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- board1 - No.937
>私の創竜伝考察感想4&5
- 投稿者:石井由助
- 1999年03月22日(月) 17時19分
>P80下段~P81上段
><破局は栄華のきわみに、突然おそいかかる…
>P83上段
><「おい、国民新聞をとるのは…
既に多くの方が論じられていますので、特に付け加える必要は感じません。
>P87上段
><アメリカのショーのまねを…
不沈戦艦さんもこの記述に触れていましたけど、ここで気を付けなくてはならないのは、日本を猿真似としてバカにしているのは、あくまでも差別思想を持っているのはキャラクターだということです。もちろん、私も田中氏の記述に作者本人の悪意を感じますし、そもそもキャラクターの思想か作者の思想か判別できないあたりが三流小説以下の駄文なのですけどね。
>P98上段~下段
><「しょせん彼らは…
>P99上段
><「ふん、日本人という奴は…
ちょっと作者が意図的に悪意を語らせているキャラクターに対して怒っているのではないでしょうか? このあたりなどは、田中氏の確信犯の感じがします。たしかに、代弁させているフシもあるのですが…
>P102上段
>P102下段
終と余に対して怒るのは、ほとんど暴走族マンガの主人公に怒るようなものなので、怒るだけもったいないですね。「とうちゃん」の教育が偲ばれます(笑)
>P111上段
><南村は、
これも、キャラクターに対しての意見ですね。確かに、キャラクターの言動から作者の思想を読みとることは可能ですし必要であることも多いですが、あまりやりすぎると深読みする愚に陥る可能性があります。十分注意した方がいいと思います。
>P109下段~P110上段
><公安警察…
>P88上段~下段
こんな呑気な主張を唱えていられた時代は良かったですね。オウム事件で、こんな建前だけのきれい事は何の実行力もなくなってしまいましたから(未だに十年一日のように唱えているヤツもいますが、周りの反応が十年前とはまるで違うはずです)。
ただ、基本的に命をかけた職場での縦社会ですので、残念ながら横暴な体質はそれなりにあると思いますよ(もちろん、そればかりでないのは言うまでもありませんが)
ところで、ドイツの公安組織は「憲法擁護庁」という名前です。「近代民主国家」を守るのに、彼らは公安を用意しているわけです。余談ですが、この公安組織がネオナチを監視したり盗聴したりしたら、田中芳樹はネオナチの人権を守れ!と言うのでしょうか。もし、言ったら大したものですが、どうせいつもの二重基準を発動するのでしょうね。けっ。
>P90下段
><「日本を愛せよ…
前に話題に上りましたが、小沢一郎の息子が自衛隊に入隊されているそうですね。
ところで、平隊員とは何を指すのでしょう? 政治家の息子は永遠に二等兵で固定されなくてはならないのでしょうか。また、大学卒以上であれば幹部候補生を正当に選択できますが、それもいけないのでしょうか?
うーむ、順不同になったので引用元が判りづらくなってしまいましたね。すみません。
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- board1 - No.938
理想の民主主義?
- 投稿者:Merkatz
- 1999年03月22日(月) 22時23分
>問題なのは、この矛盾なのですよね。花井夫人みたいな人が無責任で軍国主義的な言動をもって出来る言論統制など、現実的実効性はゼロに限りなく近い。本当に問題なのは、人権や民主主義をタテに言論抑制をされたときなんですよ。ここに、新Q太郎さんがおっしゃるところの「闘う民主主義」や「不寛容への寛容」の超難問があるのです
個人的には「児童ポルノ取締法」には総論賛成、各論反対という立場だったので、
あのような形になってまずは一安心というところです。
しかし石井さんのおっしゃられるように、
こういう問題の難しさを感じずに入られません。
民主的な価値観を守り通そうとすればするほど、かえって逆の結果となってしまう。
アメリカのアファーマティブ・アクションが良い例ですね。
結局のところ、民主主義はよいシステムだとは思いますが、
人間の作ったものですから完璧ではありません。
ヤン・ウェンリーの言葉を借りれば「ベストよりベターを選ぶ」という事になるのでしょう。
しかし、「銀英伝」においてはその事をしっかりと書いていた人が、
他の作品ではそれを全く忘れてしまうなんて、信じられません。
人は変わってしまうという見本ということでしょうか。
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- board1 - No.939
アルスラーン戦記私見
- 投稿者:アッテンBONO
- 1999年03月23日(火) 10時30分
久々に書き込みます。
それにしても、皆さん読書家ですね。省みて活字離れ著しい自分が情けない。反省。
