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投稿ログ28 (No.619 - No.633)

board1 - No.619

久しぶりにまとめレスなど

投稿者:本ページ管理人
1999年01月25日(月) 17時34分

>田中芳樹氏の作品は、自虐嗜好に訴えかけるよりも、エリート志向をくすぐるようなところがありますね。

 同感。この点、田中氏が忌み嫌うサラリーマン向けのハウトゥー本(「上杉謙信に学ぶ経営の心」という類の本)とそっくりですね。ちなみに、歴史を自分の価値観にあてはめて寸詰まりの解釈をしているところも一緒(って前に小村さんが指摘してたっけか)。


>田麗玉著の「日本はない」は「日本では若い娘もセックスについて節度が無く、野放図に振る舞っている」、「日本は精神的には豊かでいいくらしをしているが、精神的や道徳的な面ではひどく貧しい国だ」とか書いてるらしいですけど。・・ううっ反論できない・・ってこれが自虐なのかな。

 ちょっと田中芳樹から外れてしまいますが、日本はもともと開放的な性風俗をもっている民族なんですよ。歌舞伎はもともと売春and演劇だし(歌舞伎=傾き。昔、ジャンプに連載されていた花の慶次で紹介されていたアレ)浮世絵なんかも、「なんでたかがポルノ絵がこんなに芸術的なんだ!?」というのが、泰西名画の巨匠に与えた衝撃だったのですから。そのような開放的な性風俗が否定されるようになったのは、明治になってキリスト教文明が流入してきてからで、そのあたりの様子は北村透谷などに詳しいですね。
 ま、明治以降の「処女=純潔」的な性風俗が、如何に明治以降の女性を抑圧してきたか(ひょっとして今もか?)と問うことも出来ますし(余談でいえば、女性を縛り付ける封建的遺制と思われている「家」制度だって明治以降の近代のもの)、そもそも人様の文化の歴史も知らず、自分の価値観で切り裂いて喜んでいるあたりが俗物本なのでしょうね。


>自分たちは現世の醜さと愚かさに気づいた精神的に高いステージにある人間だ。自分達の属する社会の醜悪さに気づかない馬鹿な日本人はいずれポアされる、なんて論法になっていったりなんて・・・(苦笑)。

 自分からポアしようとはしないでしょうけど、「さっさと滅んでしまえばいいのに(こう書くと何かエヴァっぽい?)」と言わんばかりの記述は創竜伝の至る所に見られますね。


>創竜伝教信者は自虐というより一種の信仰を持ってるのだと思います。

 宗教的要素としては、教義(善が反権力、悪が権力)に対してまったく無検証に信じていることでしょうね。


>でも、公平を期すために言っておくと、「公共事業に~兆円」、「就職率更に低下」、年金制度の破綻は回避不能」なんて記事を並べて見せられてると、田中芳樹の言うことを全く否定することは出来ないと思いませんか?少なくとも、政治家が無能なのも、国民が政治に無関心なのも、それ故に更に政治が…と言う悪循環は、誰の目にも明らかでしょうし。(無能だなんて何様のつもりだ?と言われそうですが、返す当てのない借金をしてそれを子供に押し付ける親は、有能といえるのでしょうか?少なくとも過半数は無能だった、と言うことの様に思えます)

 確かに、これらの政策が酷いのはそのとおりです。でも、これらは保革問わず批判されていること。なのに、批判しているのは自分や自分が共感する集団ばかりで、他の集団(特に保守勢力)は政府に対して批判をしないどころか、政府の太鼓保ちをして批判を封殺しようとする…という、事実を異様に歪めた記述は批判されて当然だと思います。
 もし、田中芳樹の目に本当に社会がこういう風に映っているのだとしたら、事実が認識できないと言う点で↓の集団と大して変わらないんじゃないでしょうか。

ttp://aum-internet.org/aum1-5/index.html   >笑えます

board1 - No.620

ピエトロ寺院事件、息子を自衛隊に入れた人

投稿者:新Q太郎
1999年01月25日(月) 19時34分

拡大されたザ・ベスト(しかし、ベスト作成の裏にそんな苦労するやりとりがあったとは・・なんかその人、フォーク准将入ってますな(笑))などを読み返してみたのですが、
******創竜伝引用******
イタリア、正確にはバチカン市国でだが、サンピエトロ大聖堂で日本人学生が騒ぎ(中略) 聖職者が注意したところ、「てめえ、うるせえ、バカヤロー、何をしようとおれの勝手だ」
と、あらんかぎりの暴言を吐き(中略)あまりのことに耐えかねたサンピエトロ大聖堂がわでは、一時期、日本人観光客を締め出してしまった。
******************

これを百歩譲って事実とする限り、確かにけしからんし、出入り禁止にすべきである。この(←強調)、日本人学生は!!
さておやしかし、それゆえに日本国籍を所持している人(その中には巡礼に来た敬謙なカソリックもいただろうに)を出入り禁止にするとはバチカンよ。これ如何に?

