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- board1 - No.1315
補足
- 投稿者:仕立て屋
- 1999年06月04日(金) 14時58分
satokoさんの'無意味'は命題への否定を意味し、管理人さんのそれを受けての'無意味'は文字通りの意味の在る無し、つまり、在っても無くても変化無しの意でありましょう。しかし、命題の否定に対する反論がその真偽を正さず、在るか無きかで答えるのは筋違いであります。またその際、”私も云々”と'も'と言うあたりが、否定をも内包していることがわかります。その後の”しいて言えば”の部分は文字通りの'無意味'の使い方に戻っていますが。
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- board1 - No.1316
あーもうやめやめ!!
- 投稿者:Merkatz
- 1999年06月04日(金) 20時08分
仕立て屋さんが管理人さんの発言にこだわっておりますが、あれは管理人さんが悪いですよ。
私もあのやり取りを読んでいたとき、「???」と思いましたよ。言っていることが矛盾していましたから。
「satokoさんの言う通り無意味です」と言ったかと思えばその直後に、「まったく無意味でもない」と言ってみたり、「私は意味が無いという趣旨で無意味と言ったのではない」と弁解したり。
あそこは管理人さんが八方美人にすぎたと思います。satokoさんは言葉どおりの意味で「無意味」とおっしゃったのですから(それ以外に解釈しようがない)、不用意に追従したことに仕立て屋さんが怒るのも無理ないですよ。
仕立て屋さんがおっしゃるように、自説の補強として田中芳樹とよしりんの比較をした訳ですから、その比較は論旨を具象化したものです。それ自体が無意味だと言われたんですから、それは論旨に対する否定とほぼ同じ行為です。それを簡単に、はいその通りです、なんてやってはそりゃ仕立て屋さんも管理人さんの本意を疑いますよ。
「無意味」の言葉の解釈なんてするだけ無駄です。「無意味」は「無意味」であって、そこに何らかの含みを持たせることなんてできません。
管理人さんは素直に自分の不注意を詫びるべきだと思います。私はずっとこのサイトの誠実さ・真摯さを評価してましたが、さすがにあの行為は不誠実を感じずにはおれませんでしたよ。あれでは常日頃批判している田中芳樹と同じです。
少々きついかもしれませんが、ここが批判サイトとして機能するためにも、間違いは素直に認めようではありませんか。
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- board1 - No.1317
レスありがとうございます
- 投稿者:ハル
- 1999年06月05日(土) 05時30分
№1314 水野さま
さっそくのレスありがとうございます。
>何かの雑誌とかでインタビューとかで言っていたのでしょうか。
信頼できる出版関係の方から聞いた話で、全く非公式なものであります。
じゃあ続きが出されるのか、というところまでは言及されていませんが、とりあえず現在まことしやかに囁かれる「読本の短編云々」は真実ではないということをお伝えしたかったんです。
愛蔵版は、完結したものの集大成を意味するものではないので、それが出たからもう先はないということにはならないと思っています。
>田中芳樹の場合は極端すぎるんですよ。
わかりました。私の読み取り方が甘かったようです。すいません。
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- board1 - No.1318
RE1313
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年06月05日(土) 15時37分
仕立て屋さん、こんにちは。
そういえば最近の田中芳樹の作品って、あとがきを書く必要のない講談社系からしか小説を出していないんですよね(中国ものは知りませんが)。ここ数年、田中芳樹のあとがきを見た事がないし。創竜伝の座談会も好き勝手な事を言っている上に、あれもフィクション小説の延長線上でしかありませんから、あとがきとはいえないし。
角川文庫やファンタジア文庫などは、あとがきを書くのが義務みたいになってますけど、講談社はそうじゃないし、徳間書店もあまりあとがきを強制しないし。まさか田中芳樹が講談社からばかり小説を出しているのは「あとがきを書きたくないから」なんでしょうか?(^_^;;)
しかし今回のアルスラーン戦記って、あとがきを見るだけでも買う価値があるのでは!?