ところで、一般では再開要望の上位常連であるところの「アルスラーン戦記」ですが、
私にとって、エンターテイメント性では「創竜伝」以下なんですよ。
(もちろん、「創竜伝」のエンターテイメント性はトンデモ小説としてのソレですが)
ファランギースやタハミーネの語尾が「~じゃ」というのに引いた、というのは半分冗談ですが、
作品に緊張感が感じられないんです。
メガドラかサターンのゲームでも再現されているように(笑)、
ダリューンとナルサスが強すぎます。加えて、敵無能すぎです。
ダリューンもさることながら、不条理なるはナルサス。
何カ国もの国と、その国政や軍事を司る何人ものキーパーソンが登場したにもかかわらず、
皆ナルサスの掌で躍らされている。
経験も乏しく才能の裏付けすら希薄な若造が各国を手玉に取る様は、
爽快というより異常に思えます。
2人ともcheat野郎(=ズル、不正をしている人)なんじゃないですかね。
いや、実は2人とも蛇王の側近中の側近で、人当たりがよくて国民受けしそうな
アルスラーンを手助けしてその覇業を成就させ、強大な統一国家が成立したところで
一気に帝国を奪う、という、蛇王様の遠大な計画の一環だったりして。(笑)
アル戦は、
「味方が不条理に強く、敵対勢力が無能(=人間)か絵に描いたような絶対悪(=蛇王)という、
なんのヒネリもない勧善懲悪モノで、展開に緊張感が感じられない」
「名君アルスラーンは名臣に支えられ、蛇王・旧悪を廃して民衆の為の国を興して社会に尽くしました。
めでたしめでたし。といった結末が容易に想像できる」
「キャラ萌え小説のくせして(私にとって)魅力的なキャラがいない」
ということで、なまじ創竜伝ほどイッちゃってない分、「単純につまんない作品」と感じられるのですね。
アル戦の再開を望む人も、「物語がどんな過程を通じてどんな結末を迎えるか」よりも
「この先どんなキャラが登場して、誰が・どのような最期を迎えるか」というのを
読みたがる人の方が多いのではないでしょうか。
余談ですが、以前ここに
>>>>「ガンダムW」と同じで「作り手は真面目に訴えているつもりだが、読み手にはとてもそうは見えない」
という意見がありましたが、私はガンダムWは最初から同人のお姉ちゃんを相手にしていたのではないかと。^^;
あの演出過剰(最優先)・ストーリー破綻ぶりは、とても真面目に何かを訴えたくて作られたとは
思えない(思いたくない?)のですが。(笑)
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- board1 - No.940
田中芳樹の批判手法
- 投稿者:小村損三郎
- 1999年03月23日(火) 13時45分
>しっかし、予想以上に社会評論が多いですね~。
2巻・4巻あたりはホントに気色の悪い日本国家・国民・社会・歴史に対する悪質な誹謗中傷があふれていて読むたびに吐き気がします。(じゃ読むなよ(^^;;))
管理人さんが書かれた通り、バブル期で日本全体の羽振りが良かったので逆に叩きやすかったのでしょうね。
また、(4巻執筆当時)昭和天皇のご闘病で自粛ムードが広がったことも気に食わなかったのかもしれません。
「当時の世相に対する批判・警告」ととらえれば、まだ評価できなくもないと思いますが、やっぱり小説でやられても読む方はとまどっちゃいますな。
(バブルの風潮を批判する一方で竜堂続が“プールバー”などという当時を象徴するバブリーな所でバイトしてたのはご愛敬ですが(笑))。
>それから人種差別撤廃条約に日本政府が消極的だったのは事実だが、それは条約中の「人種差別的な言論を取り締まらねばならない」といった条項が、憲法下の表現の自由との兼ね合いで問題を抱えていたからです。
しかし、これまた田中芳樹がこの辺の事情を知らずにこんなことを書いたとは考えられません。(知らずに書いたのならそれはそれで問題)
一面的な情報しか開示せずに読者を誘導しようとするのは自作に登場する悪役の行為そのままではありませんか(怒)。
また、このサイトに書かれてるような批判は本人の所には“とっくの昔”に“山のように”届いてると思いますが、あとがきや「座談会」では箸にも棒にもかからない低レベルの批判だけを紹介して、さも
「俺を批判するやつは低能だ」
という印象を読者に植えつけようとしてるあたりも姑息きわまりないと思います。(怒×2)
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- board1 - No.941
富士見書房D誌よりの引用・田中氏語る「創竜伝」
- 投稿者:gatu
- 1999年03月23日(火) 15時16分
まずはリアクションが大変遅れたことをお詫びします。
富士見書房「ドラゴンマガジン」1989年6月号より、
田中氏が自らの代表作について語ったコメント部分の引用です。
まずは「創竜伝」から…
----ここから----
創竜伝
一家の団欒を乱す奴等に容赦はしない-
天下無敵の竜堂兄弟!
