- 親記事No.1726スレッドの返信投稿
- board4 - No.1789
Re:久々の超巨大スレッドですね
- 投稿者:平松重之
- 2002年04月24日(水) 17時30分
冒険風ライダーさん
<これを見れば、艦艇の整備事情だけでなく、2割強も存在する新兵の存在と、急激に膨張した軍組織の混雑振りが、戦力編成の著しい妨げとなっていたことが判明するではありませんか。特に「新兵の練度を高める」というのは、艦艇の整備などよりもはるかに時間がかかるものです。言うまでもないことですが、そのような事情を無視して艦艇の整備のみをひたすら最優先して行っても意味がありません。
むしろ、戦力の充実を図るというのであれば、全技術力を全て移動要塞改造に投入し、工事の完成と要塞の宇宙航行の安全が確認された時点でイゼルローン回廊を離脱して、敵を無制限の持久戦に引きずりこんだ方がはるかに懸命な選択だったことでしょう。新兵の訓練も艦艇の整備もその過程でゆっくりと行うことができますしね。>
例え艦に搭乗する兵士がいなくとも、無人艦隊があればかなり戦術の幅が広がると思うのですけどね。例えば10巻でユリアンは全艦艇の一割を無人にして予備兵力に見せかけ(P154~155)、自爆させて黒色槍騎兵を混乱させる(P171)という策を使っています。
それに8巻(P60)で回廊内に進入してきたメックリンガー艦隊をヤンは戦わずして後退させる為に全兵力を挙げて迎え撃っていますが、この時も無人艦隊を後方において兵力を水増しすれば成功率も高まったはずです。
このように無人艦隊があれば戦術の幅の拡大や敵への欺瞞工作や威圧の材料として使えるという利点があるのですから、艦艇の整備・修理を優先して行なうのには大いに意味があったと思います。にも関わらず、現実には戦場に現れたヤン艦隊は20000隻程度だったという事実は、どう考えても奇妙で、やはりイゼルローンにいて艦の修理・整備にあたった技術者や工兵の絶対数及び熟練度が著しく劣悪な状況にあったと考えざるを得ないのではないでしょうか。こういった人的資源という面から考えても、やはり要塞改造は困難だったのではないでしょうか。
<あくまでもイゼルローン要塞改造に時間がかかると言うのであれば、ヤンは自分達の陣営を有利にするためにも、外交や謀略を巧みに駆使した徹底的な時間稼ぎ戦法に打って出るべきだったのではないのですか? あの当時帝国内でイゼルローン遠征をひたすら訴えていたのはラインハルトひとりだけで、しかも穏健派の大半は回廊封鎖を基本とした持久作戦ばかり訴えていたわけですから、ヤンが本気でやろうと思えば簡単に行えたはずでしょう。地球教などとも手を組んで帝国の後方を効果的に揺さぶってしまえばさらに貴重な時間を大いに稼ぐ事すらも可能だったはずです。>
そうなった場合、当然ラインハルトもヤンの時間稼ぎに気付くでしょうし、やすやすとその手には乗らないでしょう。また、そういった謀略や外交を行なうにはロムスキーを筆頭とする革命政府のお歴々を通さねばなりませんが、果たして彼らがヤンの献策をそのまま受け入れるでしょうか?個人的には革命政府の外交能力など「ヘンスロー以上、オーデッツ以下」が関の山だと思いますし、かといって軍人であるヤンがあれこれ指図すれば外交・渉外の権利の侵害だと反発し、かえってヤンへの不信感を増幅しかねません。謀略にしても同様でしょう。外交や謀略を実行するにしても革命政府自体が色々な意味で足かせになるのではないかと。
それに地球教やルビンスキーと一時的にせよ手を結ぶのは危険なのではないでしょうか。特に地球教はキュンメル事件でラインハルトを暗殺しようとした前科がありますし、万一関係が発覚すれば帝国との外交の選択肢が狭まってしまうのでは?そもそも彼らと接触する為の手段はどうやって確保するのでしょう?
<仮にラインハルト個人が信用できたとしても、帝国全体としてはそれほど信用できるものでもないですよ。帝国内にはオーベルシュタインもいるのですし、また「反逆者の家族」というだけで周囲の社会から排斥されてしまう可能性だって存在します。これでは外部の家族が危険であることに変わりはありません。
まあ、将兵達の家族は「エル・ファシル政権に自分達の家族の一員(父親とか息子とか)が参加した」と聞いただけで、家族に会いたい一心からも自分達の身の安全のためにも、自分達の方から積極的にイゼルローン回廊へとやって来ざるをえないことでしょうから、将兵の家族に関してはあまり問題は生じないようには思いますけど。>
旧同盟領ではヤンの声望は圧倒的なものだったのですから、その元で戦う将兵達の家族が社会から排斥される可能性は低いのではないでしょうか。小説にもそんな記述は探した限りではありませんでしたし。
また、将兵の家族が各星系からイゼルローンに大量に流入するのを看過するほど、ラインハルトはお人よしではないでしょう。各惑星の宇宙港において管理・統制を行なわせたりするなどの対抗策ぐらいは取ると思いますが。