冗談はさておき、私もアルスラーン戦記の復習をやっています。この間馬ネタや仕立て屋さんの「パルス軍の兵力分析(結構面白かったです)」などで盛り上がりましたから、また違った楽しみ方ができるでしょうね。
しかし何やかや言っても、アルスラーン戦記は面白いものです。まったく創竜伝とは大違いだ。
田中芳樹は、さっさと他のシリーズものも執筆してほしいものです。全てのシリーズものを完結させた後で中国ものに転向するのならば私も何もいわないのに。
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- board1 - No.1319
ちょっとお邪魔します
- 投稿者:スナドリネコ
- 1999年06月05日(土) 18時05分
管理人さん、みなさんはじめまして。スナドリネコといいます。
この掲示板は1週間ほど前に見つけて、まだ過去ログの全部に目を通してないので自分なりの意見はまたあとで書きこみしたいと思いますが、今朝、天安門事件10周年のニュースを見て一言言いたくなりました。わざと思いっきり皮肉を込めて言わせていただきます。
「天安門事件で死んだ人の名前を書いた傘をひろげていたただけで警察がその人を公園から追い出すなんて、とっても素敵な国ですね、田中先生」
またそのうちお邪魔しますので、よろしくお願いします。
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- board1 - No.1320
天安門事件10周年、陳舜臣
- 投稿者:新Q太郎
- 1999年06月05日(土) 19時05分
もう10周年なのだね・・・。
ところで、少し前に書かれていたことでそれはどうだろうかと思う事が有ったので、この10周年に絡めて。
「陳舜臣は、中華人民共和国政府の気に入らないことは書かない」といった感じの意見がありましたが、天安門事件直後の「文芸春秋」89年8月号に陳は寄稿している。
「『血で書かれた事実』は隠せない--歴史に照らして--」と題されたその文章では冒頭に『春秋左氏伝』の「太史の簡」のエピソード(歴史家の家族が、次々に殺されながらもひたすら事実を記録し続けるという噺iを引用し、また6・4の流血事件は五・四運動の続きに見える、と褒め称え、そして最後に方孝ジュがやはり「燕賊、位を簒う」と命を懸けて書いたという(例の「運命」)話を引用しているのだ。
もっとも名指しでトウ小平や李鵬を批判していないので、どれは手ぬるい、という意見もあるかもしれないがリアルタイムでそういう発言をしたことは確認しておきたい。
また第一、陳は司馬と必ずしも歴史観が対立していたわけではなく、「台湾、まだやな」と言って司馬に「台湾紀行」をやらせたのは陳だし、司馬逝去の折には「学業道を同じくす五十余年・・・」という感動的な漢詩を読んでいる。
ただ、司馬氏はなにしろ「国民作家」であるからして、歴史に一家言持つ人は田中氏、陳氏に限らず「司馬史観」に一言異議を申し立てたい、というのはあるのではないかな。
田中氏は「武将列伝」であり陳氏は「河は流れず」(日進戦争を清国から描いた話。坂の上の雲、と対比して読むことを進める)だったのかな、とも思う。うむ、まとまらん。
ところで千三百回突破記念?でフィクションをひとつ書いてみたいと思います。俺がやるな(笑)。ここの掲示板から勝手にヒントをもらいますが、ご了承されたい。
、
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- board1 - No.1321
わかりました。もう、やめます(マジ、ほんま)
- 投稿者:仕立て屋
- 1999年06月06日(日) 19時20分
でも、ちょっと、グチを言って終わります。
最近、なんだか、以前発言されていた方もなかなか書き込みなされなくなってきており、あ~やっぱ、私の生産性のない(主に、けじめの為、書き込み続けてきましたが)論争が、この場をこうムサイ雰囲気にしちゃったのかなぁ、と少し心配しております。スマぬ。