(gatu注:上のはアオリ文句です。一家団欒^^;;)
この作品は、読者の方のリアクションが非常におもしろいんです。物語の中で新宿の都庁ビルを炎上させたり、政治家の悪口を書いたりしていますが、これがけしからんと言う花井夫人のような人が実際いるんですね。でも、僕は実際にビルに火をつけて回ってるわけではないし、世の中に悪い人はいません、特に政治家の皆さんは日夜国民のために働いています、という設定で現代アクションを書けと言われてもちょっと……ねえ?
あと、『こんなこと書いて捕まりませんか』という人もいます。捕まるわけはないんですが、どうも本気で心配してくれているようでして……そう思わせるような状況があるんでしょうか? 案外、愛知県あたりの学校(管理教育の厳しさで有名)では、『創竜伝』が禁書になっていたりするかもしれませんね。
嬉しかったのは、年配の方からの『私には男の子がいないから、こういう元気な子が出てくる本は楽しい』というお手紙でした。あんなのが四人いると親は大変でしょうけれど。
----ここまで----
うーん何というか、「予想通りの田中氏」って感じで、
こうして読み返してみるとイマイチ新しさがないですね(笑)
明日は「銀河英雄伝説」の部分を引用します。
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- board1 - No.942
マヴァール年代記とキャラの好悪印象
- 投稿者:作家ー選手
- 1999年03月23日(火) 15時48分
はじめまして、こんにちは。
悪評率99%を誇る“創竜伝”に言いたいことは山ほどありますが、それは皆さんが代弁
してくだすってますので、ここでは止めときます。
というわけで、今回は私の好きなマヴァール年代記について、ひとつふたつ書いてみたいと思います。
アッテンBONOさんも指摘されてました「ナルサスような完璧軍師は、作品の緊張感
とバランスを著しく削ぐ」というご意見にまったく同感です。
そして私的には、特にマヴァール年代記の“ヴェンツェル公”は非常にイカンと思うのです。
ナルサスの反則くさい知略と鬱陶しい性格もさることながら、マヴァ年にヴェンツェル
のような“完璧軍師”を登場させることにより、ある人物が駄目になってしまいました。
その人物とは、かの“ラザール将軍”です。
ラザール将軍といえば、20代半ばにして九柱将軍の一員となる知勇兼備の逸材。
しかも大陸一の自己中心派で、王族を目指す野心から謀略も辞さない切れ者のわりには
意外にウッカリしたところもある、田中作品登場キャラの中でも屈指の好人物(?)です。
しかし、せっかくのラザール将軍も、しょせんはヴェンツェル公の操り人形でしかない
のですから、作品の緊張感の削がれることといったらありません。
これがせめて銀英伝の“八割軍師”たるオーベルシュタインのような人物であれば、それ
はそれで味のあるキャラですが、あれがもし同盟の動向まですべて操っていて、トリュー
ニヒトやフォークが彼の走狗であったなら、きっと興醒めも甚だしいはずです。
さてマヴァ年の登場キャラのうち、好印象を残したものをピックアップしますと、
皇帝カルマーン、ラザール将軍、それに隻腕将軍オルブラヒトといったところです。
とくに隻腕将軍オルブラヒトは、まさに武人の鏡のようなキャラで、最高に好きです
(ちょうど三国志の朱桓のような質実剛健の名将が私の好みです)。
反対に悪印象のキャラとしては、ヴェンツェル公、ヴ公の妹で女武者のアンジェリナ、
旅の芸人ホルテイ、といったところです。
好印象キャラと悪印象キャラを比較してみると、好印象の方は
“部分的に欠陥をもちつつも己の信条の従って懸命に生きる、男臭い生身の臭いがする人物”です。
一方の悪印象の方は、一言でいうと
“いかにも存在しなさそうな白々しい能力と性格のキャラ”ということになります。
この好悪キャラは田中作品では系列化されており、例えば好印象派では・・
“カルマーン=アンドラゴラス”
“オルブラヒト=ウランフ”
“ラザール=ヒルメス”
であり、悪印象派では・・
“ヴェンツェル=ナルサス”
“アンジェリナ=ファランギース”
“ホルテイ=コーネフ”
といったとこでしょうか。
さらに悪印象とかそういう問題以前の、絶対に出して欲しくないキャラとして
“お子様キャラ”を外せません。
具体的にはマヴァ年のコステア公の息子(名前忘れた)や、アルスラーン戦記のエラム
とアルスリード、そして極言すれば銀英伝のユリアン:ミンツもです。
なにゆえ、お子様キャラがいけないのか?