<それに、民間人の大量移民なんてそんなに難しいことでも何でもないでしょう。すでに銀英伝5巻におけるイゼルローン要塞放棄に伴う500万人もの脱出劇という前例が存在するのですし、第一、仮に帝国側が大量移民を察知したところで、すぐさま帝国軍が妨害しにやってこられるわけでもありません。帝国軍が現場に駆けつけてきたときには、すでに大量移民作業が終了してしまった後でしかないしょう。エル・ファシルの人口は、過去にヤンが引き連れていた民間人の総数から推察して約300万人弱でしょうから、脱出も楽なものですよ。
これもヤンの軍事行動の際の障害となる可能性はありません。>
工事の終了が遅すぎればそれ以前に帝国軍がイゼルローン回廊に到達してしまい、エル・ファシルへの移動は不可能になってしまいまうという事もありえますし、またエル・ファシルからの住民の移動中を見計らって攻撃を受ける可能性もあります。結局はこの問題も移動要塞がいつ完成するかで決まるという事でしょう。
<それで、件の銀英伝10間の話ですけど、元々あの当時のイゼルローン陣営があえて出撃した目的は「帝国軍と一戦して勝利する」ことにあったのですから、自軍に有利なイゼルローン回廊内に敵を引きずりこんで戦うために、あえて「不穏な様子」やら「出撃」やらを敵に見せびらかしていた可能性の方が高いでしょう。
それに「不穏な様子」と言っても、基本的には出撃の兆候となるような現象は全て「不穏な様子」とみなされるわけですから、たとえばイゼルローン周辺宙域の哨戒活動が活発になってきたとか、大規模な艦隊演習が繰り返されるようになってきたとかいった内容でも、帝国側にとっては充分に「不穏な様子」とみなすことができるわけです。そしてそれに警戒心を抱いた帝国側が哨戒活動を活発に行いだしたところで、これみよがしに「出撃」を見せつけ、帝国側の出動を促したというわけです。
こんなところで大体の説明はできるのではないでしょうか。>
うーむ、この辺りの反論はもう自分ではきついですね。
まあ、悪あがきをさせてもらえれば、イゼルローン回廊には索敵システムの死角になる宙域というものが存在するらしく、10巻のP56ではメルカッツの別働隊がそこに潜んでワーレン艦隊の側面を奇襲する事に成功しています。別働隊の艦艇数は具体的に記載されていませんが、ヴァーゲンザイル艦隊と対峙したユリアンの本隊が6600隻であった事(P52)と、シヴァ星域でのイゼルローン軍の総兵力が9800隻(P152)であった事から考えて、およそ3000隻前後であったと推測出来ます。それだけの艦隊が隠れる事が出来るだけの宙域が存在するのですから、小回りの利く強行偵察艇が哨戒艦隊の目を盗んでそれらの点在する大小の宙域に隠れつつ移動し、近づいてある程度の距離から要塞の動向を探っていた、というのはどうでしょうか?
- 親記事No.1726スレッドの返信投稿
- board4 - No.1792
Re:銀英伝考察3-1 ~銀英伝の戦争概念を覆す「要塞」の脅威~
- 投稿者:はねだみずき
- 2002年04月25日(木) 13時50分
偶にしか書きこまない不精者ですが、非常に面白い考察であると思いますので、私の意見を書いてみたいと思います。ご笑覧ください。
1:要塞は本当に無補給の拠点足りうるか
私は「要塞は無限の自給自足能力を持つ」と言う前提自体に大きな疑問を抱いています。はたしてそんな便利なものが実在しうるかどうか?
結論から言うと私は不可能だと思います。まず、要塞の動力源である核融合炉。核融合炉だってエンジンの一種である以上は燃料を必要とします。「核融合は無限のエネルギー」と言われているのは、要するに燃料である水素が地球の海水中に無尽蔵と言えるほど豊富に含まれており、全人類の使うエネルギーを全て核融合でまかなっても数百億年分は持つ、と言われているからです。
従って、要塞の核融合炉が必要とする水素、ないしヘリウムはやはり外部からの補給に頼らざるを得ないのではないでしょうか?
要塞を機動化すると、この問題は加速度的に大きくなります。直径数十キロ、質量数十兆トンもの巨大な構造物を移動させるのに必要なエネルギーはどれほどのものになるのでしょうか?私はそれが外部からの補給無しに賄える程度で収まるとは到底考えられません。ガイエスブルグのように「とりあえず一回イゼルローン回廊まで運べれば良い」と言うならともかく、恒久的にそれを移動拠点として運用できると考えるのは無理があり過ぎではないでしょうか。
さらに、ワープではなく通常航行用のエンジンを考えなくてはなりません。銀英伝世界の通常航行用エンジンは、おそらく融合炉の熱で推進剤を反応させ、そのガスを噴射して反動で航行するタイプであると推測されます。
要塞に通常空間航行用エンジンを取り付けると言う事は、必然的にその内部に膨大な推進剤タンクを搭載する事に繋がります。この推進剤も補給の対象であり、しかもその労力は艦隊への補給とは比較にならない手間を要するものとなるでしょう。何しろ一個艦隊をまるごと収納して移動できる要塞です。艦隊全部の何倍の推進剤を消費するのか、考えるだに恐ろしいものがあります。
問題はエネルギーだけではありません。「同時に400隻を修理できるドック」「1時間に7500発のレーザー水爆ミサイルを生産できる」工廠施設。それ自体は素晴らしい能力なのですが、艦艇の修理、ミサイルの生産には資材が必要です。この資材もイゼルローン内部で自給できるものなのでしょうか?
