたままのそれを修復し、跳躍(ワープ)と通常航行用のエンジンをとりつけ、一万光年を航行してイゼルローンに要塞同士の決戦を強いるのだ。現在のワープ・エンジンの出力では、巨大な要塞を航行させることができないので、一ダースのエンジンを輪状にとりつけ、それを同時作動させることになる。技術上の問題はなく、あとは指揮官の統率力と作戦実施能力の如何による……。>

 このシャフトが述べていた「現在のワープ・エンジン」なるシロモノが、当時最大の出力を誇っていたであろう「巨大戦艦」のワープエンジンである事は自明の理と言うものでしょう。当時の銀英伝世界にそれ以上の大出力を誇るエンジンは存在しないでしょうし。通常航行用エンジンも同様でしょう。
 ということは、麾下艦隊の中にある巨大戦艦を12隻ばかり解体してワープエンジンと通常航行用エンジンを取り出し、それを移動要塞向けに整備してしまえば、簡単に移動要塞改造のために必要なエンジンを調達することができるでしょう。また、かつては最前線でもあったイゼルローン回廊同盟領出口に散在している旧同盟軍基地や、あるいはエル・ファシルそのものに巨大戦艦用エンジンの在庫があれば、それを新たに整備して使用するという手もあります。
 また資材に関しても、元々エル・ファシルやイゼルローン要塞に貯蔵されているものを使うことができるでしょうし、エル・ファシルからイゼルローン回廊にかけての星系には、そこらに転がっている小惑星や隕石に資材に活用できそうな天然資源などたくさん存在するでしょう。そして資源さえあれば、それを加工する技術もイゼルローン要塞に頼ることができるのではないでしょうか。イゼルローン要塞内の工場には武器弾薬を自給自足する能力まで存在するようですし、整備や加工に必要な道具もことごとく揃っていることでしょうから。
 これもそれほど大きな問題とはなりえないと思いますが。

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board4 - No.1815

Re:銀英伝世界における超長距離観測の可能性について

投稿者:優馬
2002年04月29日(月) 14時26分

優馬です。

「超光速通信」では画像や音声が送れる
      ↓
(イメージ的に)電磁波に近いもので「超光速通信」が行われている?
      ↓
だとすると「超光速通信」で使われている「何か」を使うことで
「超長距離観測」ができそうな気がする・・・

というのが私の疑問でした。
まぁこれについては「超光速通信」の「原理」について原作に何も言及がないので、これ以上発展しないですね。
「通信はできるが観測はできない」というフシギな性質の「何か」をうまく説明できる設定も思いつかないので、「銀英伝の世界はそうなっている」とするしかないですね。私の乏しい科学知識の中では、電磁波であれニュートリノであれ、通信に使えるのなら観測にも使えるはずだ、という思い込みがありましたもので。

横レス、失礼いたしました。

board4 - No.1816

元帥達のマント

投稿者:ドミニオン
2002年04月29日(月) 16時59分

ふと思ったんだが、ラインハルト崩御後に元帥になったあの六人は何色のマントを纏うのだろうか?
三長官はそれぞれ、赤、青、灰色と妙に納得できる色であった。
何となくビッテンフェルトあたりは黒かと思うのだが・・・

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board4 - No.1817

アニメは見てないのですが

投稿者:佐々木公彦
2002年04月29日(月) 17時51分

> ふと思ったんだが、ラインハルト崩御後に元帥になったあの六人は何色のマントを纏うのだろうか?
> 三長官はそれぞれ、赤、青、灰色と妙に納得できる色であった。
> 何となくビッテンフェルトあたりは黒かと思うのだが・・・

役職によって決められるのではないでしょうか、ビッテンフェルトは特別に黒を許される。
イメージすると軍服と一体化しすぎるかな?

親記事No.1798スレッドの返信投稿
board4 - No.1818

理解しております。

投稿者:佐々木公彦
2002年04月29日(月) 17時52分

気持ちが解っていただけるだけで十分です。
失礼しました。

親記事No.1726スレッドの返信投稿
board4 - No.1819

Re:終わりレス

投稿者:平松重之
2002年04月30日(火) 04時07分

 冒険風ライダーさん

<毎度の事ながら、私が平松さんの質問や疑問に回答するたびに、平松さんの側からより細分化された新たな疑問がほとんど永久機関のごとく飛び出してくるという、常に無限の回答を強いられる私としては非常にウンザリせざるをえないいつものパターンに陥っていますので、>