それはお子様はどれほどのピンチに見舞われようとも絶対に死ぬことはなく、しかも
本来は非力なはずの子供を無理に活躍させようと試みることから、大人を道化々して
しまい、これらが相乗的に作品のリアリティを失わせているのです。
アップフェルラント物語のような“ほのぼの系”の小説ではぜんぜん構わないので
すが“血で血を洗う国盗り物語”にお子様は邪魔なだけ、百害あって一利なし、と思うのです。
以上、おそろしく取り留めのない駄文になりましたが、一田中ファンが常々思っていた
ことを書きなぐらせていただきました。
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- board1 - No.943
RE.941 とりいそぎ即レス
- 投稿者:石井由助
- 1999年03月23日(火) 15時58分
まずは引用感謝致します。ご苦労様でした。
>うーん何というか、「予想通りの田中氏」って感じ
なんていうか、予想以上に予想通りってことでしょうか。小村さんも怒っておられましたが、私もこのインタビュー読んではらわたが煮えくり返ってますよ。
よく、田中芳樹なんかまともに相手をして物好きだねぇと指摘されますが、自分でもそう思いますよ。あれだけ田中芳樹が批判している国会議員の中にも、ここまで愚劣で薄汚い人間はいないでしょうからね。
とりあえず、次はこの田中芳樹の論理を撃破していきたいと思います。
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- board1 - No.944
いいかげんにせぇよ(大人げない)
- 投稿者:石井由助
- 1999年03月23日(火) 16時57分
>政治家の悪口を書いたりしていますが、これがけしからんと言う花井夫人のような人が実際いるんですね。
自分でも判っているじゃないですか。そう、田中芳樹の政治家に対する表現は、「批判」じゃなくて「悪口」なんですよ。「悪口」と書くと子供っぽくて軽そうに見えますが、「誹謗」「中傷」と同義語ですからね。図らずも、彼は自分の口で自分がイエロージャーナリズムの低俗俗悪な文章を書いていることを告白しています。
自分にまともな批判ができないから、批判と悪口の区別が付かないのでしょうか。「けしからん」というと、花井夫人のようなダメ思想の持ち主しか想起できないのでしょうかね? 花井夫人は、田中芳樹本人のネガですね。正反対に思えるけど、形態は全く一緒。
>世の中に悪い人はいません、特に政治家の皆さんは日夜国民のために働いています、という設定で現代アクションを書けと言われてもちょっと……ねえ?
単刀直入に言えば、「だったら現代アクションなんか絶対に書くな」でしょうか。別に政治家の悪口を書かなくても、創竜伝よりも優れた現代アクションを書いている人は腐るほどいます。自分の未熟を反省するどころか、得意げに語る精神は「作家」と呼ぶことすら躊躇われます。
「現代アクション」でなく「プロレタリア文学」なら、まさにその通りですが…
>あと、『こんなこと書いて捕まりませんか』という人もいます。捕まるわけはないんですが、どうも本気で心配してくれているようでして…
こういう人が世間知らずで妄想症の花井夫人みたいな人だとは、少したりとも考えなかったのでしょうか。
>……そう思わせるような状況があるんでしょうか?