実は日本で、こんなことが有ったんだね最近。
銭湯に入る客の中で、服を持ち込んで湯船の中でそれを漬けて洗濯する連中が現れたのです。
何度注意しても「入場料を払ったのだから勝手だ」といって聞かないの銭湯はそういう人々が圧倒的に多かった集団である「セリカ国(絹の国・・・仮名)の人お断り」の張り紙を出したのです。全く同じように、パチンコ屋で磁石その他を使って不正をするセリカ国の人々が多いため、同国人の出入りを全面禁止したパチンコ屋なんかもある。

さて。「ある犯罪や、迷惑行為をする人が○○人に多いから、全ての○○人を排除する」という考え方、全く完全に否定しきれるかどうかは微妙な所かもしれないが、私はいかにシンドイ状況になっても、こういうやり方での排除はするべきではない、と思う。18歳未満とかノーネクタイとか巨人ファンとかを排除するのと違って、国籍を一律の基準とするのは正統性を持ったシステムとは言えない、と思うからだ。

であるからバカチン、いやバチカンのやったことがもし田中氏の書いた通りなら、・・・なんたる人種差別民族差別よ、精霊を持たずしてぬくぬく生きる肉塊よ、パリサイ人の末裔にして福音に背けしものよ、インヘルノから来たりてインヘルノに帰りし黒き蛇よ、汝ら神の栄えある軍勢に撃たれ、ゲヘナの業火にて永遠に焼かれよ--などとルターのような言葉が出てくる(笑)。

少なくとも私は、ピエトロ寺院で暴言を吐く日本人がいたとてそれが即、自分や他の日本人に連帯責任を持つものとも思わない。それは途上国でボランティアする日本人がいても、俺が偉くないのと同じように(笑)。

そういう点で田中氏も、実はここでアルスラーンに続いてキリスト教徒の偽善を告発したのではないか?と考えたい。いやあ、ここまで作者の訴えを深く選んだのは小生だけだよきっと(笑)。・・・だってそうじゃなければ「セリカ国人(仮名)お断り」に先生怒れないもんネ。
-------------
追伸。
自自連立の最中の報道で知ったけど、小沢イチローの子供に、自衛隊に入っている人がいるそうな。おお、田中理論に従えば彼「だけ」が日本の政治家の中で軍事を論じる資格がある!
(いや、正確に言えば彼と軍備完全撤廃論者だけね。残りの穏健ハト派も、軍の存続を主張する以上トーゼン入れなきゃ論じられない)。

board1 - No.621

Re:クリエイターの矛盾

投稿者:やぶにらみ
1999年01月26日(火) 00時16分

小村さん、こんにちは。

宮崎駿氏にしても、その師匠(?)の黒澤明氏にしても「思想において反戦、描写において好戦」という作風ですね。映画の花は活劇ですから、私としては少々の矛盾は気にしない、つもりですけど。むしろ、作ってる側の方が、自己批判してしまう。『もののけ姫』とか『乱』とか。でもやはり『風の谷のナウシカ』や『七人の侍』の単純さの方が好みです。
やはり活劇という器には、それほど高尚な世界観ってそぐわないのではないか。

(『ブレンパワード』の富野由悠季氏みたいに、うまく活劇の「お約束」を外して自分の世界に引き込む豪気な人もいますけど)

で、田中芳樹氏のように、二兎を追うと、『創竜伝』になってしまうのでしょう。

board1 - No.622

スケープゴートにできる異民族その他

投稿者:不沈戦艦
1999年01月26日(火) 02時48分

 いちいちあげなくてもお解りですよね。山ほど日本国内にいるじゃないですか。「在日コリアン」が。まあ、そんなことをやったら「差別者」の烙印を押されてそれまで、になってしまいますが。一応私の論は、田中芳樹というよりも、自国の政治や社会を貶められて喜んでいる、読者側の心理に関してです。実際は、在日に対する差別も部落差別(日本人同士ですら)もありますが、それは暗い情熱でしかない、って事はやっている人も解っている筈です。ところが、自国の政府や社会の悪口は嬉々としてやっています(創竜伝に限った話ではない)よね。「差別がいかん」と言うのなら、例えばアメリカ政府に対する悪口でも、韓国政府に対する悪口でも、中国政府に対する悪口でもいいじゃないですか。先ず最初に「日本政府に対する悪口」になってしまう(しかも喜んで)心理は、「日本人の中に巣くう反省病」とでも言うしかありませんと思いますがどうでしょうか。納得できない人は、自分の理性を信じすぎではないですかな?「いや、俺はそんなこと考えたこともない」って。私は明確に意識して「日本政府を糾弾するのが嬉しいと思っている」と言っているのではないです。「無意識」の範疇で、何となくそう思ってしまうのでは、ということですけど。