くりかえし手を替え品を替え主張してきたつもりですけど、そのたびに見当違いなレスが帰ってくる始末。下品な下ネタ罵倒がのど元まで出てきてるのを押さえつつ、忍耐きかしたんだけど。1275satokoさんのご発言ではえらい言われようで、「俺そんなに言われるほど悪いことしてるかなぁ、まるで、低脳バカみたいワシ」ともう反論する気力もなく、正直、最近、書き込みするのが精神的にツラくて、一人相撲しているような針のむしろ的心持でした。それにしても私って文章力ないんかなぁと落ちこんどりましたが、Merkatzさんのご発言により私の中で一応のけりがつきましたので、この件につきましては、以降、いかなるレスがつこうとも少なくとも反論はおこないません。みなさま、ご迷惑おかけしました。そして、今後とも宜しくお願いいたします。
え~と今から通常モードに戻ります。
現在、アルスラ読み返しているところです。1巻、読み終えた時点でも、騎馬問題以外にいくつか指摘する点もみつかっておりますので、おいおい、カキコさせていただきます。
では、これにて。
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- board1 - No.1322
NHK教育で陳舜臣特集
- 投稿者:新Q太郎
- 1999年06月07日(月) 13時10分
今(午後10時から)NHK教育で陳舜臣のインタビュー番組やってます。今日をふくめ3夜連続らしい。
首が少し細くなったように見えるが病気のあとも見えず、お元気そうでした。
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- board1 - No.1323
アル戦10巻・天安門10年
- 投稿者:小村損三郎
- 1999年06月07日(月) 14時25分
7年・・・(^^;)。
中学生が社会人になる位の時間ですなー(^^;;)
吉川英治が『宮本武蔵』と『三国志』を完結させるのに要した時間の合計にほぼ等しい・・・。
スターウォーズみたいな映画の場合は資金やなんやの問題もあるけれど、さすがにこれはね~。
以前に俺様ランチさんが、「間が開きすぎて文体やセリフに違和感が出るのが恐い」と言ってましたけど、C.Jシリーズの『悪霊都市ククル』という悪しき先例もありますからねー(^^;;;)
(↑これは一話完結物だからまだいいけど、続き物のアル戦でこれをやられるとツライ。)
>しかし今回のアルスラーン戦記一番の目玉は、何といっても「田中芳樹が、あとがきでどう言い訳するのか?」でしょうね(^^)。
>私も買ったら真っ先にあとがきの方を見るだろうな~(^_^)。
>これだけ読者を待たせたのだし、見苦しい言い訳をしてもらいたくはないのですが、言い訳に困ってあとがきを書かなかったりして(-_-;)。
まあ、田中氏は大体の場合あとがきを書いてますし、アル戦では前の巻までずっと書いてたので、今回だけ逃げたらそれこそ非難轟々でしょう(笑)。
執筆に一番時間かかってるのはこれだったりして。
>もう10周年なのだね・・・
田中芳樹は天安門事件までは多少なりとも中共に幻想を持っていたのでしょうか。(黄老人のセリフからすると明らかか?)
あの事件が無かったら黄老人のキャラももっと違っていたのかな?
複雑きわまる国内事情を抱えた中国の先行きについては簡単に斬ってしまえるものではないでしょう(当の中国の指導者達にもよく分かんないのでは?)から田中センセも不用意なことは言わない方が良いと思ふ。
それにしても「台湾は必ず中国に『復帰』する」ってのは一体何なんでしょうね。
当の台湾の住人にそれを望んでる人がどの程度いるんだか。
そもそも中国の統一政権が台湾を有効支配してたのって実質何年位なんでしょう。(異民族王朝の清は除く)
>仕立て屋さんへ
正直、論争自体はちゃんと読んでないんですが(^^;;)、終結する時はあまり愚痴っぽくならない方が良いと思います。お互い完全に納得しあうことは難しいですしね。
あと、私がここ数日書込まなかったのは単にネタが枯れていたせいですので(爆)お気になさらずに。
>今(午後10時から)NHK教育で陳舜臣のインタビュー番組やってます。今日をふくめ3夜連続らしい。
007を見てたら見逃した(TT;)。