>案外、愛知県あたりの学校(管理教育の厳しさで有名)では、『創竜伝』が禁書になっていたりするかもしれませんね。
こうやって自分に都合良く相手を過小評価し、事実無根の悪評判を公言することしかできないんですね。あれだけ嫌っている関東軍と全く同じ愚を犯していますね。この人。
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- board1 - No.945
アル戦マヴァ年
- 投稿者:本ページ管理人
- 1999年03月23日(火) 17時33分
>アル戦は、
>「味方が不条理に強く、敵対勢力が無能(=人間)か絵に描いたような絶対悪(=蛇王)という、
>なんのヒネリもない勧善懲悪モノで、展開に緊張感が感じられない」
地行術の使い手とナルサスが闘ったとき、ナルサスが油を巻いて火を付けたという作戦が、「さすが頭良い」みたいに扱われていたのにはさすがにおいおいと突っ込みたくなりました。全然誰でも考えつくことじゃん、だいたい、地面の中に火がつくのか? とか。
今思うと、銀英伝は敵味方に主人公が配分されていたからまともな戦闘シーンになっていたのかもしれませんね。彼の作品には、確かに敵を過小に表現して主人公を大きく見せようとする傾向があります。それが最悪の形に奇形化したのが創竜伝だと言えそうです。
皆がアル戦の続編を期待するのは、皆殺しの田中がいままでの平和な前菜的物語をどうするのか? というところにあるような気がしますが…
>作家ー選手さん
はじめまして。大変興味深く読ませていただきました。今までなかったタイプの批評だと思います。
>さらに悪印象とかそういう問題以前の、絶対に出して欲しくないキャラとして
>“お子様キャラ”を外せません。
ライトノベルにも同様のことが言えます。特にライトファンタジーはひどいですね。
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- board1 - No.946
私の創竜伝考察6
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年03月24日(水) 02時07分
管理人さん、「私の創竜伝考察シリーズ」のチェック、ご苦労様です。今回の私の批評は少しキャラクターに対するツッコミが多かったようですね。もう少し控える事に致しましょう。
しかし創竜伝に登場するキャラクターは、敵味方を問わず反日的な主張をするキャラクターが多すぎます。一方の陣営に多いのならば分かりますが。特に四人姉妹と竜堂兄弟は、後で触れますが、反日主義という点で完全に共通していて、この点でなぜ手を取り合わないのか理解できないほどです。この点についても後日考察してみようかと思います。
それでは、今回で創竜伝2の批評を一気に終わらせようと思います。かなり長くなると思いますが。
P118上段
<「優越感を刺激するにつきますわね。日本人の、いわゆるエリートと自認する者たちの幸福感は、ほとんど100パーセントが優越感で成立しています。大きくは、たとえば発展途上国に対する大国意識、小さくは、となりの家より大きなカラーTVを買う心理。すべてこれ、優越感を満足させているわけです」>
こんな主張をしているレディLに限らず、創竜伝に登場する外国人は、やたら浅薄で的外れな日本人論を展開しているのが特徴です。田中芳樹の趣味なのか、キャラクターの設定が全てそうなっているのかは知りませんが。「日本人の、いわゆるエリートと自認する者たちの幸福感は、ほとんど100パーセントが優越感で成立しています」こんな風に「エリート」たちを全て一律に斬って捨てていますね。中には例外もいるでしょうし、全てのエリートがこういう風に考えているわけでもないのに。「日本のエリート」が聞いたら怒り狂うようなセリフですね。
それと「となりの家より大きなカラーTVを買う心理」これ、いつの時代の比喩的表現なのでしょうか? 私は1960年代の表現のように感じるのですが。
P128下段
<「愛国業ってのは、よっぽど儲かる商売らしいな」>
いいえ、少なくとも現代日本では全く儲かりません。反日主義者がやたらと儲かっているという話ならば聞いた事がありますが。(こんなのにまで何ツッコんでいるのでしょうか(^^;))
P138下段~P139上段
<「あんたには悪いがね、虹川さんよ、軍人とか警官とか、制服を着た連中がいばってる国は、近代国家とはいえないよ。日本はどうも年々、逆近代化してるぜ」