資材の問題は、要塞の補修・整備にもつきまといます。どんなに頑丈でも、要塞の施設が経年劣化で使い物にならなくなる部分は当然出てくるでしょうから。食料や衣服、水に関しても、相当程度リサイクル可能にしても、そのパーセンテージを100に上げる事は不可能でしょう。これらの損失分はやはり外部から補給する必要があります。
以上の点を考えると、無限の補給能力を持つ要塞と言うのは実現不能だと思います。
では、なぜユリアンとキャゼルヌは50年の孤立を話題にしたか。これって、一種の冗談話なのではないでしょうか?普通直径60キロしかない要塞に閉じ込められて孤立無援になったら、どんなに自給自足可能でも、50年も経つ前に内部の社会は自滅すると思います。ありえない話だからこそ逆に誰もツッコミを入れなかったのでしょう。
2:機動要塞の技術的問題
次に、要塞を機動化する場合の技術的問題点です。ガイエスブルグは12基のエンジンを搭載して機動要塞へ改装されましたが、このエンジンはどういった代物なのか考えてみましょう。
質量40兆トンの要塞を移動させるエンジンなのですから、単純に計算して1基あたり3.3兆トンの質量を動かす出力が必要です。
しかし、考えてみて下さい。その辺にある一般的なエンジンは戦艦用が最大のものでしょうが、戦艦の質量はどう考えても3.3兆トンもありません。銀英伝世界の戦艦は1000メートル級。質量がどの程度かは不明ですが、100万トン単位ではかられると思います。
100万対3.3兆。絶望的なまでの数字の差です。300万倍以上違います。ここまでくると、「単純な技術の量的拡大」で済む話ではありません。相当の技術的ブレイクスルーを必要とする話です。
もっとも、これは「要塞に戦艦と同等の機動力を持たせる」事が前提の話です。「とりあえず通常航行をさせられる」程度ならそれほどの出力は不要でしょう。それでも、エンジン1基辺り並みの戦艦用エンジン数千~数万基分の出力はいるはずです(これでも甘い見積もりかも…)。まだまだそう簡単に作れる代物とは思えないですね。
もうちょっと現実的に考えてみましょう。それは、高出力エンジンを多数束ねて大出力エンジンにすることです。
まず、技術の限界として普通の戦艦用エンジンの5~10倍程度の出力を持ったものが出来ると仮定します。これを数百基ひとまとめにして要塞用エンジンとします。同じ物を12基作り、要塞に設置すれば、出力的には要塞を何とか動かせる程度の航行能力が付与できるかもしれません。
しかし…まともに航行しようと思ったら、実質的に何千基もの大出力エンジンを同一のタイミングで制御すると言う大変高度なソフトウェア技術が必要になります。もちろん、ハードウェアとしても安全係数を取っても故障は10パーセント以下に抑えねばならないでしょう。
正直言って、こんな代物を2ヶ月以内で実用化しろと言われたら私は逃げます(笑)。機動要塞と言うのは既存技術の集大成と言うより、シャフトの何かと紙一重(爆)の天才と、それを実現する事を許可したラインハルトの巨大な度量(連爆)によって具現化されたものではないのかと思いたくなります。どっちも持っていない同盟が機動要塞建造を真似るとは思えません。
また、要塞用に新型エンジンを実用化し、かつそれを一個艦隊分調達する予算的措置がどうなっているのかについては考えたくもありません。
従って、そもそも要塞の機動化と言う技術とその実現性そのものにも疑問符がついてしまうと私は考えます。
3:機動要塞の軍事的価値
まぁ、できないできないと言うだけなのも悲しいので、数々の困難を乗り越えて機動要塞が完成したとしましょう。では、これは軍事的に見て価値のあるものなのでしょうか?
銀英伝世界の場合、要塞の価値は、一つには軍港機能―艦隊の保守・整備・補給の拠点としての物があります。しかし、機動要塞化によってエンジンとその推進剤タンクと言う巨大なスペースを必要とするものが後から組み込まれた場合、それらの機能が圧迫される事は明白です。肝心の軍港機能が低下していては駐留艦隊の戦闘継続能力の低下をもたらし、拠点と共に移動しているにもかかわらず長期戦が出来ないと言う笑えない自体に陥ります。別の要塞を、最初からイゼルローン級の能力を持ち、なおかつ機動性を持たせることを念頭において完全新造すれば話は別でしょうが…
では、もう一つの価値――強大な火力と装甲を活かす事を考えてみましょう。イゼルローンとガイエスブルグが要塞主砲で撃ち合ったように、機動要塞を要塞攻略用の自走砲と考える訳です。
しかし、これについても機動要塞の不利が明らかになります。何故かというと、それは要塞を防衛する上で要塞を自転させると言う事が重要な要素になると考えられるからです。
要塞を自転させるのは、恒星の周りを公転しているため、恒星に面している部分に熱がたまらないようにする事などが考えられますが、最大の利点はダメージコントロール上の問題です。
つまり、相手の攻撃で損害を受けた個所を、要塞を自転させる事で敵の攻撃に対する死角に入れ、その間に修理を行う訳です。普通の艦砲射撃でもレーダーや対空砲台などの比較的脆弱な施設は損傷してしまうはずですから。ましてや要塞主砲の一撃を食らったら一ブロック丸ごと壊滅してしまうのは作中にある通りです。