明日は見てみます。
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- board1 - No.1324
田中芳樹の願望とは違って
- 投稿者:不沈戦艦
- 1999年06月07日(月) 15時21分
>それにしても「台湾は必ず中国に『復帰』する」ってのは一体何なんでしょうね。当の台湾の住人にそれを望んでる人がどの程度いるんだか。
ほとんどいないでしょうね。外省人で「俺は中国人」という意識が強い少数派以外は。はっきり言って、台湾人には「中国人」という意識はないと思いますわ。今現在、台湾が独立へ向かわないのは、北京政府が脅しているからでしょう。「もし台湾が独立するなら、武力侵攻する」と。民進党や建国党が政権を取れず、国民党政権が続いているのは、「実質的に北京の支配下にないのだから、無理に独立を叫んで大陸からの攻撃を招くこともあるまい」と台湾人が考えているということでしょう。裏を返せば、北京が台湾の武力解放を諦めたら、すぐにでも独立するということでしょうけどね。この辺は、田中芳樹の願望と現実が違うところでしょう。
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- board1 - No.1325
レス
- 投稿者:仕立て屋
- 1999年06月07日(月) 18時30分
へぇ、田中氏の「台湾は必ず中国に復帰する」かぁ、わらわしおる。この復帰って武力併合(中国から見れば併合ではないらしいが)でも復帰っていうつもりなのだろうか?新聞に「台湾で日台交流をめざして財界人組織発足」とでてましたが、台湾としては日本との経済的パイプを強固にすることでいざってときに日本が台湾を見捨てないように布石をおいてるようにしか見えませんが。政治的パイプを表立って強化できないからなぁ。
田中氏もいまの日本のご時世からあまり極端な中国への肩入れはよくよく吟味してからなさったほうがいいのにね(って天安門がおきるとは予想してなかったってことでしょうがないかもしれないが、説得力失うぞ)。それでも、その後の田中氏の作品(主に創竜伝)なんかでは認識あらためているようにはみえませんがなぁ。まあ、田中氏の今後のやり方としては露骨な思想の標榜を避けての読者の深層心理に訴えるって方向しかないでしょうな。
>仕立て屋さんへ
正直、論争自体はちゃんと読んでないんですが(^^;;)、終結する時はあまり愚痴っぽくならない方が良いと思います。お互い完全に納得しあうことは難しいですしね。
あと、私がここ数日書込まなかったのは単にネタが枯れていたせいですので(爆)お気になさらずに。
たしかに、あのカキコみはまずかったとおもいます。衝動的にやってしまったずら。ちょっと卑怯でありましな。反省、反省。でも、正直な気持ちってことでご勘弁を。あと、ネタ切れっていうことだったのですね。よかったよかった。
角川文庫やファンタジア文庫などは、あとがきを書くのが義務みたいになってますけど、講談社はそうじゃないし、徳間書店もあまりあとがきを強制しないし。まさか田中芳樹が講談社からばかり小説を出しているのは「あとがきを書きたくないから」なんでしょうか?(^_^;;)
しかし今回のアルスラーン戦記って、あとがきを見るだけでも買う価値があるのでは!?
出版社によって後書きの義務の在る無しってあるのですね。ぜんぜん、認識がおよびませんでした。
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- board1 - No.1326
↓冒険風ライダーさんへのレスで引用符付けるの忘れました
- 投稿者:仕立て屋
- 1999年06月07日(月) 18時34分
>角川文庫やファンタジア文庫などは、あとがきを書くのが義務みたいになってますけど、講談社はそうじゃないし、徳間書店もあまりあとがきを強制しないし。まさか田中芳樹が講談社からばかり小説を出しているのは「あとがきを書きたくないから」なんでしょうか?(^_^;;)
しかし今回のアルスラーン戦記って、あとがきを見るだけでも買う価値があるのでは!?