 たとえ話ですけど、井沢元彦氏(作家)が言っている「言霊」という概念があります。「日本人は、口に出した言葉に現実が影響されると信じている」と言われると、九分九厘の人が「そんな馬鹿な、非科学的だよ」と言いますよね。「アフリカかどっかの未開の民族じゃないんだから。呪術の世界に生きているんじゃないんだぜ」と。でも、このセリフは比較的すーっと出てきますよね。日本人なら経験があるはずです。「ほら、お前がそんなこと言っているから、雨になっちゃったじゃないか」ってのは。皆さん覚えがありませんか?遠足や運動会の前の日に、天の邪鬼な事を言って、当日に雨になってしまった場合に。さて、雨が降るのは「お前がそんなことを言った」為なのでしょうか?それこそ馬鹿な話です。雨は暖かい空気と冷たい空気の境目に前線ができて上昇気流が発生し、雨雲ができることにより降ってくる、って理科の時間に習いましたよね。その科学知識はあるのに、何で平気で「お前がそんなことを言っているから雨が降っちゃった」などという寝言が簡単に出るのでしょうか。どう考えても、「お前がそんなことを言った」と「雨が降った」の間に因果関係があると信じているから、という解釈以外不可能ではありませんか。でも、「お前がそんなことを言ったから雨が降った」と言った人は、「お前がそんなことを言った」と「雨が降った」に因果関係があると確信して言った訳ではありません。何となく、無意識に刷り込まれていて信じているだけなんですよ。これと同じだと思いませんか?「何となく、無意識に『反省病』が刷り込まれて」いるからこそ、説教臭い自国を貶めるような記述が「何となく」嬉しく、正しいと思うようになってしまうのではないでしょうか。

board1 - No.623

面白いHPを見つけました

投稿者:小村損三郎
1999年01月26日(火) 13時46分

下のURLです。

ttp://www2s.biglobe.ne.jp/~xuan-he/

“中国古典文学ト云フ事”というコンテンツに、田中芳樹の中国物の書評と並んで「田中芳樹7つの大罪」(笑)というコーナーがあり、これがメッチャメチャオモシロイです。
皆さん是非ご一読を。

>「上杉謙信に学ぶ経営の心」

でも、徳川家康や武田信玄ならともかく上杉謙信に「経営の心」ってもなあ・・・(^^;)

>「日本人は駄目だな、俺は違うけど」と馬鹿にする対象が何で「日本人(俺以外)」となるんでしょーか?

「自国の歴史の暗部であっても目をそらさず、直視して追及していくことこそ真に勇気と誇りと良識のある、賞賛されるべき姿勢なのだ。」という心理が大きいのでしょう。
要するに文化大革命時、自分の親を当局に訴えた紅衛兵と同じ精神体質なんだと思います。
もちろん、単に「他人の悪口はいけないが、身内はおとしめてもかまわない」という日本人独特の“和の精神”もあるんでしょうけど。

board1 - No.624

>面白いHPを見つけました 本当に面白い!

投稿者:本ページ管理人
1999年01月26日(火) 18時04分

見てきました。
いや、本当に面白いです。コレ。
ジャブから入っていって、だんだんと強烈になっていき、フィニッシュで田中芳樹のダメ作家(=ダメ人間?)ぶりを明らかにするところなんて最高です。
 私のページを「面白い」と思っていただける方なら、無条件でお勧めです。


 余談・今書いていて気づいたのですが、「最低の歌手はただそれだけのことだが、最低の教師は最低の人間だ」というようなことを創竜伝で書いていたけど、そのデンで行けば「最低の作家も最低の人間」ですよねぇ。田中芳樹センセ。

board1 - No.625

No.612続き

投稿者:本ページ管理人
1999年01月26日(火) 19時14分

>「空想的平和主義者」「非武装中立論者」というわけでもないようですから、「軍隊のあり方」には色々と注文が多いものの、「軍備や軍隊の存在そのもの」を否定してるという訳でもないようです。
>アルスラーン戦記にも「いずれパルスにも強力な海軍が必要になる」という一文があります。
>思うに田中氏の否定している戦争というのは、「歴史上のあらゆる全ての闘争」ではなくて、「(彼が思っている)昔の日本がやったような戦争」ということでしょう。
>同様に氏が否定している「軍隊」も「旧日本軍のような軍隊」なんでしょう。
>創竜伝でも始クンに「中国の歴史は圧政と暴政の歴史という一面はありますが、同時にそれに対する崇高な抵抗の歴史でもあります。」などと訳の分らないフォローをさせてますし。