しかし、一面に航行用エンジンと言う致命的弱点を抱える機動要塞は、常にエンジンとは反対の面を敵に向けなければなりません。つまり、一個所に攻撃を受け続ける危険を冒さねばならない訳です。
では、冒険風ライダーさんがおっしゃるようにエンジンを収納式にしたら…これも弱点の解決にはなりません。この場合、要塞にはエンジンの収納スペースと言う航行時にはデッドスペースでしかないものを抱える事になり、また巨大なエンジンを格納するための機構と言う複雑な可動部分を持つ事になります。どんなに防御しても、その収容部分は穴が開いているわけですから構造上の弱点になりうる上、要塞の重要な機能である軍港機能が更に圧迫されるのは確実です。
また、収納式だろうと露出式だろうと、エンジン搭載部には砲台を設置できないでしょうから、火力密度がそこだけ低下する事になります。要塞のクセに火力に死角があるなどと言うのは笑い事では済まされません。しかも、そこは要塞の防御力が最も低い場所なのです。
4:まとめ
いろいろと考えてきましたが、機動要塞に対する私の結論は
1、そもそも要塞が完全自給自足できるとは思えない。
2、機動要塞の建造にはとてつもない手間と資金と技術が必要である。
3、機動要塞を建設してもその価値は低いと言わざるを得ない。
の3点です。
そもそも、軍事的な経験則としては兵器は単機能なほど使い勝手が良いとされます。要塞は「要地防衛」「補給拠点」に機能を限定しているからこそ、無視し得ない脅威となりうるのです。そこに直接侵攻機能と言う全く反対の機能を付与したところで、通常要塞に攻防能力で劣り、艦隊に機動性で劣る欠陥兵器にしか成り得ず、ちまたに溢れる「戦艦空母の出てくる駄作架空戦記」を笑えない愚行となるのがオチでしょう。
おまけ
「ヤンはイゼルローンを機動要塞化すべきだった」と言う主張には全く同意できません。
何しろガイエスブルグが「史上初の機動要塞」として投入され、同行する艦隊戦力の9割を巻き添えに撃破された後です。ここから導き出される戦訓が「機動要塞の有用性」となるでしょうか?普通なら「通常要塞の機動要塞に対する優位」が戦訓となるはずです。
軍事と言うのは保守的な分野で、なかなか新技術が採用される事はありません。例えば戦艦に対する航空機の優位は太平洋戦争における真珠湾攻撃、マレー沖海戦までなかなか信じられませんでした。
イギリス海軍がイタリアのタラントを空爆して戦艦3隻を無力化した戦訓があったにもかかわらず、です。
ましてや出兵戦力の9割を失う歴史的大敗を喫した戦いで、負けた側の主力であった機動要塞が有効な戦力と認められる可能性など無いと思います。
なんか否定的意見ばっかりですが、私の主張は以上です。
- 親記事No.1726スレッドの返信投稿
- board4 - No.1793
Re1785/1787/1789:長文まとめレス
- 投稿者:冒険風ライダー
- 2002年04月25日(木) 15時12分
>Zeroさん
<そして、「要塞を移動させる為のエネルギー消費量と、それを再蓄積できる時間」
大出力であればある程、そのエネルギー消費量が増大しますが、要塞に収容している艦艇(2万位)がほぼ永久に行動できるエネルギーは蓄積出来ても、要塞自体が移動するエネルギーを常に補充しきれるのかという事です。
また、移動速度やワープ距離の問題もあります。
果たして、戦闘するにしても逃走するにしても満足する数値が得られるのか疑問です。
ただ、これは実数が示されていない訳で、「出来る」「出来ない」は主観によるかもしれません。>
「要塞自体が移動するエネルギー」と言っても、要塞が移動する際に使用するエネルギーというのは、要塞に設置するそれぞれ12基のワープエンジン&通常航行エンジン、合計24基分の量でしかありえないでしょう。しかもそのエンジン自体、別に特注品でエネルギーを通常より大量に消費すると言うわけでもありませんので、消費するエネルギーなど取るに足りない程度の量でしかないのではないかと。
移動速度・ワープ距離に関しては、手がかりになる資料がひとつありまして、ガイエスブルク移動要塞を使ったイゼルローン攻略作戦が決定したのが3月17日で、移動要塞がイゼルローン側に探知されたのが4月10日です。この期間が24日で、しかもイゼルローン-オーディン間は1ヶ月近くは確実にかかるので、どちらかと言えばやや速い方なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
>Merkatzさん
>技術問題
<「既存の技術の応用である」ということと、「技術の集積体としての完成物(製品)」ということは、イコールではないのですから。
例えば、ソニー製ラジオがコンデンサや可変抵抗などの既存のトランジスタ技術の応用だからといって、
同じ部品を調達したからソニー製とまったく同じラジオが作れるということにはなりません。
個々の技術があるということと、それらを束ねて一つのシステム(製品)として完成させるということは、違う次元の話なのです。>
<逃走する車のタイヤを、警官が銃で打ち抜き首尾よく止める・・・映画などでよくあるワンシーンですが、
ではこの警官は車の原理を完全の掌握できていると言えるのでしょうか?
警官はエンジンの仕組みからサスペンションの動作原理にシャーシ構造に・・・そういうものに通暁していたからタイヤを打ち抜くという戦術に繋がったのでしょうか?