でした。
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- board1 - No.1327
私の創竜伝考察17
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年06月08日(火) 09時20分
大変長らくお待たせ致しました(って誰も待ってなかったでしょうけど(-_-))。約40日ぶりに「私の創竜伝考察シリーズ」を再開します。
今回よりスタンスを若干変更し、いつもの社会評論を引用して叩く「社会評論批評」を今までの半分(だいたい4~6)ほどに押さえることに致しました。また、ランダムで創竜伝のキャラクター・ストーリー評論、創竜伝全体についての考察なども行いたいとも考えております。いつもネタがあるわけではないので、毎回展開するというわけにはいきませんが(^^;)。
さて、久しぶりの創竜伝考察、始めましょうか。
創竜伝7「黄土のドラゴン」
1991年9月5日 初版発行
P31上段~下段
<「蒙古連合自治政府」とは、日本軍が中国を侵略していた当時、一九三九年に、内モンゴル地方に設立した傀儡政権である。いちおう政府ということになっているが、実体はその当時世界最大の麻薬シンジケートだった。日本軍はその「自治政府」の勢力圏で大量のアヘン、モルヒネ、ヘロイン等を生産し、中国から東南アジアにかけて売りさばき、多くの中国人を悲惨な麻薬中毒患者にしたてて、莫大な利益をあげた。その汚れた利益は侵略戦争の軍費や傀儡政権の予算にまわされた他、政治家や軍人の私腹をも肥やした。>
こんなおいしいネタが本当にあったら朝日新聞が黙っているわけがないでしょうから、この「世界最大の麻薬シンジケート」という記述は明らかにウソでしょう。こんな問題が本当に実在したらとっくに国際問題になってますって。「蒙古連合自治政府」というのは本当に実在したようですけど、私がいくら植民地問題を調べても、この「蒙古連合自治政府の麻薬問題」について何も記されていなかったし、あれほど「過去の戦争責任」なるものを追及してくる中国も、「多くの中国人を悲惨な麻薬中毒患者にしたて」た責任について何も言ってこないではありませんか。日中平和友好条約締結の時だって話題に上がっていなかったし。
おそらくここはイギリスのアヘン戦争でもモデルにして意図的に作った虚構なんでしょうけど、これをこの先の社会評論で「日本軍の悪行」として引用しているんですよね~。仮に事実であるならば参考にした資料を挙げてほしいものなのですが。
ところで、「蒙古連合自治政府」成立の経緯について詳しく知っている方はいますか?
P61上段~下段
<「で、黄大人の兄上というのはどういう人なんですか」
「私らも直接お目にかかったことはないのですが、抗日戦争と中国革命の英雄だったそうです。巧妙な遊撃戦でさんざん日本軍を悩ませたとか……」
李は口に手をあてた。竜堂兄弟が日本人であることをいまさら思い出したのだろう。
「気にしないで下さい。一九三一年から四五年にかけての日中戦争が、日本が一方的にしかけた戦争だということは歴史上の事実です。中国の勇気ある人々が侵略に抵抗したのは当然です。日本人のなかでも、私たちの祖父は愚劣な戦争に反対して投獄されました。誇りに思っています」
水が流れるがごとくいってのけたのは続で、(略)>
性悪説の時にはあれほど鳥羽靖一郎をネチネチ説教していた竜堂続が、現代史になるとここまで知識がないというのも驚きですね。彼は現代史をやっていないのでしょうか? これで得意教科が歴史であるというのも奇妙なものです。中国史だけで歴史の点数を稼いでいるとか(^^;)。
まず「一九三一年から四五年にかけての日中戦争」って、そもそも基本的事実そのものが違います。田中芳樹の頭の中では「満州は中国の領土」なんでしょうから(「白い迷宮」ではっきりと言ってました)そう思いたい気持ちはよく分かりますが、小中学校で教えられる普通一般で言う「日中戦争」といえば「1937~1945」でしょう? これって小学生レベルの間違いではありませんか(^_^;)。それに満州問題では国民党と和解していましたし、当時満州事変を「侵略」などと言っていたのは中国共産党だけだったんですけど。