 うーむ、冒険風ライダーさんの提唱なさった移動要塞戦略は軍事面のみならず、当時の情勢や政治・経済・技術・人的資源など、様々な角度から検証しないとその実現の可能性や有用性について論じるのは難しいので、ある程度の疑問の細分化はやむを得ない所なんですよね。まあ、だからと言ってこのまま永久に続ける訳にも確かにいきませんし、「移動要塞戦略の実現には解決すべき命題が山積している」という事がある程度示せただけでも充分に意義があったと思いますので、こちらからの問題提起はここまでにさせて頂きます。
 冒険風ライダーさんの示されたシナリオは、実際にこれほどうまくいくとは確かに思えませんが、(例えば慎重で冷静なメックリンガーが率いる艦隊がそう簡単に殲滅出来るとは思えないとか、オーディンに憲兵総監・帝都防衛司令官であるケスラーがいる以上、アンネローゼなどの要人を脱出させる為に様々な手を打つだろう、など)中々興味深いですね。
 それとまた細かい事ですが、フェザーンにはワーレン艦隊だけでなく新しくフェザーン方面軍司令官となったルッツの艦隊もいますので、あの当時にフェザーンに存在する艦隊戦力は正確には二個艦隊です。

親記事No.1726スレッドの返信投稿
board4 - No.1820

Re:燃費関連

投稿者:Zero
2002年04月30日(火) 13時10分

マル・アデッタ星域会戦の際、「エネルギーが尽きた」という
表現があります。

会戦自体は確か1日で集結しました。
つまり、無補給であれば艦船に搭載されるエネルギーは高々
それだけの内に使い切れるといえるでしょう。
勿論、この際、エネルギーは移動用の他に攻撃用にも使われ
ると思いますが、だからといって何ヶ月もの航行に耐えうる
エネルギー変換効率のよいエンジンを作れる技術があるのに、
攻撃用に使用すれば一日でなくなるというのはあまりにも
アンバランスだと思います。

普通に考えて、エネルギー補給は必要で、通常艦隊には補給艦
が随行し、その運用が確立しているから問題がある場合以外に
特に記述はしないし、作品中にその「問題がある自体」が発生
しなかっただけと考えた方が自然ではないですか?
戦艦の移動エネルギーは、食料・弾薬などと違って作品表面に
出しづらいから、あえて表面にださなかっただけでしょう。

「記述がない」理由は、以下のパターンがあると思います。
 「燃費問題に対して、技術的解決がなされている場合」
 「運用方法がある場合(随時補給出来る体制が完備されている)」
車やバイクが出てくるのに、燃料の補給シーンがない小説や
マンガはいくらでもあります。それは、必ずしも燃費問題が
解消した世界の話ではないと思います。
両者を比較して前者を取ったというのであれば、それは考え方
の違いとして解釈しますが、記述がないからといって無条件に
燃費について問題視しないといわれるのはちょっと乱暴では?


それに、僕が気にしているのは「軍艦が宇宙を航行する際の燃費」
ではなく軍艦に比して何万倍という質量を有しているであろう
「移動要塞の燃費」です。
また、再三書いていることですが、「エネルギーの再蓄積」の
問題です。使ったものは貯め直さないといけません。
仮に冒険風ライダーさんの意見を加味して、移動だけなら何ヶ月
も無補給でOK、攻撃時に使用すれば一日でも無くなりうると仮定
すれば、攻撃時のエネルギー消費率は通常航行の50倍程は掛かる
事になります。それだけをとっても、エネルギーの消費量はバカ
になりません。
要塞を移動させるだけならともかく、攻撃するエネルギーが必要
になるとすれば、どれだけのエネルギーが必要になるのでしょうか?
艦船と要塞の質量比を考えてもその燃費比率は半端では無いでしょう。
更に言うなら、僕は上記くらいのレベルで済むと考えていません。
それを短時間に再蓄積できるモノでしょうか?
この問題抜きにして「要塞移動」はあり得ないと思います。
(この辺りが冒険風ライダーさんと僕の意見の差の開きが激しい
部分の最たる所でしょう)

シェーンコップが「開いた口がふさがらない」とまで言ったのは
何故だと思いますか?この言い様は皮肉的なニュアンスたっぷり
ですよね?
エネルギー問題が現代と同じ程度の認識があるからこそ、ばかげ
たエネルギー大量消費の産物である要塞移動をそう表したのでは
と思うのですが。