虹川はうなずいた。否定する気はまったくなかった。ここ何年も、一般市民の、「感じが悪い役所」のアンケートで、警察が断然トップになっている。>
私は警官が威張っている姿はテレビドラマでときどき見るくらいで、それほど威張っているようには見えませんし、「軍人」に至っては威張っているどころか、朝日などの左翼メディアにいつも石を投げつけられているように見えるのですが。第一、「制服を着た連中がいばってる国は、近代国家とはいえない」というのならば、アメリカは近代国家ではありませんね。あそこは軍人が結構尊敬されていますし、軍事力も強大ですから。
それと、「一般市民の、「感じが悪い役所」のアンケートで、警察が断然トップになっている」というのは、いったいどこからデータを取ってきたのでしょうか。まさか朝日新聞ではないでしょうね。
P140下段~P141上段
<首相は、「政治には無知、財政には無力、経済には無能、文化には無関心」といわれる人物だが、利権あさりと資材蓄積にかけては名人だった。とくに建設省と郵政省がからむ利権は、ほとんど彼と彼の派閥が独占している。
そういったことを、外国の通信社は報道するが、日本の新聞社やTV局はほとんど報道しない。何代か前の首相が、不正な手段による蓄財を雑誌ジャーナリズムから指摘されたとき、ある大新聞の政治部記者は、恥知らずにもつぎのように言った。「ふん、そのくらいとっくに知っていたさ。書くのはやぼだから書かなかっただけだ」それから20年以上たって、事態はますます悪化している。>
いったい何回同じツッコミをすれば良いのでしょうか。「日本の新聞社やTV局はほとんど報道しない」「それから20年以上たって、事態はますます悪化している」これらは大嘘です。日本のマスコミが政府叩きの材料を捨てるわけがありません。それが無くなったら、やる事が激減しますから(^^;)。
ちなみに、ここに書いてある例は、1970年代に田中角栄が文藝春秋に「金権疑惑」を暴かれて辞任に追いやられた時に、朝日新聞社の記者が吐き捨てた言葉です。「国民新聞」こと読売の方はすぐに特定できるのに、朝日の場合はなかなか特定できないように「ある大新聞」といっている辺りはさすがですね。朝日の機嫌を損ねたら、それこそ発禁ものですからね(^^;)。
P141上段~下段
<以前はそうでもなかったのだが、1980年代にはいってから、国民新聞はまったく政府べったりの御用新聞になってしまった。与党が選挙で負けると、「日本の社会は衆愚政治化しつつある」とかきたてるありさまだった。>
「1980年代にはいってから、国民新聞はまったく政府べったりの御用新聞になってしまった」ということは、それまでは朝日と同じような論調だったという事ですね。日本のためにも良かった事です。「与党が選挙で負けると、「日本の社会は衆愚政治化しつつある」とかきたてる」というのもあまり間違っていたとは言えませんね。当時の社会党が与党になっていたら、日本はソ連に占領されていたでしょうから。当時の社会党や共産党が、ソ連から資金提供を受けていたというのは定説になっていますからね。
P142下段
<「国立大学の受験生だ」
「ああ、かわいそうに、文部官僚の生きたおもちゃか。毎年毎年、受験法を変えられては、なぶりものにされている」
「まあ、そういうわけだ」
肩をすくめて、シン海は話を続けた。>
すいません、シン海のシンの字が見つかりません。どうかこれでご勘弁を。
さて、「国立大学の受験生」が「文部官僚の生きたおもちゃ」とは恐れ入りますね。私も国立大学を受けようとしていたのですよ。そこまで「国立大学の受験生」がおとしめられる必要がどこにあるのでしょうか。これは私立大学出身ということにエリート意識を覚えていなければ言う事ができないセリフです。確か田中芳樹は私立大学出身だったと思いますが、そこからこんな考えが出てきたのでしょうか。
それから、「毎年毎年、受験法を変えられて」いましたっけ? ここ20年ほどは、センター試験で統一されていますし、私立大学でもこれを採用している所がいっぱいあります。
私立大学が文部省のセンター試験を導入した時、田中芳樹はどんな顔をしたのでしょうか。
P143下段~P144上段