それから日中戦争は「日本が一方的にしかけた戦争」などではありません。盧溝橋事件は日本兵になりすました中国共産党員(劉少奇の部下)による策謀でしたし(日本軍と国民党を戦わせるため)、それも三週間ほどで一時収束したのですが、その後に発生した、中国人による日本人260人虐殺事件「通州事件」によって国民感情が強硬になっていったというのが真相です。まあずるずると戦争に引きずり込まれた日本軍にも非がないとは言いませんが。
それに日中戦争の原因追及は、かの東京裁判でも行なわれていません。理由は簡単で、これを深く追求すると上記の事情が判明してしまうからなんですけど。それと戦後は中国共産党が中華人民共和国を建国してしまいましたからね。だから中国共産党のプロパガンダが、あたかも「絶対の正義」であるかのごとく掲げられたという一面があることも忘れてはいけません。
後、「日本人のなかでも、私たちの祖父は愚劣な戦争に反対して投獄され」たから「誇りをもっている」という主張もねえ……。当時の日本は世界恐慌による不況による影響で日本は経済的に追い詰められていましたし、それによって失業者が増大していたんですよね。他国との貿易によって利益を得ようにも、ブロック経済政策によってそれができない状態だったし。当時の日本のやり方は確かに下手だったでしょうし、それについては弁護の余地もないかなとは思いますが、単に「戦争に反対したから偉いんだぞ」と言っているだけの竜堂続に政治的センスはゼロです。戦争に反対さえすれば不況問題や失業問題が一挙に片付いたし、戦争が回避できたとでも言うのでしょうか? 「侵略」の背景を全く考えずに、当時の全ての日本人を愚か者呼ばわりする行為は止めてほしいものです。
P61下段~P62上段
<「解放軍とは、かつてはたしかに正義の軍隊だったのですがねえ」
「匪」という名詞が中国語にある。「民衆に害を与える悪党」という意味だ。汚職をしたり、無実の人に冤罪を着せたりする役人を「官匪」という。法律を悪用すれば「法匪」であり、略奪や虐殺をおこなう軍隊が「兵匪」である。一九三一年から四九年まで、中国を荒らした兵匪とは日本軍や国民党軍だった。当時の人民解放軍は、兵匪を追い払う正義の軍隊で、当時アメリカの新聞は「アジアにこれほど高潔な軍隊が存在するとは」と驚きつつ感動していた。それが一九八九年には、武器を持たない市民を戦車でひき殺す権力者の走狗に堕落してしまった。海外にいて、祖国の復権と発展を応援してきた華僑たちは、激しい怒りと失望を禁じえなかったのだ。我々は、強制収容所に国民を放りこむような国の出現を望んでいたのではないと。>
当時の実情を一切考慮せず、日本軍と国民党軍を「中国を荒らした兵匪」とまで全否定し、「人民解放軍」を「兵匪を追い払う正義の軍隊」とまで礼賛するとはどういう神経をしているのでしょうね。「絶対的な正義は存在しない」というのは田中芳樹の持論じゃありませんでしたっけ? それに当時の「人民解放軍」が行ったのはゲリラ戦であり、民間人を巻き添えにしたという点では「中国を荒らした兵匪」以上だったんですけど。
そもそも「人民解放軍」が1989年に突然「権力者の走狗に堕落」したみたいな事を言ってますけど、彼らは一貫して侵略者および虐殺者であり、常に「権力者の走狗」だったんですよ。彼らの主な「侵略及び虐殺行為」を列挙してみると、
① 満州の併合
② 朝鮮戦争の軍事介入
③ チベット「解放」
④ 文化大革命
⑤ 中越戦争
私が知っているだけでもこれだけ並べられますし、さらには少数民族の独立運動や思想家の弾圧などは日常茶飯事です。間違っても「正義の軍隊」などではありませんね。そもそも「正義の軍隊」なんて比喩は銀英伝やアルスラーン戦記などでも一度として使用していないのに、なんで中国になると「客観的な評価」ができなくなるのでしょうかね? これらの事実を田中芳樹も知らないわけではあるまいに。
P64下段