と、まぁここまで書きましたが、やはり根本部分での開きがあり
すぎて平行線を辿ってあまり進展を見られないようなので僕もこ
の辺りで撤退する事にします。

只、これも「移動要塞戦略の実現の為に解決すべき命題」の一つ
ということで。


あ、後
>「ガイエスブルグはヤンの留守を狙っているので強行している」
>というのはありえない話です。

これは、同盟外交官とフェザーンのケッセルリンクが話していたの
を何か勘違いしてました。
フェザーンは知っていたが、帝国は知らなかったんですね。

親記事No.1816スレッドの返信投稿
board4 - No.1821

Re:アニメは見てないのですが

投稿者:ドミニオン
2002年04月30日(火) 14時25分

> 役職によって決められるのではないでしょうか、ビッテンフェルトは特別に黒を許される。
> イメージすると軍服と一体化しすぎるかな?

ゴールデンバウム王朝時は黒を表にして、裏にそれぞれの色をつけていました。うろ覚えですが、統帥本部総長は裏地が紫だったと思います。
各元帥のイメージカラー、て何でしょうね。

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board4 - No.1822

Re:Re1808/1809/1812:反銀英伝・移動要塞を駆使したヤン逆転のシナリオ

投稿者:はねだみずき
2002年05月01日(水) 02時45分

わりこみ失礼します。ちょっと思うところがあるので書いてみました。

移動要塞の弱点

移動要塞は確かに戦術的には無敵レベルの兵器でしょうが、所詮「点」(一星系)を制圧できる能力しかありません。「無限の補給能力」もその恩恵を受ける艦隊兵力があってこそ生きる要素でしょうが、ヤン側にはその艦隊兵力が欠けています。
そして、艦隊が無ければ幾つもの「点」とそれを繋ぐ「線」(補給線)を維持し、面(領土)を制圧する事ができません。
と言う事は、イゼルローン要塞がいるうちはその星系を完全支配下におけるでしょうが、要塞がいなくなれば帝国軍はすぐにその星系を奪還できる訳です。一時期一つの星系を確保しうるくらいの能力しかない兵器で、帝国軍が有する圧倒的優位を覆せると考えるのは楽観的過ぎではないでしょうか?
それに、イゼルローン要塞が無敵を誇ったのはイゼルローン回廊と言う特異な地形が極めて防御側有利だった事と、「破壊より占領」が重視された政略的要求からではなかったですか?回廊外に出れば地形的優位を自ら捨てる事になる上、この時点ではイゼルローンを破壊したくないと言う制約は無くなっているはずですから、どこかの星系に現れたところを大軍で包囲し、四方八方から小惑星爆弾でも投げつければイゼルローンを粉砕する事は容易だと考えますが。


移動要塞との戦い方

逆説的な話ですが…戦わなければよろしい。要塞が来たらすぐに逃げるのです。戦略的要地が取られれば痛手かもしれませんが、致命傷を負うほどの事はないでしょう。要塞さえいなくなればすぐに取り返せるんだし。
そうやって相手の攻撃をすかしながら、せっせと小惑星爆弾や無人特攻艦などの「攻城兵器」を整えて、十分な準備が出来次第、要塞の現在地に攻撃を仕掛けるのです。


アンネローゼ人質作戦

アンネローゼが人質にされて致命傷を負うのは「ラインハルト」であって「帝国」ではないと思います。仮にアンネローゼが人質にされた場合、ラインハルトには3つの選択肢があります。

(1):アンネローゼを見捨てる
(2):アンネローゼを救出するために特殊作戦を実施する
(3):アンネローゼを助けるためにヤンに従う

(1)や(2)の成功はその時点でヤンが最大の切り札を失う事を意味し、彼の破滅に繋がります。
(3)の場合、ラインハルトは失脚を免れないでしょう。「銀河統一の大義」を姉と引き換えにするような坊やについていく人間はキルヒアイスくらいのものでしょうし。
ただ、その後に登場する指導者(双璧のどちらか?)は人質を取るような「テロリスト」であるヤンに対して徹底的な強硬策でのぞむでしょうから、移動要塞以外に頼るべき物の無いヤンの最終的な敗北(しかも原作より悲惨な)は免れないかと思います。


移動要塞の一番良い使い方

本当に移動要塞が無限に維持していけるものなら、一番良いのはどこか帝国の手の及ばないよその銀河系に向かって新たな「長征○万光年」に出る事だと思います。
ヤンの目的は「共和政治の芽を残す」事なんですから、負けて共和政治を絶滅させる可能性のある帝国への抗戦よりはむしろこっちの方が確実ではないかと。

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