そのとおりですね。だとすると、自衛隊に対する差別感情(日本軍の血統をひいているからという出自に関する差別か?(笑))などがよくわからんのですが、それは、まあ置いておきましょう。


 ちょっと前の検証で使いましたが、田中芳樹の戦争の認否基準を考える上で興味深い例があります。
 ”満州国の『中国人』の総理張景恵が「各都市に無防備都市宣言をさせれば、ソビエト軍が略奪破壊をするときに国際法で処罰できる」と提案したのを関東軍が蹴り、ソビエト軍が一般市民を暴行、略奪する間に自分たちが逃げ、さらに自分たちが通過した鉄橋を爆破したために一般人が犠牲になった。だから、関東軍は人類史上世界最悪の軍隊だ”(拙文-もとは創竜伝2巻)
 というのが、それです。
”ところで関東軍。私も一般イメージとしては無能・無責任・卑怯の軍隊という感じを持っていました(つうか、辻政信がイメージキャラだからさ)。色々ここで背景を知りましたが、ここで田中氏に聞きたいことは「つーことは、やはり彼らには自己犠牲と殉国の精神、強大な軍備、仮想敵国への警戒が必要だったんすね」。何ならついでに「あなたは今、どこにいるの?」とも付け加えようか(笑)。ま、後者は冗談としても、結局軍人はそういう「自己犠牲」が必要っつうことでしょ。やっぱり「個人の自由や権利」なんて言ってらないじゃん(笑)。」”(新Q太郎さん)
 以上から判ることは、
・「軍隊は一般市民を守るためのものだ」と田中芳樹は思っている。
・上記の前提として、非武装・非暴力が良いとは思っていない。
・一般市民(田中芳樹の頭の中では=で民主主義。現実には共同体ということで国家だが…)を守るための軍人の犠牲は尊い。
・逆に一般市民(味方だけでなく敵も含めて)を害する軍隊は絶対悪である。(彼が挙げる中国名将は必ず「占領地での略奪を禁じた」人だし)

 うーん…と言うことはもしかして彼のアタマの中では自衛隊は「市民」を害しているのかも(笑えない)。
”思うに田中氏の否定している戦争というのは、「歴史上のあらゆる全ての闘争」ではなくて、「(彼が思っている)昔の日本がやったような戦争」ということでしょう。
同様に氏が否定している「軍隊」も「旧日本軍のような軍隊」なんでしょう。”(小村損三郎さん)

 ただ、この田中芳樹思想の恐るべき点は、容易に「市民を害するものを打破するのは正義だ」という風に解釈できてしまうことです。こう書くと、何か正論みたいですが、考えてみてください。
 文化大革命で殺された人たちはなんて言われていましたか? 「米帝国主義に与するブルジョアは、労働者(=市民)を害している。よって、労働者(市民)を守るため人民裁判にかけてリンチしても正義だ!」でしょう? まあ、百歩譲ってこれが実際に市民を害している者の打倒ならまだ良いとしましょう(あんまし良くないか)。しかし実際には「コイツの親戚は日本で華僑やっているから帝国主義の手先だ」という類の論理で、一般庶民が「搾取者」のレッテルを押され、人民解放軍(文字通り「市民」の軍隊!)がこれを殺しているわけです。
 つまり、市民の定義自体で、いかようにも殺人が正義化出来てしまう。この思想が奇形化したものが、どっかの「労働者(市民)の領袖」でしょう。


 これはスターリニズムと呼ばれている思想ですね。連合赤軍の内ゲバもポルポトの虐殺も、上の論理で殺されているのです。
 竜堂兄弟が、「権力の手下」(確かに悪いヤツも多いが、家族を養うために公務員やっているような機動隊員・自衛隊員も多い)を嬉々として痛めつけるシーンの不気味さの源泉は、このあたりにあると私は思っているのですが、どうでしょうか?


 というふうに考えると、田中芳樹の文化大革命の好意的評価も合点がいくのですが、当時ならまだしも、未だに彼はこのころの価値観を引きずっているようですね。
”人民解放軍が弾圧の非民主的組織ということになると、頂点から末端まで、判に押したように全員権威主義的なサディストのような描かれ方をする。その一方で、天安門事件でデモを起こしたグループは、一律に「彼らのような人間が中国を支える」というような趣旨の評価になる。
 しかし、現実には大学に通えたり市民運動家になれたりするような青年は、それだけ余裕のある裕福な家の子弟だったりするし、逆に、貧しい家の子弟の方が、身を立てるために人民解放軍に入っているのが、現実でしょう。”(拙文)
 つまり、実際には搾取している側の人間でも「市民運動」を名乗れば正義だし、庶民でも国の側にいれば悪なのでしょう。
 まあ、戦車で人をひき殺すよう(ところで、ホントに「ひき殺した」のですか? 情報求む)な集団は、けしからんの集団だ、というのは、それはそれで立派な一つの意見でしょう。
 ならば、インドネシアの暴動で、学生の市民運動家がヒラ兵士を車で轢いていましたのはどう考えますか? 田中センセ?