答えは否です。
動いている物体の足を壊せば止まる。こんなことは原理を知らなくても、少しの観察力で誰でも思いつくことです。
ヤンが採った戦術もしかり。
それはタイヤを銃で打ち抜くという話でしかなく、移動要塞の秘密を完全に掌握している証明にはなりません。>
シャフトの「移動要塞技術」ってそれほどまでに理解の難易度が高い新技術なのですか? あの「移動要塞技術」の秘密を把握することなど、銀英伝世界におけるワープ航法技術の基礎理論と、ガイエスブルク移動要塞外部に剥き出しに晒されながら設置されている、それぞれ12基のワープエンジン&通常航行用エンジンを一目見れば、誰でも簡単に思い浮かびそうな低難易度の課題であるようにしか見えないのですけどね。
それにヤン自身、一応下のような理論に基づいて要塞特攻を撃破していますし↓
銀英伝3巻 P214上段~下段
<宇宙船のエンジン推進力は、厳密に船体の重心をつらぬいていなければならない。大小を問わず、宇宙船の形状が円または球形を基本とし、左右・上下が対象となっているのは、そのためである。もしこの法則を守らなければ、宇宙船は進む方向を見失い、重臣を中心としてスピン回転をつづけることになる。そのときは動力を停止すればよいわけだが、停止しても惰性で回転はつづくし、その間は全ての管制機能がマヒしてしまうのだ。>
これって「動いている物体の足を壊せば止まる」という程度のレベルで片づけられてしまう理論なのですか? 本来技術系の人間ではないはずのヤンですら知っているこの理論を逆に考えてガイエスブルク移動要塞に当てはめてみれば、移動要塞の秘密など誰でも簡単に掌握することができるでしょう。ましてや、あの当時における宇宙空間のワープ・航行関連技術に従事する技術者たちであればなおさらのことです。誰もが理解できず、真似もしにくい新技術にしては、あまりにも理論が簡単すぎる上にお膳立てがありすぎるのですが。
また、あのガイエスブルク移動要塞の改造工事&運用テストなどを実際に指揮していたのは、本来技術関係に無関係な叩き上げ軍人でしかないはずのケンプとミュラーであって、言いだしっぺのシャフト自身はただ「技術的には不可能ではない、エンジンの同調こそが全てである」とがなりたてていただけで、移動要塞の工事に関しては、直接的にはほとんど何もしていなかったと言っても過言ではなかったのです。エンジンの完全同調に関しても、シャフトは何かケンプ・ミュラーらに対して特別な技術を提言していたわけでもありません。エンジン同調がそれほどまでに難しい運用技術であるのならば、よくこの状況で運用テストを通過したものですね。
その上ガイエスブルク移動要塞は、1月下旬頃のラインハルトの命令から4月10日頃にイゼルローン要塞と対峙するまでに、本来ガイエスブルク要塞が置かれていた宙域→ヴァルハラ星系外縁部→イゼルローン要塞前面へと移動する過程で、すくなくとも20~30回近くは「実際に」ワープを繰り返しているのです(私があの移動要塞建造で矛盾に思ったのがここなんですよね。特に3月17日のヴァルハラ星系外縁部到達時が「初のワープ実験」であるという点)。Merkatzさんはこれを「大きな穴」と呼んでいたわけですが、私に言わせれば、シャフトの突発的な提言から、しかもあれほどまでに短期間の改造工事&運用テストを行っただけで、これだけのワープ回数を一度の事故も起こすことなく無事にこなすことができるという事実こそが、逆に「移動要塞技術」の実現が比較的容易であることを立派に実証しているわけです。またそう考えないと、今度は銀英伝における「移動要塞技術の実現に関する描写」それ自体に対する疑問が出現してしまうではありませんか。
以上のことから私は「移動要塞技術の発想」を「コロンブスの卵」に近いものだと考えています。すなわち「実はとんでもなく簡単な理論で、気づいた瞬間に技術的にも簡単に実現できるものだが、その『気づくまで』がなかなか容易なことではない」というのが「移動要塞技術」の実態であると考えたわけです。そして、この論法であれば帝国側がシャフトの提言からたった2ヶ月弱の工期&運用テストで移動要塞を簡単に実用化できてしまった理由もあっさりと説明できるのですよ。一度完璧に理論が実証されてしまえば「何でこんな簡単なことに気づかなかったのだろう?」と後で述懐してしまう類の問題というわけで。
Merkatzさんは運用面をも含めた移動要塞技術の難易度が高いと述べておきながら、帝国側があれほどまでに簡単に移動要塞技術を実用化してしまった理由を説明できておりません。もしこれが帝国と同盟の技術運用格差の問題であると言うのであれば、帝国と同盟の国力格差は銀英伝本編で現れている数字よりもはるかに巨大なものであったと言わざるをえず、帝国・同盟・フェザーンの勢力均衡が140年近くにもわたって続いていたという設定自体が崩壊してしまいます。銀英伝の設定を擁護するために私に反論しながら、それによってより巨大な矛盾を自らの主張から出現させてしまっては意味がありますまい。
すくなくとも私の考えならば、帝国側があれほどまでの短期間に移動要塞を実用化できた理由が説明できるかと思いますが、その辺りに関してはいかがでしょうか?
>工事秘匿の問題
<私が言うところは観測ができれば充分なんですね。
つまり、イゼルローン要塞表面に何らかの異常が見られるかどうかが入手すべき情報であって、
索敵すなわちレーダー等を使って未確認の相手を探知することではないんです。
それはそうでしょう。
イゼルローン要塞は既に両軍にとって周知のものであり、「未確認の相手」ではないんですから。
銀英伝世界の天体望遠鏡がどのくらいの性能を持っているかは分かりませんが、
ハッブル宇宙望遠鏡のようなものを回廊出入口に設置しておけば、
観測できるでしょう。
仮に光学的に捉えることができなくても、電波望遠鏡ならば大規模工事に伴う電波の変化を捉えますから、必要な情報は充分得られます。
さらに先行偵察衛星まであるのですから、観測は可能です。>
これは無理ですよ。こんな論法で「数百光年単位の遠距離観測が可能」などという結論を出してしまったら、今度は「その遠距離観測を駆使した戦術が銀英伝で何故使用されないのか?」と言う疑問が出てきてしまいますし、ストーリーにも結果的に重大な悪影響を与えてしまいます。
いくつか例を挙げますと、たとえばZeroさんが挙げられていた「ヴェスターラントの虐殺」関連の映像ですが、あれは惑星ヴェスターラントの成層圏辺りから地上を映したものであると、キルヒアイスに尋問されたブラウンシュヴァイク派の兵士が証言しています(銀英伝2巻 P171~P172)。もしあれを何百光年もの遠距離から撮影することができる技術が銀英伝世界に存在するのであれば、ラインハルトやオーベルシュタインもわざわざ危険を犯すことなく遠距離から「観測撮影」していたでしょうし、この兵士の証言が元で発生したラインハルトとキルヒアイスの確執も、それが起こる前に消えてなくなってしまっていたかもしれません。つまり銀英伝世界では、惑星表面の映像というのはそれほどまでに接近しないと収録できないシロモノであるわけです。
また、遠距離観測技術のようなシロモノが出現すると、後方が前線よりもはるかに戦場の情報を入手することが可能となってしまい、銀英伝の戦闘スタイルが激変してしまう可能性も高いでしょう。数百光年先の小惑星を精緻に観測できるのであれば、座標や星系を特定さえしてしまえば、艦隊同士の戦いが行われている戦場全域をはるか遠方から「観測」することすらも、観測装置の倍率とかを調節すれば可能となってしまいます。敵味方の動きがはるか遠方から逐一掌握することができるという、まさに夢のようなシステムが出現するのです。たかだか「イゼルローン要塞を外部から隠蔽するのは不可能」という理論を構築するだけのために、このような設定破綻をわざわざ自分の手で作り出してしまうわけなのですか?