<この国では、政治ジャーナリズムまで芸能レポーターの水準まで堕ちてしまっている。水滸伝の時代にも似ているが、ローマ帝国の末期にも似ている。自分たちの国でとれるわけでもないのに食糧はありあまり、人は刺激をもとめて闘技場に押しかける。絶対安全な場所から、剣闘士の殺しあいを見て手をたたく。ローマとちがって現代日本では闘技場はないから、事故のときの死体写真でしぶしぶ満足する。他者に対する残忍な攻撃衝動は、教育の世界で顕在化し、子供同士がいじめあい、教師はヒステリックな体罰を行使して子供をなぐり殺す。まともな社会ではない。
だが、そんな社会評論をやっていてもきりがないから、始は、つかのまの平穏な時間に、自分たち自身のことを考えようと思っているのだった。>
「そんな社会評論をやっていてもきりがない」と思うくらいなら、こんな長ったらしい社会評論を展開しないでください。聞く方も迷惑ですし、引用するのも大変なのですから。
それにしてもこれらのあまりにも侮蔑的な記述は驚きですね。「政治ジャーナリズムまで芸能レポーターの水準まで堕ちてしまっている」始氏ないしは田中芳樹にとって、芸能レポーターとは相当程度の低い職業のようですね。この先の巻で「職業に貴賎はないといわれる」といった人の記述とはとても思えません。芸能レポーターだって立派な職業ですし、少なくとも朝日新聞の報道や田中芳樹の社会評論よりは情報の信憑性がありますよ。強引な取材に全く問題がないとは言いませんが。
「ローマとちがって現代日本では闘技場はないから、事故のときの死体写真でしぶしぶ満足する」おいおい、もうちょっとましな表現はなかったのですか? だいたい「事故のときの死体写真」って、どうやって閲覧するのです? 私はその方法を知りませんが。
あと、このように日本のマイナス面だけを取り上げ、しかもなぜそうなったのかという検証もしないのは、社会評論としては最低のシロモノです。これでは読者に誤ったイメージが植え付けられてしまうではありませんか。
P162上段~下段
<「もっとも、おれは、陰謀史観ってやつがあんまり好きじゃない。フランス革命にしろ、ロシア革命にしろ、風を送りこんだ奴がいたとしても、火は民衆の間から自然に燃えあがったと思っている。陰謀やテロだけで歴史が動くと思いこんでいる奴らが、そう信じこむのは勝手だけどね」>
これは左翼が理想とする運動理論ですね。現実にはこうも理想的には動かないものです(^_^)。フランス革命にしろ、ロシア革命にしろ、単純にいえば「パンとサーカス」が戦争によって慢性的に不足し、生活が追い詰められたところを、扇動者によって革命へと発展したのが実情ですし、しかもその後運動の方向性がつかめず、そのために革命運動の継続自体が目的化してしまって大虐殺・大粛清へと発展していったものです。結局のところ、2つの革命の結末は、より強大な独裁者の誕生でしかありませんでした。この2つの革命は、民衆が動かしたものではないと私は考えています。
少し話がそれてしまいましたが、「陰謀史観ってやつがあんまり好きじゃない」という割には、創竜伝は「陰謀史観」で動いているように見えるのは気のせいでしょうか。
P170上段
<「他の人にも言ったことがありますけどね、日本が滅びるのは、いっこうにかまいません。むしろ滅んだほうが、他の多くの国のためかもしれませんけどね」
続の声が、一段とそっけなさを増した。>
続氏の反日発言です。何で日本がここまで嫌われていると見ているのでしょうか。まあそれは良いのですが、こんな発言をしたすぐ後に、次のような矛盾した主張をしています。
P170上段~下段
<「四海竜王のひとりである南海紅竜王は、華麗にして鋭気と烈気に富むとか。まったく、あなたそのものだわ。だけど、まあ聞きなさい。あなたたちは先だってから日本の権力集団と対立を強いられているはずでしょう。とすれば、わたしたちは力をあわせられるはずよ」
「ぼくたちはべつに日本を憎んではいません。かなり愛想をつかしてはいますけどね。同士あつかいされるのは迷惑です」>
一方で「日本が滅びるのは、いっこうにかまいません。むしろ滅んだほうが、他の多くの国のためかもしれませんけどね」と言っておきながら、レディLがその事で共闘を申し込むと、手のひらを返したように「ぼくたちはべつに日本を憎んではいません。かなり愛想をつかしてはいますけどね。同士あつかいされるのは迷惑です」というのは、外交手法にしてもかなり無理なご都合主義なのではないでしょうか。反日主義という一点で四人姉妹と利害が一致しているのですから、共闘してもかまわないと私は思うのですが。そもそも竜堂兄弟と四人姉妹って、何が理由で対立しているのか、創竜伝を何度読んでも私にはよく分かりません。竜種や牛種との対立というのもあまり必然性がないみたいに見えるのですが‥‥。主義主張ではあまり違いがないようですし。