  (続く…かも?)

     本当は本文で書くつもりだったんですが、掲示板に書いちゃいました。

board1 - No.626

餓英伝(1)

投稿者:新Q太郎
1999年01月26日(火) 19時15分

>田中作品の主人公や主要人物である軍人や
>武将がやたらとかっこよく、大量殺人兵器
>のイゼルローン要塞もかっこいい

>人殺しの理論である軍理・軍略の掛け合い
>がたまらなく面白い

>やっぱり歴史物(というか戦記・軍談物)
>へのあこがれが根底にあり自分でもあんな
>作品を書いてみたい、というのが銀英伝
>執筆の動機ですから、反戦を訴える主張と
>の間にはどうしても構造的に無理や矛盾が
>できてしまう

あの相原コージ・竹熊健太郎の奇書「サルでも描けるマンガ教室」にこの構造を皮肉った「戦争とてえま」という短編マンガが載ってましたね。主人公たちが「うはは・・・やれ、徹底的にやれ!」と叫びながら機関銃を乱射するわ、銃剣で敵兵を突き刺して「うふふ・・意外とチョロいもんすね先輩」と薄ら笑いを浮かべて突撃するわといった光景をさんざん描いておいて、最後のコマで「やっぱ平和が一番っスよね」と一言ゆわせて「反戦マンガ」にするという荒業を見せてくれました(笑)。

さて、ここで例によってなんの約にも立たないパロディをば。
夢枕獏風銀英伝、題して「餓英伝」。
-----------------------
シンプルな艦内であった。
装飾品の類が、極端にすくないのである。
奇妙な、部屋であった。
ブリュンヒルトの司令室--。
皇帝ラインハルトの、部屋であった。
そこには均整のとれた体に、鋭い視線をたたえた男がいた。
部屋の主、ラインハルト・フォン・ローエングラムがいた。
彫刻のような男だった。
何もかもが、美形だった。
指が、美形。
髪が、美形、
棟も足も肩も美形。
目から放たれている、眼光までが美形だった。

この男が、実戦戦争界のドンである。様々な伝説に彩られ、銀河系の戦争技の頂点に立つこの男が、ラインハルトであった。
「陛下。お呼びした彼が来ました」
ロイエンタールが声を掛けると同時に、ドアが開いた。


一見、どこにでもいそうな男であった。
美男子ではない。しかし、自分の肉体に、何か独特の気配をまとわり付かせている。
不思議な、男であった。
--ヤン・ウェンリー。
それが、この男の名前であった。
(続く)

board1 - No.627

餓英伝(2)

投稿者:新Q太郎
1999年01月26日(火) 19時23分

「まあ、座れや、ヤン--」
ラインハルトが、微笑しながら言った。

「聴いてるぜ、色々とな」
「何をだ」

「だから色々だよ、ビュッテンフェルトの事や、ミュラーの一件とかさ--」
初対面のヤンに、ラインハルトはざっくばらんな口調でいった。
以前からの顔見知りであったかと、ふとそんな錯覚に陥りそうであった。
「うれしいねえ、あんたみたいな人がいてさ--。俺はよう、久し振りに血が騒いだぜ」
皇帝が、にっと笑った。そして、周りを見渡した
「こんなごたいそうなものを造っちまってよ、王朝なんてのを持つようになっちゃお終めえだな。戦争屋じゃなくて、政治家じゃねえか。自分で造ったものに振り回されて、大好きな戦争が、できなくなっちまう--」
「戦争が、好きですか」
「おう、好きだよ。派手な戦争も地味な戦争もみな好きだ。多くて強大な敵軍をぶちのめした時なんざたまらねえな。あんただってそうだろう?」
「好きです」
ヤンの口から、ほろりと出ていた。
「その好きな戦争がよ、最近はやり難くなっちまってなあ--これだけ所帯がでかくなっちまうとよ」

「ところでよ、あんた、帰ったあとで、俺を怒らせるような発言はしねえだろうな」
「怒らせる?」
「例えば、帝国に勝ったとか、帝国は弱いだとかさ。ビッテンフェルトやミュラー程度に勝っただけで、そう言われちゃあ困るんだよ」
「しないよ。ただ、ひとつ訊かせて貰えるかい」
「ほう、なんだい」
「誰に勝てば、帝国に勝ったと言っていいんだい?」
「いい質問だ」
皇帝は答え、ぽん、と自分の胸を叩いた。
「この、ラインハルトにさ---」
言った。