光年単位の観測能力。これは銀英伝世界の戦争概念にとってあまりにも深刻な脅威です。
そもそもあの銀英伝世界で、索敵・哨戒部隊が敵艦隊をどのような姿で発見するのかご存知ですか? 基本的には「艦隊が放つ無数の光点の数」を索敵・哨戒部隊が「目で発見」し「コンピュータがその数を特定する」ことによって敵の存在を認識するのです。「目」というのは当然のことながら偵察艦などに搭載されている「観測装置」のことで、ならば「索敵」の元となる「観測装置」の性能こそが、銀英伝世界における「索敵」と「観測技術」の双方を司っているといっても過言ではないでしょう。そしてその「観測技術」を駆使した「索敵圏内」がたったの500~1000光秒弱しか存在しなかったからこそ、私は「光年単位の遠距離観測こそが不可能」と述べていたのですし、またその論こそが銀英伝世界の戦争概念やストーリーの流れとも一致するものなのです。
私が一連の議論で「索敵」にこだわったのも、「索敵」自体が問題だったわけではなく、「索敵」で使用する「観測装置」の「視界」を基にして「イゼルローン要塞を遠距離撮影するのは不可能」という理論を構築したかったからです。それで「索敵」についてあれこれ述べていたのですが、今にして思えばZeroさんが挙げられていた「ヴェスターラントの虐殺」の映像関連の記述を最初から引用していれば、このような無用な混乱を招かずに済んだわけで、この辺りは私も「失敗だったかな」と思っています。
まあとりあえずこれで「観測技術」に関しても決着はついたでしょう。いくらMerkatzさんが現実世界の理論に基づいた銀英伝世界の索敵・観測事情を構築しようと、それは銀英伝世界の戦争概念とは明らかに相反したシロモノとなってしまいます。それは作品擁護どころか、むしろ全く反対の方向性しか持つことはありえないでしょう。
それとこちらも蛇足ながら、下の引用に関する議論に関しては、私の方からMerkatzさん側の発言の撤回を求めます。
<それは牽強付会に過ぎますね。
いくらシャフトが俗物だといっても、要塞の索敵圏内や主砲射程圏内で悠々工事ができると思うほど馬鹿ではないでしょう。
だいいち、前面がどの程度「前」なのか、特に言及が無い以上、通常の常識で考えられる範囲でしょう。>
<違います。
その台詞はケンプ以下に移動要塞の趣旨を説明する際に出たものですから、勝手に「移動要塞の要素を抜きにして」、前面に繋げてはいけません。>
Merkatzさんが引用したあの文章の左横と下段をもう少しよく読み返して見て下さい。ページの前後を見ればすぐに分かると思ったのに、ここまで引用しないと満足できないのですか?
銀英伝3巻 P40下段~P41下段
<「……つまり、イゼルローン要塞の前面に、それに対抗するための拠点となるわが軍の要塞を構築するというのか」
「さようです、閣下」
重々しく、科学技術総監はうなずいた。あきらかに賞賛を期待していたが、彼が若い帝国宰相の秀麗な顔に見出したものは、にがにがしい失望の色であった。わずか15分でも、時間を浪費したと言いたげなラインハルトである。
「構想としては悪くないが、成功するにはひとつ条件が必要だな」
「それは?」
「わが軍がそれを構築する間、同盟軍の奴らがだまってそれを見物し、けっして妨害しない、という条件だ」
科学技術総監は沈黙でラインハルトに報いた。返答に窮しているように見える。
「いや、総監、そいつは魅力的なアイデアではあるが、実際的とは言いがたいな。改良すべきを改良した上で、いずれあらためて提案してもらうとしよう」
ラインハルトはしなやかな動作で立ちあがりかけた。これ以上、この尊大で不快な男に対面していると、神経がたかぶって、罵声のひとつも浴びせてやりたくなりそうだった。
「お待ちください。その条件は不要です。なぜなら私の思案は……」
科学技術総監は演技力たっぷりに声を高くした。
「すでに構築された要塞を、イゼルローン回廊まで移動させるというものです」
ラインハルトの視線は、自信を練り固めたようなシャフトの顔を正面から射とおした。蒼氷色の瞳に、興味の影がゆらめいた。彼は浮かした腰をふたたびソファーに落ちつけた。
「くわしく聞こうか」
科学技術総監の血色のよすぎる顔に勝利の色が一段と艶をつけた。ラインハルトにはそれが気に入らなくもあったが、興味が上まわったのである。>
後半の文章をよく見てください。一連の説明の中で、シャフトは移動要塞技術のことを「最後に」述べていますよね? つまり、それまでのラインハルトは、シャフトから移動要塞関連のことを何も知らされることもないままに、シャフトの「要塞をもって要塞に当たらせる」という構想を聞いていたわけです。
そして、移動要塞技術を使うことなく「要塞に要塞を当たらせる」というのであれば、必然的に要塞の主砲射程圏内に要塞を建造するという結論に到達せざるをえないはずでしょう。そうでないと、こちらの要塞主砲が敵の要塞に届かず、「要塞に要塞を当たらせる」という構想自体が破綻してしまうのですから。だからラインハルトはシャフトの言を「要塞の索敵圏内ないしは主砲射程圏内で要塞の建造を行うのか」と「解釈」し、あのようなシャフトを半ば馬鹿にしたような言動を吐いていたわけです。私がMerkatzさんの言う「勝手に『移動要塞の要素を抜きにして』、前面に繋げて」いたのは、この文章の流れを汲んだものだったのですけどね。