<始は中国も中国人も好きだ。右手のカバンにわずかな資産を詰めこみ、左手に子供の手を引き、背中には万能調理具である中華鍋を背負って、中国人は世界中どこへでも旅だっていく。「おれの立っている場所こそが中国だ」と、わざわざ口に出してはいわないが、しっかりと大地を踏みしめ、異郷に根をおろし、いつかそこに街をつくりあげる。彼らの生命力、堂々たる生きかたは尊敬に値する。ただ一〇億人をはるかにこす中国人の全員が善人ではありえないのは当然のことだ。>
またいつもの「中国は素晴らしい」論ですか。創竜伝は「伝奇アクション小説」と銘打っているのに、何でこうも非現実的な中国礼賛論ばかり聞かなければならないのでしょうか。創竜伝7はストーリー的に全く関係ない中国礼賛論ばかりで埋め尽くされていて、聞いててあきれるものがありますね。
それにしても日本人論と違って、田中芳樹の中国に対する愛情が滲み出ている文章ですな。記述にここまで差があると「そんなに中国は偉いんかい!!」ってツッコみたくもなってきますが。一応おざなりに中国批判もあるにはありますが「言論の自由がない」とかいったありきたりなレベルでしかありませんし(文革批判やチベット問題は?)、批判の数十倍もの文章で中国礼賛をしていますから、こちらが本音と見て間違いないでしょう。こんな一方的な礼賛で中国に対する理解が深まるとでも思っているのでしょうか。そんなことは70年代に朝日新聞が経験済みであるのに「過去の歴史から何も学ばない」とは恐れ入りますね。こんなんで孔子あたりを引用しているのも笑止な限りですが。
さらに、田中芳樹の悪い癖として「何かを貶める事によって褒め称える」などという性癖があるためか、創竜伝の社会評論はこの7巻が一番反日度が高いですね。あの癖はいいかげんにやめてほしいものです。聞いてて何の感銘も受けないんですから。
P70上段~下段
<一党独裁体制、言論の自由や思想の弾圧、知識人の殺害など多くの欠陥をかかえながら、革命後の中国政府は、ともかくも外国の軍隊を国内から追い出し、イギリスから香港を回復し、そして食糧の自給を達成した。ひとつの政府が、一〇億をはるかにこす民衆を食わせてきたのだ。これは偉業といってもよいことで、だからこそ、民衆の政治的な不満がおさえられてもきたのである。だが、蝗が穀物を喰いつくし、飢餓が国をおおったとき、いったい何ごとが生じるか。
「外国の侵略も、黄河の大洪水も、蝗の害も、すべて中国は切りぬけてきた。今回のことでたとえ北京の政府が倒れても、中国自体はけっして滅びない」>
「北京の政府が倒れ」たら中国は滅びますって(^_^)。現在の中国の支配地域はかなり広大な上に、満州やチベット・内モンゴルなどは異民族が独自の文化を発展させてきた地域ですから、今の中国政府が倒れたらこれらの地域が独立し、中国は四分五裂の状態になる可能性が高いですよ。ソ連が崩壊した時のように。過去の中国政府が「侵略」に狂奔した報いでしょうけど。
そもそも「今まで無事だったから、これからもそうとは限らない」ってのは、アルスラーン戦記や銀英伝で散々強調していた田中芳樹の持論ではありませんでしたっけ? 「ローマも滅んだし、蒙古帝国も滅んだ。中国だけが永遠であるはずがない。」そうでしょう? 田中さん。
それからここに挙げている「偉業」とやらは相当に怪しいものですね。「外国の軍隊を国内から追い出し」はまあいいでしょう。しかし「イギリスから香港を回復し」は別に中国政府の功績ではなく、単に1997年にイギリスの香港租借期限が切れただけです。だからこれは「回復した」のではなく「返していただいた」が正しいでしょう。法的に言えばイギリス植民地支配の完全勝利です。さらに「食糧の自給を達成した」と「ひとつの政府が、一〇億をはるかにこす民衆を食わせてきた」というのは別に偉業でもなんでもなく、銀英伝のアレックス・キャゼルヌ曰く「善政の基本」に過ぎません。「民衆を飢えさせるような政府は滅んでも仕方がない」という田中芳樹の持論からいっても、この中国評価は大甘ですな。むしろ前半で挙げていた「一党独裁体制、言論の自由や思想の弾圧、知識人の殺害など多くの欠陥」の問題点を取り上げるべきでしょう。いくら大好きであるとはいえ、何で自分の正論を捻じ曲げてまで中国に肩入れするのでしょうか?