P.S--そして、800万人死にましたとさ(笑)。
------------------
「解題」
今回、あまり一般的な知名度があるかどうかに関わらず「餓狼伝」のパロディなんかを書いてしかもノッた(笑)のはもちろん趣味なのだが、それ以外にもノン・イデオロギーで男たちが闘う(だけの)痛快娯楽小説と「銀英伝」にも、かなり共通した面がある、ということを証明したかったということもある。
同じだからといっても、勿論何にも悪くないのだがなんつうか、闘うことのエンターテイメント性、を自覚しつつこういう物語は作るべきであろう、という事です。

board1 - No.628

自虐についてなど

投稿者:謎の転校生
1999年01月26日(火) 19時27分

ここ数日興味深い書き込みがたくさんあって面白いですね。自分なりに自国、又は自国民を悪くいって喜べる人について少し考えてみました。えーまず他人の悪口を言って喜ぶことについては人間の俗な感情ですし万国共通だと思うのでそう問題ではないでしょう。次に自分を悪く言って喜ぶことなんですがこれはなかなか複雑で日本人にはこの性質を持つ人が多い。自虐性質をエンターテイメントした人間すらたくさんいるわけなんですが(古くは夏目漱石から庵野秀明まで)それでも少数だと思います。ところが自国、及び自国民(特に政治家とか)を悪く言う性質については日本人は世界の中でも群を抜いてます。田中芳樹や左翼の方々といった連中だけならまだしも普通の人の中にもこの性質を持ったひとは山ほどいる。他国ではあまりそういうことは聞かないのでこれは日本人が外人にはないなにか特別な性質を持っているのではないか?そこまで考えてある仮説が頭にうかびました。まず前提として僕のようなエヴァをみて感動しているような人間は除外します。自虐性質がなくて自国、及び自国民を悪くいう人が対象です。自分を悪く思うことは苦しい、他者を卑下することは自分が高みにのぼったようでうれしい。このことを共通認識として踏まえた上でなぜ日本人は自国を悪く言うのかというと、自分と自国、自国民を同一化する意識が外人に比べて低いからではないか、ということです。今の政府も昔の軍隊も自分とは関係ないから悪く言っても自分が痛まない、外人は同一化が高いので自分を痛めつけるようなことはしない、と一応説明がつきます。要は日本人のナショナリズムの欠如に問題があるのだはないかということです。ただこの仮説は個人対国、同胞の悪感情のケースのみの話で善感情のケースだと日本人は中田の活躍を喜ぶ姿からみても世界とかわらないかもしれない。

ふー、読み返してみると随分小林よしのりに影響されてるなー(笑)まーいいか。

board1 - No.629

旅行者の態度とイチローさん

投稿者:本ページ管理人
1999年01月26日(火) 19時40分

 まず補足から。
>人民解放軍(文字通り「市民」の軍隊!)がこれを殺しているわけです。
 正しくは紅衛兵かも知れないけど、要は同じ。


>これを百歩譲って事実とする限り、確かにけしからんし、出入り禁止にすべきである。この(←強調)、日本人学生は!!
>さておやしかし、それゆえに日本国籍を所持している人(その中には巡礼に来た敬謙なカソリックもいただろうに)を出入り禁止にするとはバチカンよ。これ如何に?

 個人的な体験と確証のないことなので本文には書かなかったのですが(そのせいで中途半端になってしまった)、私が昔トルコを旅行したときに、アメリカ人とドイツ人の旅行者の評判が、現地人にすこぶる悪かったのが気になっていたんですね。
 曰く、「カッパドキアの歴史上重要な洞窟の壁にいたずら書きを彫りつける。写真のフラッシュを焚いて壁画を傷める。モスクなどの宗教施設で礼儀を守らない」など。それに比べて日本人はいい、と、彼らは言っていたのですが、これはトルコがすこぶる親日的な国であることからのお世辞かも知れません。にしても、「あ、やっぱり日本人『だけ』じゃないんだ」と思ったものです。
 あと、確証のないことでは、前にどっかの新聞で、ロンドンの観光地(確かタワーブリッジかビッグベン)で、アメリカ人観光客の行いが良くなくて困っているという記事を読んだ気がします。


>実は日本で、こんなことが有ったんだね最近。
>銭湯に入る客の中で、服を持ち込んで湯船の中でそれを漬けて洗濯する連中が現れたのです。
>何度注意しても「入場料を払ったのだから勝手だ」といって聞かないの銭湯はそういう人々が圧倒的に多かった集団である「セリカ国(絹の国・・・仮名)の人お断り」の張り紙を出したのです。全く同じように、パチンコ屋で磁石その他を使って不正をするセリカ国の人々が多いため、同国人の出入りを全面禁止したパチンコ屋なんかもある。