いくら何でもあの反論は引用した文章全体の流れを読まなさすぎです。ラインハルトがシャフトの言動から「移動要塞技術」を完璧に読み取れるほどの読心術を心得ていたなどといった類の珍説を披露するのでなければ、この文章関連の反論は撤回していただきたく思います。
>平松さん
<例え艦に搭乗する兵士がいなくとも、無人艦隊があればかなり戦術の幅が広がると思うのですけどね。例えば10巻でユリアンは全艦艇の一割を無人にして予備兵力に見せかけ(P154~155)、自爆させて黒色槍騎兵を混乱させる(P171)という策を使っています。
それに8巻(P60)で回廊内に進入してきたメックリンガー艦隊をヤンは戦わずして後退させる為に全兵力を挙げて迎え撃っていますが、この時も無人艦隊を後方において兵力を水増しすれば成功率も高まったはずです。
このように無人艦隊があれば戦術の幅の拡大や敵への欺瞞工作や威圧の材料として使えるという利点があるのですから、艦艇の整備・修理を優先して行なうのには大いに意味があったと思います。にも関わらず、現実には戦場に現れたヤン艦隊は20000隻程度だったという事実は、どう考えても奇妙で、やはりイゼルローンにいて艦の修理・整備にあたった技術者や工兵の絶対数及び熟練度が著しく劣悪な状況にあったと考えざるを得ないのではないでしょうか。こういった人的資源という面から考えても、やはり要塞改造は困難だったのではないでしょうか。>
これはむしろ温存する方が懸命です。というのは、なまじ無人艦を戦闘に活用して敵に破壊されてしまっても、ヤンは艦艇の調達が満足にできない環境にあるからです。現在手元にある最大戦力で、ヤンの戦力は打ち止めだったわけです。
なまじ戦力の少ないヤンとしては、補充の利かない貴重な艦艇は大切に扱わなければなりません。それを考えれば、むしろ新兵の訓練が終了して前線に出られるようになった頃に艦艇を使用できるようにした方が、戦力の堅実な向上という観点から言えばベストなのです。
ユリアン達の場合は、艦艇数以上に人員の方が圧倒的に不足していた状態にあったので、「やむをえず」無人艦を使用していたというのが実情でしょう。しかしヤンの場合は待機している予備役新兵が全体の2割強ほど存在していたわけですから、それらの戦力化を待った方が懸命なわけです。
これで説明は可能かと思いますが。
<そうなった場合、当然ラインハルトもヤンの時間稼ぎに気付くでしょうし、やすやすとその手には乗らないでしょう。また、そういった謀略や外交を行なうにはロムスキーを筆頭とする革命政府のお歴々を通さねばなりませんが、果たして彼らがヤンの献策をそのまま受け入れるでしょうか?個人的には革命政府の外交能力など「ヘンスロー以上、オーデッツ以下」が関の山だと思いますし、かといって軍人であるヤンがあれこれ指図すれば外交・渉外の権利の侵害だと反発し、かえってヤンへの不信感を増幅しかねません。謀略にしても同様でしょう。外交や謀略を実行するにしても革命政府自体が色々な意味で足かせになるのではないかと。>
そのような場合は、とっととロムスキーらエル・ファシル独立政府のお歴々をまとめて始末する方法を考えるべきですね。外交面でひたすらロムスキーらを前面に押したて、ラインハルトらに嘲笑されながらの外交交渉を展開させ、機が熟したところでロムスキーらを無視して帝国に攻撃を仕掛け、「死間」としてロムスキーらを帝国側に殺させ、「民主主義の殉教者」に仕立て上げてしまうとか。私の感覚では、あの連中はヤン・ファミリーの足を引っ張る単なる邪魔者でしかないですし。
<それに地球教やルビンスキーと一時的にせよ手を結ぶのは危険なのではないでしょうか。特に地球教はキュンメル事件でラインハルトを暗殺しようとした前科がありますし、万一関係が発覚すれば帝国との外交の選択肢が狭まってしまうのでは?そもそも彼らと接触する為の手段はどうやって確保するのでしょう?>
同盟というのは何も「対等な関係」で結ばなければならないものではありません。一方的に服従させ、狂信的な性格を利用してテロに走らせ、全ての責任を押しつけ、帝国との取引材料として犠牲にしてしまうのも立派な「同盟関係」です。もっとも、一方的に利用される地球教側としてはいい面の皮でしょうが。
それから地球教やフェザーン関係の面々と接触する方法としては、銀英伝8巻で「地球教によるヤン暗殺」という情報を携えてきたボリス・コーネフがそれ関連の情報を握ってそうですし、銀英伝本編では考えられないことでしょうが、フェザーンに在住しているトリューニヒトに頼るという方法も考えられます。彼なら地球教やフェザーン残党との太いパイプを持っていることでしょうし。
地球教やフェザーンの残党なども、ヤンと手を組むことによって一定の利益を得ることはできますから、それほど不可能な選択肢でもなかったのではないかと。まああの「重度の潔癖症」に汚染されていたヤン・ファミリーの面々がそれを行うのはまず不可能な話だったことでしょうがね。
<旧同盟領ではヤンの声望は圧倒的なものだったのですから、その元で戦う将兵達の家族が社会から排斥される可能性は低いのではないでしょうか。小説にもそんな記述は探した限りではありませんでしたし。
また、将兵の家族が各星系からイゼルローンに大量に流入するのを看過するほど、ラインハルトはお人よしではないでしょう。各惑星の宇宙港において管理・統制を行なわせたりするなどの対抗策ぐらいは取ると思いますが。>