P78上段~下段
<「実際、新聞は事実を全て伝えるわけじゃない。どのニュースを載せるか、載せないか、どういう見出しをつけるか、その時点でもう情報のコントロールが行なわれるわけだ」
(中略)
水地が何か思い出したようである。
「そういえばプロ野球に関する記事だってそうだな。Aチームが負けてBチームが勝ったのに、見出しを見るとAチームの四番打者がホームランを打ったとか、遊撃手が好プレーをやったとかばかり書いて、敗戦の事実を隠すことがあるものな」
「悪かったな、うちの新聞のやりくちだよ」
国民新聞社の元記者は苦りきった。彼が勤めていた新聞社はプロ野球チームを所有しており、一方的な報道を流すことで有名だった。
プロ野球を記事などは苦笑してすませることができるが、文部省も教科書に対して同じようなことをやっている。「日の丸・君が代は法律でさだめられた国旗・国歌ではない」と事実を明記した教科書が、文章の削除を命じられた。言論を統制し、国民を洗脳するやりくちは、ナチス・ドイツも日本国文部省も同じである。一方で積極的な嘘をつきながら、もう一方ではつごうの悪い事実を隠すのである。>
またいつもの「ナチス・ドイツ」を持ち出したレッテル貼りですか。いつも同じことをしてよく飽きませんね~(-_-;)。それに「一方で積極的な嘘をつきながら、もう一方ではつごうの悪い事実を隠す」ってのはあんたの社会評論のやりくちでしょうに。
それにしてもこの文章、文部省の検定の実態を全く知らないとしか思えませんね。文部省は教科書会社が出した教科書に対しては「勧告」しかできません。そして教科書会社の方は、必ずしもそれに従わなければならないということもありません。1982年の教科書問題でも、「侵略という文字を文部省に強制削除された」のではなく「教科書会社が自主的に削除した」というのが事実だったのですから。おまけに、この時にできた「近隣諸国条項」なるシロモノのおかげで、文部省は教科書会社に対してあまり強硬意見を主張することができなくなってしまいましたからね。文部省の「命令」には全く強制力がないということが分かっているのでしょうか? 「積極的な嘘をついている」のはどっちですかね。
それに「日の丸・君が代は法律でさだめられた国旗・国歌ではない」っていっても、明治維新以来ずっと慣習によって「国旗・国歌」として扱われていましたし、諸外国も「日の丸・君が代」を「日本の国旗・国歌」として認めています。そういった事実を無視して「法律で定められていない(といっても法制化が決まってしまったからな~、こっちも(^^;))」という側面だけを強調するのは、まさに「もう一方ではつごうの悪い事実を隠す」ナチス・ドイツのやりくちそのものではありませんか。
ところで田中芳樹は、日本以外のほとんどの国が、「国旗・国歌を尊敬しなければならない」という「愛国心教育」を行っているという事実を知っているのでしょうか? これを知ったときの田中芳樹の顔が見てみたいものですが(^_^)。
なんか久々に批判を展開したので、カンが鈍ってしまっているような……(-_-)。
まあ完全無欠な批判ができるとは私も思ってはいませんが。
さて、次は何をしようかな~。
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- board1 - No.1328
雑談
- 投稿者:冒険風ライダー
- 1999年06月08日(火) 09時21分
何でも「ジャンプ」で連載されている「封神演義」がアニメ化されるそうですね。
テレビ東京系列にて7月3日(土)午前7時より、ということだそうで……。
また田中芳樹がアニメージュあたりで何かいちゃもんつけてくるのかな~。評論するのは勝手なんですけど、あの人は何かを貶めながら中国ものを誉めるという悪癖があるからな~(-_-)。ムーランの評論や陳舜臣の推薦文もそうだったし。
そういえば気づくのが遅れましたけど、「陳舜臣の推薦文」って、確か読売新聞での書評だったんですよね? 創竜伝で散々コケにされているあの新聞が、よく田中芳樹に書評を書かせたものですな。田中芳樹も「政府の御用新聞」とまで罵倒した新聞で、よく書評を書く気になったものです。やはり「あれはフィクションなんだ!」の一言で誤魔化したのかな?(^_^;;)
<田中芳樹は天安門事件までは多少なりとも中共に幻想を持っていたのでしょうか。(黄老人のセリフからすると明らかか?)
あの事件が無かったら黄老人のキャラももっと違っていたのかな?>
おそらく、とんでもないほど中国を礼賛するキャラクターになっていたでしょうね。「中国にはハエがいない」とか「毛沢東主席は偉大だ」とか言っていたカモ(^^;)。いまだってあの現状だし。
あの御仁も、創竜伝のストーリーをダメにするために一役買ってます。
<そもそも中国の統一政権が台湾を有効支配してたのって実質何年位なんでしょう。(異民族王朝の清は除く)>
明王朝が支配していた時代(鄭成功だっけ? こちらもあまり長くないとは思いますけど)は知りませんが、中華民国以降では最大に見積もっても5年以上はありませんね。戦前まで台湾は日本の植民地になっていたし。1945~1949くらいではないでしょうか? それでも「実効支配していたか」というとまた疑問なんですけど。敗戦でゴタゴタしていたし。「中国に復帰する」っていうほど台湾を支配してはいないはずなんですけどね~。