 この辺の新聞記事を読む度に、「田中センセ、はやくこの事について書いてくれないかな」と期待に打ち震えずにはいられません。


>自自連立の最中の報道で知ったけど、小沢イチローの子供に、自衛隊に入っている人がいるそうな。おお、田中理論に従えば彼「だけ」が日本の政治家の中で軍事を論じる資格がある!
>(いや、正確に言えば彼と軍備完全撤廃論者だけね。残りの穏健ハト派も、軍の存続を主張する以上トーゼン入れなきゃ論じられない)。

 わはははは! よりによってあの小沢一郎ですか! たしか、創竜伝で「カリカチュア」して登場していましたよね。あの人。
 でも、詳しく覚えていないんですが、どっかで「士官ではなく平兵士として入隊していなければならない」という風に追加して述べていたような事があったような気がするのですが(情報求む)。だとしたら、とんでもねぇ思想ですねぇ。

board1 - No.631

>餓英伝

投稿者:石井由助
1999年01月26日(火) 19時50分

どわっはははは!!!
 これ、大ヒット上映中(意味不明)ですよ! あの「獏」節をうまく表していますね。

 俺の友人の獏ファンがモニタの前で大笑いする様が目に浮かぶよーだ

 ベスト行き決定!!

board1 - No.632

反省?

投稿者:やぶにらみ
1999年01月27日(水) 01時28分

まず「反省」すること自体は大切だし必要だというのが、前提です。

次に、日本人が他民族に比べて自分のことを悪く言う性質がある、とは思わないのですけれど。アメリカなら、最近の大統領弾劾裁判とか、昔のベトナム反戦運動とか。反体制文学も、ピンチョンのような主流文学からミステリーに至るまで枚挙に暇がありません。

単に自分の国のことを悪く言う人間は愛国心が欠けている、というのなら、歴史上の政治的偉人の大部分はひっかかるでしょう。それ自体は健全なことです。体制の無謬を盲信する人の方が病的ではないですか。

問題は「反省」の内容でしょうね。「自虐」という自由主義史観用語には、「他国に強要された不当な反省」といったニュアンスが濃厚ですが、つまらないことでぐちぐち自罰的になったり仲間を撃っているとすれば、それは問題だな、とは思います。

ただ、それが日本人に固有の性質とはあまり思えないのです。この点については、むしろ田中氏寄りの立場に立ってしまうのですが、例えば彼なら「日本人は、過去の戦争ひとつとってもまだまだ反省が足りない」と言うでしょうね。要は、日本人と一口に言ってもいろいろでしょう。だからこれほど論議があちこちであるわけで、無理に「日本人とは…」と構えなくても良いのでは。

不沈戦艦さんの言説は、自虐よりは他民族の差別の方が普通だし健全だという風に取れてしまう怖れがあります。それがナショナリズムの内包する性質だとするならば、そんなの解体してしまっても全然構わないと、私は思ってしまいますね。同じ日本人でも間違っていると思えば非難するし、外国人でも正しいと思えば味方したいですよ。
(田中氏の場合、日本人批判が裏返しの中国人贔屓にしかならない点が問題ではないかと)
実際に差別を受ける在日コリアンの人達からすれば、日本人は自虐的という論議は、説得力ないでしょうしね。

そもそも、差別と自民族を罰する性向を並べることに違和感があります。差別というのは、基本的に根拠が無いというか、感情的なものが土台であるのだから。もちろん不沈戦艦さんは、「反省」の性向もまた根拠の無い感覚的なものに過ぎないと指摘しているのですが、ただ、田中氏的言説については、このサイトのように論理的に検証してくことが大切でしょうが、差別主義者相手なら「だまれ、ボケ」で済ませてしまって構わないと思うのですね。どだい言説としてすら成り立っていないと言いますか。
(まあ、最近の田中氏の「言説」もかなり酷いのですけれどね)