P186上段~下段
<アメリカに対して属国根性のしみついた日本政府が、忠義づらで事後処理をやってくれるだろうし、ものを考えるということをしなくなった日本のマスコミは、アメリカ軍と日本政府の公式発表を、批判も独自調査もせず、たれ流して恥じもしないだろう。>
相変わらず日本蔑視な主張をしていますね~。「アメリカに対して属国根性のしみついた日本政府」というのは少なくとも半分は事実ですから何とも言えませんが(それでももう少しましな言い方があると思うのですが)、「ものを考えるということをしなくなった日本のマスコミ」が「アメリカ軍と日本政府の公式発表を、批判も独自調査もせず、たれ流して恥じもしないだろう」というのは、全く事実に反していますね。ここぞとばかりに政府批判を展開してくると思うのですが。
P193下段~194上段
<相手が、軍事基地建設反対の老人であったり、原子力発電反対グループの主婦であったり、公害企業糾弾の公害病患者であったりすれば、いくらでも強気になれる機動隊も、(略)>
まるで「善良な人々に対して機動隊が残虐なふるまいをしている」かのような論調で書かれていますね。わざわざ「いかにも弱者」というものを前面に出すとは大したものです。これでまた読者は機動隊に対して誤ったイメージが植え付けられることでしょう。現実には、機動隊はマスコミなどの目があるためにそれほど強気にはでられないのですが。
P204下段
<だが、現実問題として、自衛隊の出動は可能だろうか。>
この場合、治安出動は絶対にできません。たかがドラゴンに東京を一方的に破壊された所で、ドラゴンがどこの国に所属しているか(!)が判明しなければ、治安出動を自衛隊に下命する事はできません。災害派遣としてならば可能かもしれませんが、災害に認定するまでどれだけ議論しなければならないのやら。それなのに、創竜伝では思いっきり自衛隊が動き回っていますね~。
この問題を「宣戦布告・創竜伝バージョン」とでも題して、もう少し詳しくシミュレーションしてみる方はいませんか? 面白いと思いますが、私も少し知識をかじっただけなので(-_-;)。
P220下段~P221上段
<非合法なテロリストなどこわくない。ほんとうに恐ろしいのは、権力を持ち、法をつくり、法によって人を罪に落とすことができる連中だ。アドルフ・ヒットラーも、ヨシフ・スターリンも、一国の支配者であって、町の無法者ではなかった。偉大な指導者であるふたりが、あわせて5000万人以上の人を殺したのだ。チャップリンが「殺人狂時代」で告発した時代から、事態はいっこうに変わっていない。5人の人間を殺害した犯人は死刑になるが、熱処理済み血液製剤の輸入を拒否して数百人の血友病患者AIDSに感染させた厚生省の官僚は、のうのうと天下りして、何の責任もとらない。>
この文章を、私なりに改造してみました。
「非合法なテロリストなどこわくない。ほんとうに恐ろしいのは、自分を絶対の正義と信じ、自分が悪とみなした者を、その立場を理解しようともせずに抹殺しようとする連中だ。アドルフ・ヒットラーも、ヨシフ・スターリンも、自分が絶対の正義と信じ、その正義の名のもとに大虐殺を展開したのであって、自分が悪行をなしたとは思っていなかった。偉大な指導者であるふたりが、あわせて5000万人以上の人を殺したのだ。チャップリンが「殺人狂時代」で告発した時代から50年ほど経過したが、事態は時代と共に次第に変化していき、その正義を主張するものはいまや権力者ではなく、反権力を自認する連中にとってかわった。熱処理済み血液製剤の輸入を拒否して数百人の血友病患者AIDSに感染させた厚生省の官僚はマスコミの猛攻を受けて責任をとらされたが、反権力を掲げる朝日新聞や田中芳樹のでたらめな主張は、世間一般から何の批判も受ける事もなく、かつ、自分の主張に対して何の責任も負わない。もっとも良い傾向として、ここ20年ほどはこれらの反権力勢力の力もかなり衰え、検証や批判もかなりおこなわれるようになってきたようではあるが」
今回は非常に長かったです。まる2日かかりました。読むほうも大変かと思います。また、私の主張も間違っている所があるかと思います。私の主張も検証されなければならないでしょうから、そこら辺のところをよろしくお願い致します。
さて、次は「私の創竜伝考察シリーズ」をお休みして、少し田中芳樹の遅筆について述べてみようかと思います。