いえ、むしろヤンの声望が圧倒的だからこそ、却って将兵の家族を「売る」ことで帝国に媚びへつらおうとする輩がいないとは限らないですし(もちろんラインハルトはそんな行為を激しく嫌悪することでしょうが、そんな輩がいなくなることはありえません)、また、ラインハルトに代表される帝国の「寛大な」体制がいつまで続くかも分かりません。だからやはり将兵の家族が外部にいては危険であることに変わりはないわけです。
また、将兵の家族の移動に関しては、例によってそれ専門の密航業者が手引きしている可能性も高いですよ。需要はたくさんあることでしょうしね。
<工事の終了が遅すぎればそれ以前に帝国軍がイゼルローン回廊に到達してしまい、エル・ファシルへの移動は不可能になってしまいまうという事もありえますし、またエル・ファシルからの住民の移動中を見計らって攻撃を受ける可能性もあります。結局はこの問題も移動要塞がいつ完成するかで決まるという事でしょう。>
いえ、私の構想では、むしろイゼルローン占領が完了した時点で、移動要塞の有無にかかわらず、とっととエル・ファシル全住民をイゼルローン要塞へと移転させてしまうというものなのですが。
それに関する住民の感情など知ったことではないですよ。それぐらいしないと、帝国側が無防備宣言したエル・ファシルを襲撃してヤンを誘き出すというシナリオも考えられますし、そうなればラインハルトとの戦争に勝つことも、有利な講和条約を締結することも夢のまた夢でしかありませんので。帝国の脅威とエル・ファシル襲撃の可能性を示唆して戦時体制に移行してしまえば、エル・ファシルの住民も納得せざるをえないはずです。
「ラインハルトはそんなことを許しはしないだろう」というのは単なる希望的観測でしかありません。「勝つためならどんなことでもする」それが戦争なのですから、個人の性格などに依存した希望的観測などはとっとと捨ててしまうべきなのです。
- 親記事No.1756スレッドの返信投稿
- board4 - No.1794
Re:バーラト自治区の政治
- 投稿者:イッチー
- 2002年04月25日(木) 16時39分
佐々木公彦さま、レスありがとうございます。
> あと、宇宙艦隊司令に反乱討伐の命令を出す権限は絶対ないです。
> あくまで、実働部隊のトップです。
> あんな命令、ビュコックとヤンが恣意的に利用したら、何でも出来てしまいます。
確かにその通りです。クーデター討伐の際、ヤンはビュコックの許可を得ているから、これは私戦ではないと言っていましたが、このような考え方はヤンがこだわっている「シビリアンコントロール」に反すると私も思います。密かに許可をもらうなら、国家元首(でおそらく軍の最高指揮官)である最高評議会議長か国防委員長から許可をもらっていなければなりません。しかし、そんなことをしなくても・・・
>
> クーデターなんて、みんなが知っていたら出来ない。
> まして、帝国が苦し紛れに謀略を仕掛けているとマスコミにでも言ったら、救国軍事会議とは関係の無い反乱さえ封じ込めることが出来たはずです。
ヤンは英雄としてクーデター前からマスコミの注目を集めていましたし、ヤンの本を出そうという出版社も現われていました。自分に近づくマスコミ関係者をうまく利用しながら、帝国による謀略の危険性を訴えれば、救国軍事会議もクーデターをしかけることは不可能だったでしょう。
>
> クーデター派との話し合いは想像できませんでした。
> けど、それが出来るくらいなら、シェーンコップの意見に乗った方がましな気がします。
私がクーデターの妥協の可能性を考えたのは、ヤンがクーデターを討伐することで同盟軍の防衛力が低下し、優秀な軍人が戦死したり、裁判にかけられたことを憂えたからです。ヤンがクーデターを討伐した結果、同盟軍はトリューニヒトの腰ぎんちゃくのような軍人たちが中枢を占めました。ビュコックも優秀な軍人がクーデターに参加したために同盟軍から優秀な軍人がいなくなったことを嘆いていました。ヤンもこれくらいのことは予想できたでしょう。シェーンコップの提案も魅力的です(トリューニヒト派は一掃出来る)が、同盟軍の防衛力の低下は免れません。
>
> 帝国兵の略奪等はラインハルトだから大丈夫でOKでしょう。
> むしろ、シビリアンコントロールと言っておきながら、艦艇隠す方が問題です。
いくら、帝国軍の軍規が厳しくても略奪等の行為が皆無ということはあり得ませんし(現にフェザーン進駐の際は何人か処罰されている)、そもそも帝国軍がそのようなことをしないとバーミリオンの時点でヤンは知っていたのでしょうか?
> また、停戦命令も現に戦闘の最中に敵の組織的戦闘能力を残したままの一方的な停戦は、部下の自衛権に関する侵害です。
> 事実、大戦中(後)の日本も停戦命令は8月14日(15じゃないはず)に出ているけど、ソ連軍が侵攻している地域で戦闘が止んだのは20日過ぎ、それも日本軍の戦闘能力喪失という形ですから、もっと長くなっていた可能性もあります。
樺太・千島を防備していた日本軍が終戦後何日間か抵抗したおかげでソ連軍は北海道侵攻をあきらめたという話を聞いたことがあります。
>
> つまり、ヤンの戦闘中止命令はは部下に対する義務の放棄なのです。
> ヤンこそ、道義的に最大の問題提督でしょう。
私もそう思います。なぜ、旧同盟の民主共和主義者がヤンを英雄としてあがめたのか、私にはさっぱりわかりません。同盟国民から非難されてもヤンは文句は言えないでしょう。