board1 - No.633

ふむふむ>Re:反省?、やぶにらみ氏へ

投稿者:不沈戦艦
1999年01月27日(水) 04時13分

 私がやぶにらみ氏の反応を見て思ったことは、「誤解している面がある」「理解していない面がある」でした。

 先ずは「不沈戦艦さんの言説は、自虐よりは他民族の差別の方が普通だし健全だという風に取れてしまう怖れがあります」に関してですけど、私は一応断っておきましたよね。「えら~く差別的に言いますけど(私が考えている訳じゃないですよ)」って。そう言っているにも関わらず、なぜ、差別を助長する考えではないか?という風に受け取られてしまうんでしょうか。この、やぶにらみ氏のレスを見て、昔あったある事を思い出しましたよ。作家の三浦朱門氏が公職(文化庁だかどっかの庁の長官だったような)についている時、「強姦自体は恥ずべき行為だが、男が強姦をする体力がないのはもっと恥ずべき事だ」と放言したら、さあたいへん、非難轟々。女性団体らや人権団体やらがぞろぞろ出てきて結構な騒ぎになりました。どうでしょう?この件と似ていませんか。この時、三浦朱門氏に「強姦はいいことだから、どんどんやるべきだ」という意図があったと思いますか?そんな訳ありませんよね。「出した例が適当ではない」と言われればまあ確かにそうですが、だからと言って差別を助長しているのではないか、などと受け取られたら迷惑ですよ。またそれに、「愛国心」に関しては、そりゃあった方がいいとは思いますが、おそらくやぶにらみ氏が想定しているであろう(私の勝手な邪推かも知れませんが)、戦前の日本(戦争期)の超国家主義的なものや、銀英伝のトリューニヒト的なものがいいだなんて考えていませんが。論に出しいない「愛国心」についてどうのこうの言われましてもねー。自由主義史観的な考え方に関してはどうのこうのも言っていませんし。そりゃ、そういう論が嫌いな訳ではないですが、このサイトで論ずるべき問題ではないでしょう。だから私は最初から除外しているでしょう?「日本人の歴史に誇りを持て」とか「愛国心を持て」とか言いましたっけ?そういう話は無理に持ち出さなくても言いと思いますが。この辺は誤解なさっていると思いますよ。

 また、理解なさっていないと思われる点は、「日本人が他民族と比べて自分のことを悪く言う性質がある、とは思わない」と書かれていますし、「日本人と一口に言ってもいろいろでしょう」とも書かれていますので、そう思いました。おそらく(これも邪推か?)、やぶにらみ氏は、「モノの考え方など個人個人で違うもの、民族的傾向などありはしない」とお考えではないかと思ったんですが違いますか?それに関しては、一例を出しましょうか。

 また、井沢元彦氏の言説からになってしまいますが、「穢れ」という概念があります。難しいことより、簡単な例で行きましょう。箸と茶碗です。「これは、私が20年使った箸と茶碗です。この通り、何回も洗浄して煮沸消毒し、保健所のお墨付きが出るほど汚れをはらったものです。これをあなたにあげますから、大事に使って下さい」と誰かに言われたらどう思いますか?「いらない」って言いますよね。「なぜ?」と反問されたら「キタナイ」と言うのではありませんか?でも、物理的な汚れは完全に除去してあるんですよ。新しい割り箸よりよっぽどきれいでしょう。それなのにどうして「キタナイ」のでしょうか?でも自分で使うなら、新しい割り箸の方がいいに決まっていますよね(何とかフェチ、の特殊な趣味の人は除きますよ)。また、このやりとりは、やぶにらみ氏以外の日本人が同じように言われたとしても、同じように答えるのではないでしょうか?これは結局日本人が普遍的に持っている宗教的感情だからなんです。精神的に「キタナイ」訳でして。「自分は他人の箸や茶碗でも平気で使うよ」だなんておっしゃらないで下さいね。これも面白いもので、洋食器なら平気なんですよ。他人のフォークやスプーン、皿でも。

 どうでしょう?この考え方、矛盾があると思いますか?それと同様に「日本人には自省的な(宗教的)性質がある」と言っている訳です。それに関して、「バチカン」と「セリカ国(中国なのは明白ですけど)」の話はいいサンプルだと思いましたよ。

 仮にこの二つの事件が、並んで新聞の三面記事になっていたとしましょうか。それを読んだ「普通の日本人」はどう思うでしょうか?「ああ恥ずかしい。旅の恥は掻き捨て、だなんて日本人だけだぜ。海外にまで恥を晒しにいくくらいだったら旅行なんてやめちまえ」「ああ恥ずかしい。いくら何でも中国人だけ出入り禁止にするだんて人種差別もいいところだ。なんて日本人は情けないんだ」、と考えませんか。

 日本人(加害者)→バチカン(対抗措置)
 中国人(加害者)→日本人(対抗措置)

 完全に逆の話ですよね。論理的に思考するのなら、(加害者)の側が正しいと思ったら、(対抗措置)の側が悪いと思わなければおかしいし、(対抗措置)の側が正しいと思ったら、(加害者)の側が悪いと思わなければおかしい。ところが、どっちも先ず「日本人」の側が悪いと「何となく」思いませんか。深く考えていなかったら。そこが、「反省病」だと私は思います。そういう意味で、恰好のサンプル事例でしたね。

 まあ、それでもやぶにらみ氏が「日本人が民族的に取る一定の行動、一定の思考は存在しない」と考えたい、と思われるのでしたらそれはそれでいいとは思います。100人が100人、賛同してくれるとも思っていませんので。

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